さおちゃんが、文通相手の「しらいし」を家に連れてきた。
前に会ったことあるらしいけど・・・
正直、あんまり覚えてないw
でも、さおちゃんが「しらいしくんはイケメン」って言ってた言葉がわかったわw
全く好みじゃないけど、まぁイケメンだなw
蓮二のがかっこいいけど・・・(〃∇〃)
しらいしの印象は、良い子ちゃんだなと思った。
ってのも、
確かに白石は騒がしいんだけどわ。
関西人だからか、なんか1人でうるさい。
でも、うちうるさい男たち近所にたくさんいるから、それは気にならないんだ。
それより、真面目。
正当なことしか言わない印象。
こりゃ、真面目なさおちゃんと合うわけだ・・・と理解した。
なんか2人して、お互いに気を使うというか、
お互いに優しいから、すごく平和な世界だったw
この2人の間は平和だったわw
でも、私は気付いてしまったんだよね・・・
この2人はとてもニブチンであること・・・
だから、この2人は恋愛関係なく、普通に仲良くしてるんだなって。
今のところな!
今後は知らんけど、まぁとにかくなんだかこの2人が平和だったということを報告させてもらおう!
ちなみに、しらいしはたいそううちの両親に気に入られましたとさ┐(´-`)┌
8月。
なんか立海がテニスの関東大会?っての優勝したんだって。
そんで、氷帝が準優勝だったんだって。
観に来てって誘われたけど、行かなかった。
だって、立海って強いらしいから、氷帝負けると思ってたし・・・
まぁ、でもかなり3バカが悔しがってたから、
さぞかし、白熱した試合だったんでしょうねwww
んで、夏休み真っ只中の本日。
今日はテニスの全国大会。
さおちゃんが言ってた。
今日は「四天宝寺」と戦うんだよって。
四天宝寺は、おしたりけんやがいる学校。
実は、おしたりけんやからも、昨日メール届いたんだ。
『明日試合でるかも』
たった、これだけ。
これだけだけどね、なんとなく、観に行こうかなって・・・
思ってね・・・
さおちゃんも「今日はぜひ来てね」って言ってたし・・・
うん・・・
そうだ・・・
さおちゃんに誘われたから行くんだぞ!
別に、おしたりけんやを応援に行くわけじゃないからね!
むしろ、立海の人たち優しいから、立海を応援するんだから!
会場は、アリーナコロシアム。
うちから割と近かったので、1人で来た。
絶対に誰にも見つからない。
はずだった。
「あーーー!!まなみじゃーん!!!」
ひゃー
見つかった(ノД`)
一番見つかりたくない奴らに見つかった・・・
「なんだよ、お前、来てたのかよ!」
「おい!お前俺たちの試合は一回も来たことないのに、どういうことだ!!」
「あれだけ跡部が誘ってたのにね~」
「あ、お前もしかして・・・」
「うるさい!全国大会緒戦で負けたアンタたちには関係ない!」
「あ~はいはい」
「ムキになってるC~」
「なんや、まさかお前が応援に来とるとはな・・・」
「うるさい!あっちいけ!」
「行かねえよ!お前ら、ここら辺で見るぞ!」
なぜか氷帝に囲まれた・・・
マジで最悪だわ・・・
こいつら緒戦で負けたって聞いたから、会わないと思ってたのにクソっ!!!
来年のために試合見ておくんだってさ!!全くもう!!!
来年だってどーせ勝てないよ!!!
なるべく、こいつらに背を向けて、
試合だけ横目で見ることにした。
1回戦。
なんかシングルス?
3年の人だって誰かが言ってた。
2回戦。
ダブルス?
この人たちも3年生だって言ってた。
(あーあ・・・)
(やっぱり、立海に負けてるじゃん・・・)
今のところ、2-0で立海の勝ち。
四天宝寺は次の試合に負けたら、負けるっていうのが、
なんとなく私にもわかった。
(ベンチにさおちゃんいるけど・・・)
(さおちゃんは何を思って試合を見てるのかな・・・)
(試合に勝ったら嬉しそうだから、嬉しいのかな、やっぱり)
そんなことをぼーっと考えてた第3試合。
「お、謙也や」
バッ
忍足のその一言で、アタシはコートを見た。
シングルス2。
おしたりけんやの姿がそこにはあった。
「まなみ、ほら、出たぞ」
「うるさい!やめてよ!」
「ガクト、やめろよ」
「うるさい、静かにしろ」
こないだ、山本のおっちゃんが余計なことを言ったから、
みんなでゴチャゴチャ言い始めたけど、
アタシがけっこう本気で嫌がってるの、亮は気付いてたしなめてくれた。
そうやって、からかってくるところがガキなんだよ!
イライラしながら、試合を見る。
相手は、
(立海の、3年生・・・)
わかってるんだ。
おしたりけんやは、まだ2年生だし、
今年で部活を引退する3年生の気迫はすごいし、
何より、やっぱり立海は強い・・・
(わかってるけど、)
(どうして、こんなに応援してしまうんだろう)
アタシは、
汗が滲んだ手の平を、更に強く握りしめた。
(がんばれ)
(がんばれ)
(最後までがんばれ!!!!)
