7月中旬。今日は関東大会!
神奈川県の県大会は無事に優勝。
関東大会も優勝して、全国大会に行きたいものですねぇ。
みんな頑張ってるから絶対優勝したい・・・(´・ω・`)
さて、関東大会。
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の6つの地域から勝ち残った代表校が戦うよ。
私たちは神奈川県代表。
そして、東京代表は・・・
「さおり~~~!」
「ジロちゃん!」
開会式の後、珍しく起きてるジロちゃんがやってきた!
「丸井くんは!?」
・・・ブンちゃん目当てなのね・・・
知ってたけど・・・
ジロちゃんは、そのままブンちゃんに話しかけて、嬉しそうだ。
そしてこちらは・・・
「よう、立海」
「やぁ、こんにちは」
跡部くんと幸村が挨拶してる。
2人共まだ2年生だけど、部をまとめてるようなもんだからね。
まだ幸村は部長じゃないけど、実力は3年生よりあるからね・・・
「都大会優勝なんてすごいじゃないか」
「ハッ、嫌味か?」
「まさか、賞賛だよ」
「・・・待ってろよ、今年の優勝はうちがもらう」
「ふふっ、負けないよ」
「すっげー・・・バチバチじゃん・・・」
「あれ!?いつの間にいたのがっくん!」
「ん?さっきから」
「そうなんだ・・・」
「俺らすっげー練習してたからな、負けねーぜ」
「あ、亮ちゃんも」
「よお」
「ねぇねぇ、ジロちゃん珍しく起きてたね」
「そうだぜ?『丸井くんと会えるー!』って楽しみにしてたからな」
「帰りは寝るだろうな」
「もう帰りのバスでジロんちまで送ってもらおうぜ」
「え・・・あの商店街の狭い道に氷帝のバスは邪魔すぎるよ・・・」
「だよなー」
「さおり、行くよ」
「あ、うん」
「じゃあな、さおり」
「うん、またね」
氷帝は去年は関東大会には進めなかったから、私もなんだか嬉しかった。
だって、すごい練習頑張ってたもんね・・・
跡部の練習厳しいーって言ってたけど。
でも、みんなすごい楽しそうだったし、私も嬉しい!
そうして、関東大会がスタートしたのだった。
順調に勝ち進んで、準決勝。
ベスト4を決める戦い。
隣のコートでは、青学と氷帝が戦っているようで、
こちらは、六角という学校と戦っている。
とても、ユニークなラケットの学校だったよ。
初めて見たなあ、あんな長いラケット・・・
とか思っている間に、無事に勝ち進み、
いよいよ明日!
決勝戦になった!
「明日、いよいよ決勝戦だね!」
「おう」
「頑張るよ」
「うん!頑張ってね!すっごい応援する!」
「さおり、まなみは来ないのか?」
「明日?明日は氷帝との戦いだから、誘ってみようと思うよ」
「そうか、ぜひ誘ってくれ」
「うむ、誰が見ていても、気合いを入れるだけだな」
「真田先輩、いつも気合い入ってるじゃないっすか~」
「当たり前だろ!!」
そんないつもの会話をしながら、会場を後にする。
氷帝みたいに、バスなんてないからね。
立海はいつも会場まで交通機関で移動しているよ。
会場の出入り口を抜けようとした時・・・
「あ、前さん」
そう、声をかけられて振り向いた。
「・・・・・・・・あ!」
白石くん!
私の声は響いて、先輩も後輩も、みんな振り向いた。
(わわわ、)
(ちょっと恥ずかしい!)
でも、
それよりも、
彼がいたことに驚いて、
私は彼に駆け寄った。
「どうしたの!?なんでいるの!?」
「偵察やで」
「そうなの!?びっくりした!来るの教えてくれれば良かったのに~!」
「いや、そっちの試合終わった後やし・・・忙しかったら悪いと思うて連絡せんかったんや」
けど、会えてよかった
そう、白石くんは笑った。
「やぁ、白石くん」
「お、幸村クン!決勝進出おめでとう!明日は頑張ってや!」
「ああ、もちろんそのつもりだよ」
「今日は、青学と氷帝の試合を中心に見とったから、明日はしっかり見させてもらうで」
「ふふっ、どうぞ。見られて困ることはないからね」
「・・・すっごい自信やな・・・全国が楽しみやわ、俺らも全国大会決まったから、よろしゅうな」
「え!?そうなの!?おめでとう白石くん!」
「おおきに!関西大会優勝したで」
「すごいね!!」
「全国が楽しみだよ」
そっかぁ~関西大会優勝したんだ~。
よかったなぁ~。
そうだよね、そしたら、全国大会では戦うかもしれないもんね。
白石くんとはあんまり戦いたくないけど、・・・少し楽しみだな・・・
そうぼんやり考えていた。
「これから帰るんやろ?」
「あ、うん、そうだよ」
「・・・ほな、どっか飯でもいかへん?」
「え!?白石くんは今日は帰らないの?」
「ああ、部長として関東大会見に来てて、明日の決勝のあと帰るんや。先輩と来ててんけど、先輩たちは遊びに行ってもうたから・・・」
そういえば、白石くん、
2年生で部長になったって手紙で言ってたな・・・
先輩たちのいる中で部長って、やっぱり大変なんだと思う。
先輩たちに気使って別行動もしたくなるよね・・・
大変だな白石くん・・・
「白石くんがいいなら、うちおいでよ!」
「え!?ええの!?」
「うん、お母さんに連絡してみるね」
「うわー、ほんまに?大丈夫?」
「うん!あ、電話・・・公衆電話・・・」
「あ、おれのPHS使ってええで」
「え、悪いよ」
「いや、俺がお邪魔させてもらうんやし・・・使ってや」
「うん・・・じゃあ、お借りするね」
「俺も行きたい」
「俺もー」
「俺も行きたいっす!」
「え?みんなはダメだよ、明日決勝なんだから、しっかり家で休んで!じゃないとダメ!」
「・・・うちのマネージャーは厳しいね」
もう、みんななんだかソワソワして、変な感じだよ。
今まで家に来たいって言われたことなかったのに・・・
どうしたんだろう?
