何とか無事に瀕死状態から回復した私はキラッキラのイケメンから逃げるように女子部屋へと閉じこもった。
マジでイケメン怖い・・・。
イケメン好きだし舞台見に行くしコンサートも行くしドラマも見るしキャーキャー言うけどそれとこれとは大違いというか大問題というか
やっぱりイケメンは観賞用に限りますな・・・。
夕飯も食べてお風呂も入って。
まだ8時、寝るのには早いね、なんて女子部屋でみんなでキャッキャと話してた時。
「ねぇ、花火しよー!先生たちが大量に花火買ってくれたよー!」
って、ヒーロー科の女子たちが呼びに来てくれた。
ヒメコ「え、ほんまに?ほなボッスンとスイッチも誘ったろ!」
ディアンヌ「えへへ、キングも誘おっと♥」
ヒメコ「さおりもまなみも行くやろ?」
さお「そうだね、明日はもう帰るし・・・今夜で最後だもんね!」
まー「おっしゃ!!手持ち花火八刀流して振り回してやる!!」
さお「まぁちゃんそれ危ないよ・・・」
みんなで砂浜まで来ると、本当に大量の花火と、全員じゃないけど他のクラスの男子たちも結構いた。
さお「わー、たくさん花火あるね!先生たち奮発してくれたんだ!」
まー「あ、半助いる!」
ツユ「相澤先生もいるわよ。一応火を取り扱うのは危険だから見張り役ね」
そんなこんなでそれぞれがワイワイと花火を始めた。
今回ね、何がよかったって、あれだよね。
また友達が増えたんだよ。
嬉しいよね。ますます2学期も楽しくなるよ!
本当にいい人が多くて助かるなぁ(のほほーん)
琉夏「おー、さおりたちも来たんだ」
さお「あ、みんなもいたんだね!めんどくせーとか言って部屋にいるかと思ったよ」
まー「ヤンキーって海辺で花火好きだもんなwww」
琥一「おめー何花火8本持ってんだよ」
宍戸「え、まさか全部に火つける気か!?」
ジロ「バカだwww」
岳人「ぜってー後悔するのお前だぞwww」
まー「ふふふ・・・我が奥義、八刀流・・・!」
琥一「バッ・・・やめろって!」
ジロ「マジで火つけたwww」
岳人「え・・・ちょ、こっちくんな!!おい!!」
宍戸「アホかおまえ!!向こう行け!!」
琉夏「わーーー!さおり危ないぞ!逃げろ!!」
ジロ「いや、まなみがさおり狙うわけないC!」
さお「アハハ、まぁちゃん、もー危ないよー」
まぁ結局こうして幼馴染を見つけたらなんとなく気楽で集まったりもしちゃうんだけど。
私だけじゃなくて、まぁちゃんも、それからこの幼馴染のメンバーも、新しい友達と楽しそうに笑ってるのを見かけてたからそれがすごく嬉しかった。
(この学校に入ってよかったなぁ)
ホクホクしながら、ギャーギャーと騒ぐ周りを気にせずに一人で手持ち花火をじーっと見つめていた。
「きれいやな」
突然声かけられて 振り向いた。
「あ、白石くん」
「前さん、花火しに来とったんやな」
「うん、白石くんも来たんだね!」
「おん、もうすぐ学校も始まるしなー、夏の思い出に、と思うて」
「そうだね」
フフ、と笑うと 嬉しそうやな と白石くんが笑った。
やっぱり白石くんってすごくキレイな人だなって思った。
「あのね、サマーキャンプ来れてよかったなって思ってたの」
「そうなんや!」
「うん、お友達も増えたんだよ!ヒーロー科の女の子たち、離したこと一度もなかったんだけどカレー作りで仲良くなれたし」
「お!よかったやん!!」
「うん、女の子少ないからすごく嬉しいよ!それから食事の時は違うクラスの人とも話したし、バスケ部の人とか野球部の人ともまぁちゃん繋がりで少し話せたし」
「おぉ、そうなんや!妹の前さんも馴染んで来たみたいやもんなぁ」
「そうなの!まぁちゃんが友達増えたことが一番安心してるよ!!あ!あとね、芸能科のスターリッシュのメンバーとも少し遊べて・・・すごく緊張して全然しゃべれなかったんだけどね」
「え、すごいやん!」
「うん、レンくんとか同じクラスだけどあまり学校に来ないからお話できてよかったよ!那月くんとか音也くんとか翔くんとかみんな思ったより普通の男の子だった!」
「へぇ・・・むっちゃかっこいいよなぁ、スターリッシュ。俺の姉ちゃんと妹もキャーキャー言うてたわ」
「あ、白石くんお姉さんと妹さんいるんだね!真ん中なんだ!」
「せやねん、女子に挟まれて肩身狭くてなぁ」
「やっぱりお姉さんと妹さんも綺麗なの?」
「え?」
「白石くん、すごくかっこいいから、お姉さんたちも美人なのかなって・・・」
「え!」
そう言うと白石くんは急に焦りだして 手に持っていた花火を砂浜に落としてしまった。
「あ、白石くん大丈夫!?」
「あっち、だ、大丈夫やで!ほんの少し指に当たっただけやし」
「え!!大丈夫!?ちょっと水で冷やした方がいいよ!!」
「や、ほんまにこれくらい・・・」
「ダメだよ!!ほら、向こうの水飲み場いこ、指冷やそ!」
そう、私が慌てて白石くんの手を引いて 急いで施設の外についてる水飲み場へ彼をつれてきた。
「早く冷やして、大丈夫?」
「大丈夫やて、おおげさやなぁ」
「火傷なめたらダメだよー!白石くん保健委員もやってるのに、人のことは気にしても全然自分のことは気にしないもんね」
「・・・せやから前さんが俺のこと気にしてくれんのかな?」
「え?」
「前さん、優しすぎて・・・俺勘違いしそうになるわ」
(・・・え?)