そう、心の中で思った。
ハラハラしながらその様子を見てたけど、
試合は、どんどん進む。
「あーあ、勝てるはずねぇよな」
「なー、勝てるはずねぇわ」
「は~あ、でも、もうアイツ戦う気力ねーんじゃねー?動き悪いし」
周りからそんな会話が聞こえた。
(負ける・・・って思ってたよ、アタシも、)
(けど、なんか違う・・・)
(なんか、いつもと違うってこと、アタシにもわかるよ・・・)
結果は・・・
6-0で、おしたりけんやの負けだった・・・
ストレート負けって誰かが言ってた。
「あいつ・・・なんか、らしないなぁ。あいつあんなテニスする奴ちゃうのに・・・」
そう、忍足が呟いていたのが印象的だった。
一緒に帰ろと誘うあいつらのことを、無視して、
アタシはフラフラと会場を後にした。
(なんでだろう・・・)
なんだか、心が晴れなかった。
負けたのが悔しかった?
なんでこんなにモヤモヤするんだろう。
(アタシ、テニスなんてルールもよくわかんないし)
(全然関係ないのに、)
(なんでだろう・・・)
(立海が勝ったことを喜べない・・・)
しばらく、会場の近くのベンチでぼーっと座って、
それから、1人でフラフラ歩いて、
そんなことをしていたら、
(・・・あれ?)
焼肉屋さんの駐車場で、スイカ割りを楽しんでいる四天宝寺の人たちを見つけてしまった。
(何してんの・・・?)
(・・・なんで、あんなに、)
イラッ
(無理矢理、笑ってるの・・・?)
その様子を見ていたら、
「あ、」
気付いたのは向こうだった。
騒いでいる部員達に、何かをこっそり告げて、
そして、彼は、
こちらへやってこようとした。
こっちにきた、おしたりけんやから、逃げるように、その場を去ろうとする。
けど、もちろんアタシの足じゃ、すぐに追いつかれてしまって、
「ちょお、何で逃げんねん!!」
そう、腕を掴まれた。
さっきの焼肉屋から、少し離れたどっかの駐車場。
アタシと、おしたりけんやの、2人だけだった。
「・・・試合・・・見に来てくれたん?」
「別に・・・さおちゃんに頼まれたから・・・」
「・・・ハハ、さよか。せやんな、俺の応援・・・のはずないよなぁ・・・」
俺、応援に来てとは言うてへんし
そう、
おしたりけんやは笑った。
(・・・なんなの)
(なんで笑っていられるの!?)
なんだか、むしょーに腹が立って、
アタシは、おしたりけんやに、思わず問いかける
「・・・なんで、笑ってるの?」
「へ?」
「悔しくないの!?」
「いや、悔しいもなにも、俺が勝てるはずないやんか」
相手は王者やで?
そうやって、また、おしたりけんやは、笑って見せたのだ
(なんなの!!!)
(なんなの!!!なんなの!!!)
「なんで!!!???勝てるわけないって思って試合してたの!!!??」
「は、」
「だから、あんなに動きが悪かったの!?!?」
「な、」
「負けるのは仕方がないって、思ってたの!!???」
「お、思うてるわけ、ないやないか!!!」
アタシの言葉に、
おしたりけんやも、大きい声を出した。
「そんなこと、」
「だって!!!途中で迷ってるみたいだった」
「え・・・」
「迷ってる、動きだった・・・!!!」
「・・・」
「目が、違った・・・!負けないって、目じゃ、なかった・・・!」
ボロボロボロボロ
いつの間にか、
アタシの目からは、
涙がこぼれていた
「な、なんやねん!!お前に何がわかるっちゅーねん・・・!」
「わからないよ!!アンタの事、全然知らないもん!!!」
「・・・ほな、お前にそんなこと言われる筋合いないわ!!」
「言う筋合いないよ!!アンタとアタシは赤の他人だもん!!!!言う筋合いないけど、悔しかったんだもん!!!」
「・・・え・・・」
「悔しい、って思ってるのはアタシだけなの!?」
「・・・」
「相手は3年だから?立海だから?だから、負けても、仕方ないの!?」
「・・・」
「諦めてたの!?」
「・・・」
「諦めながら、試合してたの!?」
「・・・」
「な、なんで、笑ってんのさ・・・」
「・・・」
「ばかぁ・・・」
「・・・」
アタシの涙は止まらなくて、
(アンタがどれだけ練習してたかなんて知らない、)
(どれだけテニスが好きかも知らない、)
(そんなに仲良くしてなかったんだもん!!)
(けど、)
(そうやって、)
(苦しそうに、笑わないでよ・・・!)
「・・・・・・・なんで、お前が泣くねん・・・」
「アンタが、 泣かない 、からでしょ!!!!!」
アタシは、走って、その場を後にした。
あいつは、アタシを追いかけてこなかった。
そして、
それから、おしたりけんやから、
連絡が来ることは、なくなった。