そう思いながら、家に電話した。
お友達を呼んでいいかって聞いたらあっさりOKが出た。
まぁそうだろうね。
たまにジロちゃんとかがっくんとか亮ちゃんがうちでご飯食べることもあるし・・・
あんまり気にしないんだろうな・・・
電話してる間に、毛利先輩に挨拶していた白石くんの近くに駆け寄る。
「・・・お母さん、いいって言ってたよ!」
「ほんまに?悪いなぁ」
「いいんだよ・・・あ、白石くん東京のレストランとかにご飯食べに行きたかった?」
「いや、それは別にええねん」
「そう?うちのご飯で悪いけど、一緒に食べよう!家のがゆっくり話せるし、今日春巻きらしいから、美味しいよ!」
「ええな、春巻き」
「え、っちゅーか、いつの間にそんなに2人は仲良くなっててん?」
白石くんと話してたら、毛利先輩が聞いてきた。
あ、そうだ、文通してること言ってなかったんだ。
私が白石くんのことをチラッとみると、白石くんは、
こっちを見て、しーっと指を口に当てた。
(・・・)
(・・・内緒ってことかな?)
(・・・うん、)
(私も、なんだか、)
(文通のことは内緒にしておきたいな・・・)
「まぁ、ちょっと、いろいろあったんですわ」
「なんや、ノスケ、お前女の子に興味なかったやん!」
「いやいや、友達ですよ!?ホンマにただの友達なんで勘違いせんといてください!」
「そうそう、友達友達」
「・・・それならいいけど」
「友達だよ?みんなと一緒」
「友達なら、さおりん家いってもいいじゃん」
「だから、今日はダメ!明日に備えて!」
「やっぱり厳しいなぁ、うちのマネージャーは」
そんな話をしながら、
駅でみんなと別れた。
みんな神奈川まで帰らないといけないからね。
私、東京だから私のほうが会場と近いんだ。
「じゃあ、みんなまた明日ね」
「・・・うん、また明日」
「さおり、余計な情報与えんなよ!」
「え、大丈夫だよ、そんなことしないよ!」
「立海のことは、明日の試合見るからええねん!そこまで卑怯なことせんで!」
「そうそう、久々の友達との再会を楽しむだけだから安心して」
「そうですか・・・白石くん、さおりさんのことお願いしますね」
「ああ、任されたで!」
「じゃあね~バイバ~イ!」
みんなと別れて、電車に乗って、家まで向かう。
道中も一緒にずっと会話が途切れなくて、
やっぱり白石くんと話してると、楽しいなーって思った。
「そう言えば、東京のよしもと来たんでしょ?」
「せやで、見たことないって言ってたよなぁ?」
「うん、ないの。行ってみたいなぁ~」
「今度一緒に行きたいよなぁ」
「うん!一緒に行きたい!」
「な」
「あ・・・でも、」
「ん?何?」
「よしもとよりも、一緒に行きたいところあるんだった・・・」
「え?どこ?」
「あのね、植物園」
「・・・」
「白石くん、すごい詳しいから、絶対一緒に行って楽しいと思うんだよね」
「・・・うん、せやな、いつか一緒に行こ」
「うん!一緒に行こう!」
「おん、約束な」
そういった白石くんは、
なんだか、とても嬉しそうに笑っているから、
(あれ???)