彼の熱を含んだ瞳が私を捉えて
男の人なのに すごく色っぽいな なんてのんきに思っていた。
「私全然優しくないよ」
「優しいで、少なくとも俺には」
「え?でもそれはきっと白石くんが優しいからじゃない?」
「俺が?」
「うん、白石くん優しいしいつも親切にしてくれるから私も優しく出来ると思うよ」
「俺、優しい?」
「白石くんはいつも誰にでも優しいと思うよ」
「いや、誰にでもやないで」
「白石くんは優しいよ、やっぱり女兄弟いるから気も利くんだろうね」
私は周りの人がみんな色々やってくれるから自分じゃ何もできなくてね
そう笑った
はずなんだけど
「俺が優しいと感じるなら、それは前さんにだけやわ」
そう、彼が冷やしてる指を見ながら 呟いた。
「え?」
「・・・好きな子には 優しくしたいやん」
「・・・?」
「あーーーーー全然こんなとこで言うつもりはなかってんけど・・・!!」
「???」
(え???)
(白石くん、何言ってるの???)
そうすると彼は
意志を固めたように グッと 情熱的な瞳で私を
見つめ
捉えて
離さずに
「俺な!前さんのことが、好きやねん!!付き合うてくれませんか!!」
そう
真っ直ぐに 私に 伝えたのだ。
(・・・・・・・・は?)
ポカーーーーーーーーン
(え?)
(何?)
(意味が分からない)
「・・・どうしたの?白石くん、何言ってるの?冗談?」
「冗談やなくて!」
「え?いや私も白石くんのことは好きだけどさ、え?付き合うってなに?」
「え!!前さんも俺のこと好きなん!?!?」
「え???だって白石くんすごく優しいし、いい人だし・・・」
「ほな!!ほな付き合うてくれる!?」
「どこに?」
「いや、どこにやなくて!俺と付き合うてくれる!?」
「え?何が?私が白石くんに付き合えばいいの?」
「付き合うてくれたらうれしい!!」
「え、うん。じゃあいいよ?」
「ええの!?」
「え?うん???」
やった・・・・!!!!!
彼はそれはもう嬉しそうにガッツポーズをして
俺、めちゃくちゃ大切にするわ!!!
って嬉しそうに 叫んだ。
(え?)
(あれ???)
「あーーーもう!!!嬉しすぎてあかん!!じっとしてられへん!!ちょ、走ってくるわ!!!」
「え???指は!??!?」
「もう平気!!!それより心臓のがあかんかもしれん!!!」
「え!!?心臓!!?大丈夫なのそれ!?!?」
「大丈夫なように落ち着かせてくるわ!!!」
「え、心臓はヤバいよ・・・早く救護室に・・・」
「大丈夫!!・・・今日から、よろしくな!!」
そうにこやかに彼が手を振って駆けていき
残された私は ポカーーン とその様子を見つめていた。
その後、また花火をしてる砂浜に戻って
リヴァイ先生に正座させられ怒られてるまぁちゃんをフォローし、
バレー部のみんなと記念写真を撮り
部屋に戻って琥一くんたちに呼ばれて男子部屋の枕投げ大会に参加して
(まぁちゃんがまた野村くんと同じ場所に隠れたってめっちゃキレてて)
そして そのことに気付いたのは
一旦眠りについた 午前2時。
「・・・・・・!!! あれ、告白だ!!!!」
急にそんなことを思いついて飛び起きた私は
冷や汗ダラダラで
それから一睡もできずにいた・・・。