私たち立海は、全国大会に優勝した。
(優勝したんだけど、ね・・・)
準決勝のあの日、
四天宝寺との一戦。
白石くんはS3で、
四天宝寺はストレートで負けたから、順番は回ってこなかった。
だけど、
見てしまったのだ。
最後の挨拶の時の、悔しそうな白石くんの顔。
文通をしててわかった。
彼のひととなり。
負けず嫌いなのだ。
だから、すごく悔しかっただろう。
部長として、責任を感じているだろう。
(きっと、)(すごく・・・)
そんなことがわかってしまったから、
文通には、そのことは触れられなかった。
何も、
触れることはできなかった。
そして、夏休みはいつの間にか終わっていた。
9月。2学期になったよ。
2学期は忙しい!!
9月は修学旅行に、文化祭(海原祭)
10月には、海外研修ツアー・・・
それに加え、いつも通りの部活もあるし・・・
怒涛の日々の始まりだ。
夏休みなんて、大会が終わって、あっという間だったなぁ・・・
ほとんど部活だったわ・・・
お盆に札幌のおじいちゃんちには行ったけど・・・
ほとんど部活だった・・・
(まぁちゃんは大丈夫かな・・・)
(なんだか、最近元気がないけど)
なぜだか、最近
まぁちゃんも、元気がなくて。
本人も、なんだか気持ちの整理がついていないというか・・・
あまり家で話したくないのか、私には言わなかった。
ただ、亮ちゃんにこっそり聞いたら、
あの準決勝、まぁちゃん観に来てたんだって。
でも、その後から様子がおかしいみたい。
まぁちゃんどうしちゃったんだろうって思ったけど、
きっと、何かあれば相談してくれるだろうから、深く聞かないことにした。
心配だけどね、こっちも本当に忙しいからね!!
こんな時、
私が氷帝だったら、って少し思うけど・・・
でも、
海が見えるこの学校がとても楽しくて、
やっぱり私はこの学校に来てよかったって思うから。
悔いの残らないように頑張る!!!
「なぁ、ラフテー食べに行こうぜ」
「何それ」
「肉」
「食べる」
ということで、
現在、沖縄に修学旅行中なのです!!!
「ラフテーやばい美味しい」
「こっちのゴーヤチャンプルも美味いぜ」
「おいおい、頼みすぎじゃねぇか?大丈夫か?」
「大丈夫だぜ、ちゃんと払うから・・・・・・・ジャッカルが」
「俺かよ!!」
「ふふふ、大丈夫だよ、みんなで割ればそんなに高くないから」
私は、今、ブンちゃんとジャッカルと一緒に行動中・・・
女友達もいるよ?
いるけどみんなね、彼氏いるからね!!!!
「彼氏と2人で美ら海水族館行ってくるね♥」って言われてみなよ!!!!!
虚しすぎるから!!!!
いいんだ・・・
私には、肉があれば・・・
お肉美味しいもん・・・
幸せだもん・・・
「テビチ美味しい・・・ちょっと食べてみてブンちゃん!」
「お前はwww肉ばっかりだなwww」
「お肉大好きなんだもん・・・」
「友達みんなデートしてんだっけ?」
「うん・・・」
「お前も寂しいな~彼氏つくんねーのかよ?」
「・・・えー、まだ早くない?まだ中学生だよ?」
「あー」
「そうだよなー」
「恋とかよくわかんないし、そんな暇ないよ。部活忙しいもん」
「わかるわかる、正直、そんなことしてる暇ねーよな」
「恋愛にうつつ抜かしてたら、真田に怒られそうだしな。たるんどる!って」
「言いそ~」
「あの仁王ですら、彼女つくんねーしな。すっげーモテんのに」
「え!仁王くんって彼女いると思ってた!」
「いや、アイツあーみえて真面目だからちゃんと断ってるらしいぜ」
「ええ・・・けっこうチャラチャラしてるように見えるのに・・・ギャップ・・・」
「ギャップwww」
「みんな告白とかされてるの!?」
「んあ?テニス部?」
「俺は全然されたことねーわ」
「ジャッカルはなー」
「なんだそれ!」
「ブンちゃんは!?」
「おれ?告られたことならあるぜ、断ってるけどな」
「え!?ホント!?」
「おう、テニス部ってモテる奴ばっかだぞ?」
「だな、真田は告白されたことないみたいだけどな」
「真田に告るとか勇者だろwww」
「まぁ、スポーツしてるとモテるってことだ」
「じゃあなんでジャッカルはモテないんだろうな~」
「俺のことはいいんだよ!!!」
(そうか・・・)
(みんな告白とか、されてるのかぁ・・・)
そんな話、あんまり聞いたことないけど、
どうやら、スポーツをやっているとモテるらしい・・・
そうか・・・
それなら・・・
彼も?
なぜだか、その時、頭の中に浮かんだ人。
そのモヤモヤの意味がわからないから、
私は気付かないふりをして、
また何も考えないようにするのだった。
(・・・余計なこと考えてないで、)
(早く食べて、お土産見に行くぞ~~~!)
まだまだ子供の私は、
せっかくの修学旅行だから、
残りの日程を、思い切り楽しもうと思った。