(な、なんか・・・)
今まであんまり意識してなかったけど、
(白石くんって・・・すごいカッコイイもんね・・・)
(そういえば、じゃにーずみたいって思ってたんだった・・・)
今さらながら、少しだけ
ドキッとしてしまったことは、誰にも内緒。
彼の顔がまともに見れなくなったまま、
家に着いたのだった。
「ただいまー。お母さん、お友達つれてきたー」
「お、お邪魔します!」
外に食べに行くのは、夜だし怒られちゃうかなって思ったから、
家に誘ったけど、やっぱり、白石くんは外に食べに行きたかっただろうか?
そう思いながらも、やっぱりもう少し話していたかったし、
家に来てくれるのが一番だったから、誘ったんだ。
お母さんの代わりに、玄関まで出てきたのはまぁちゃんだった。
「・・・」
「あれ・・・前に・・・合同練習の時おったな・・・妹さんやろ?」
「あ、そうそう、覚えてたんだ」
「いつも手紙では話聞いとったけどな!そっかぁ・・・妹さんやったんか!」
「誰こいつ」
「まぁちゃん!そんな言い方しちゃだめ!練習試合の時いたよ」
「もう忘れたよ」
「もーまぁちゃんは・・・いつも私が文通してる白石くんだよ」
「ああ!しらいしくらのすけか!いつもさおちゃんにしつこく手紙送ってくる!」
「しつこく・・・」
「何言ってんのまぁちゃん!文通だからやり取りするの当たり前でしょ!!もう・・・ごめんね、白石くん。あ、こっちが居間だよ」
私は、白石くんを居間に連れて行って、
お母さんがキッチンから白石くんのことを見に来て、
白石くんは少し緊張した様子で挨拶していた。
(文通してくれてありがとうって言われて照れてた)
そして、そのまま2人で手を洗ったら、ソファで座って待っててもらって、私は着替えることにした。
部屋着に着替えて、居間に戻ると、まぁちゃんがなぜか今までの白石くんから来た手紙を持って白石くんに詰め寄っていたから、目ん玉とび出るかと思うくらい驚いたよ!
「ちょっと!まぁちゃん何してるの!?」
「いや、この分厚さないわって言ってただけ」
「もう、変な事しないでー!!」
「・・・やっぱ、読むの大変やったよな・・・」
「え!全然だよ!!とっても楽しいよ私は!」
「え、」
「毒草の話とかね、本当に楽しくて、私こないだ植物図鑑でどんな花かな~って調べたりしてね、」
「え、ほんまに?」
「本当だよ!気にしなくていいよ!まぁちゃんだけだよ、分厚い分厚いって騒いでるの」
「一般的に見たら分厚いだろwww」
「いいの!」
私がそう言ってると、お母さんがご飯できたよーって言うから、みんなでいただきますした。
お母さん、
ちょっと白石くんに春巻き多くあげすぎじゃない?
「うまっ!!めっちゃ美味い!!こんな美味い春巻き初めて食べました!」
「白石くん、量多くない?大丈夫?食べれる?」
「え、全然いつもこれくらい食べてるで」
「え!?すごいね!!」
「まえさんは小食やなぁ・・・」
「うん・・・あんまり食べないよ私・・・」
「キュウリ・・・」
「あ、まぁちゃん!さり気なく白石くんのお皿に移さないの!」
「なんやキュウリ嫌いなんか、美味いやん」
「そんなのコオロギの食べ物だぞ」
「コオロギって・・・そういや、ヒョウタンと一緒にキュウリ育てるとキュウリが毒入りなってなうんやって」
「そうなんだ!白石くんは物知りだねぇ」
「毒草のことなら任せとき!」
「役に立たないしょ」
「役に立つで!毒草食わされそうになっても平気や!」
「誰にだよw」
こうして、楽しく夕飯を食べて、
少し家でのんびりした白石くんは、
なぜかうちの両親に気に入られて、
泊まっている民宿まで車で送ると言うので、私も一緒に乗って行くことにした。
「・・・明日も早いのにすまんな」
「うちから会場近いし平気だよ」
「今日めっちゃ楽しかったわ」
「ほんと?それなら良かった!」
「うん、前さんの家族、みんなええ人やな」
「白石くんの家族もでしょ?」
「え?」
「白石くん良い人だから、きっと家族みんな良い人なんだなって思うよ」
「俺、良い人?」
「うん」
「はは、それは嬉しいわ」
「ねぇ、」
「ん?何や?」
「明日も会えるかなぁ?」
「・・・明日は、決勝見たらすぐに帰らんといかんくて・・・」
多分、無理・・・かも・・・
白石くんが、少し気まずそうに、そう言った。
(そっかぁ、残念・・・)
(明日も会いたいなぁって思ったんだけどな・・・)
「うん、じゃあしばらく会えなくなるね・・・明日気を付けて帰ってね」
「おん、おおきに」
「・・・全国大会で会おうね」
「おん、絶対負けへんで!」
「うん、うちも負けないよ!」
最後は、白石くんと笑顔でバイバイした。
次に会うのは、来月の全国大会だなぁって思ったら、
一ヶ月後が今からとっても楽しみになった。