第24話:マナミ

「もーーーー!!城の中くらいいいじゃん!!」

 

キッチンに行ってつまみ食いもできないのかよーーー!!

 

と、アタシの叫び声は虚しく部屋に響くだけだった。

 

 

 

あの日、泣きじゃくるサオちゃんに 私は声をかけることが出来なかった。

そして、余計なことをしてしまったのではと頭の中がグチャグチャで

 

 

なぜ姫様がここに!? と驚いた兵士や騎士に八つ当たりをし・・・

結局、どう部屋を抜け出したのかとか、記憶のないサオちゃんを連れて抜け出したこととか(もう私が連れだしたと決めつけられてるのが腹立つわw)(まぁ間違えではないけどな!!)が色々問題になって自室謹慎となってしまったのである。

24時間部屋の中には監視役がいる。抜け出せない。クソゥ。

 

 

「まぁちゃん、このお菓子すごく美味しいよ」

 

 

そうそう!監禁状態だけど、悪い事ばかりではない。

もっと手厚く警備が必要だとサオちゃんが私の部屋へと移されたんだ!

やっぱ本館には兵士や騎士が多いからね!!

ずっと一緒にいられるぞ!

サオちゃんの様子も落ち着いてきたと両親は喜んでいたけど

まぁ一番の思惑はサオちゃんがいたんじゃアタシが部屋から抜け出せない、何かをやらかすこともないと それが目的なんだろう。

うんわかってる、アタシとってもサオちゃんの前じゃいい子だから。

 

 

サオちゃんはあの日・・・

部屋に戻るとその日あったことを忘れないようにと泣きながらノートに書いていた。

必死に、細かく。

彼を救いたい、と一生懸命書いていた。

 

 

アタシは咄嗟に マズい と思った。

 

 

サオちゃんは、あの賢者の顔を見ただけで泣いた。名前を聞いただけで泣いた。

名前を聞いただけで泣くんだよ?

こんなノートを見たら、会って話しただなんて、彼が処刑されてしまうだなんて、また思い出して毎日泣いて苦しむんじゃないか。

 

 

そう思ったんだ。

 

 

だからアタシは サオちゃんが寝た後に、ノートを破った。

そこの部分だけ、上手に破って隠した。

賢者には申し訳ないけど、アタシだってサオちゃんが大切なのだ。

守りたいと思っているんだ。

 

 

(大体あの賢者・・・サオちゃんの記憶を消して同じ毎日を繰り返すようにした張本人だとか・・・)

(そんなやつ、本当に信じられるかもわかない・・・)

(でも、あの時のサオちゃん、すごい必死だった)

(まるで・・・恋をしているかのように・・・)

(何か事情があるんだろうか・・・)

(アタシだけでも抜け出してアイツに事情を聴きにいきたいけど・・・もう侍女が24時間ずっとついてるからな・・・マジで抜け出すのは難しいし・・・)

 

 

途方に暮れたアタシは どうしたらいいのかモヤモヤするし 部屋から出れないし 行動監視されてるしで

 

 

もーーーーーーーー

 

 

めちゃくちゃストレスが溜まっていた。

 

 

(ケンヤ・・・試験、どうだったのかな・・・)

(あああああ飛び出したいいいいいいいもうううううストレスたまるうううううう!!!!)

 

 

「あーキッチン行きたい!!ほんと、ブン太のお菓子最高だからね!ブン太に会いたい、スイーツトークしたい、イケメンに会いたい・・・てか・・・街行きたい・・・ザイゼンのあの細い腰に飛びつきたい・・・ユウジにしばかれたい・・・」

 

 

(ケンヤに会いたい・・・)

(せっかくサオちゃんのおかげで好きだと自覚したのに全く会えてないもんな)

 

 

「話したい事、たくさんあるのにな・・・」

「誰に?」

 

 

サオちゃんが不思議そうにアタシの顔を覗き込んでいた。

 

 

「わ、ビックリした!ほら・・・昨日ノートに書いたでしょ?ユウジとザイゼン、あとキンちゃんとチトセ!」

「あれ?あと医者の卵の・・・もう一人いたよね?確かノートに・・・あ、きみの好きな・・・」

「しー!!!!!それナイショだから!聞こえると困るから!!」

 

 

サオちゃんは楽しそうに小さい声で 進展はないの!? とワクワクしながら聴いてきた。きみ恋バナ好きだな!

毎日記憶がなくても、毎日こうして仲良くなれる。

細胞レベルで分かり合える!やはり双子最高!

そう思っていた時、部屋をノックする音が聞こえた。

 

診察の時間かな、と思った。

サオちゃんは毎日医者と魔術師による診察を受けていたから。

 

 

「診察のお時間です」

 

 

侍女が扉を開き外の人物と話をして、アタシ達に声をかけた。

 

 

「やっぱりね!はいはい、サオちゃん先生来たよ」

「・・・まぁちゃん」

 

 

診察にはケンヤのお父さん来るんだよなー父さんにはよく会ってんのに息子には会えんなーとボンヤリ思っていたのだけど。

サオちゃんの耳打ちで、アタシは 驚くことになる。

 

 

「・・・アタシが診察してる間、お城抜け出してきて」

 

 

え!?!?!?!?!?!?

我が耳を疑った!!

あの真面目なサオちゃんが!毎日記憶なくて怯えてるサオちゃんが!!!

そんなことを言うなんてマジでおったまげーだよ!!!

 

 

「え、でも」

「・・・大丈夫、診察の時侍女さんたちも私につきっきりだし、みんな私のこと見てるもん・・・今がチャンスだよ」

「サオちゃん・・・」

「ごめんね、私、覚えてないんだけど・・・彼に会いたいんでしょ?行ってきて」

 

 

ほら、はやく と、あの臆病なサオちゃんに背中を押されたのだ。

私は思わず、うるっと涙が出そうになった。

 

 

(・・・サオちゃんのノート・・・切っちゃったの・・・悪かったかな)

(サオちゃんだって・・・あの賢者と会いたいはずだよな・・・)

(泣くほど好きなんだから・・・)

(アタシ・・・これでいいのか?)

(ほんとに・・・)

 

 

ぐっと 涙をこらえて顔をあげた。

 

 

(そうだ)

(ケンヤなら・・・・)

(今なら全て 教えてくれるかもしれない・・・!)

(ケンヤに会いに行こう!)

(まずはそこからだ!!)

 

 

アタシはサオちゃんと目を合わすと、小さく頷いたサオちゃんの合図で 姿を消して城を抜け出した。

 

 

(待ってて、サオちゃん!!必ず・・・サオちゃんのためにも、全てを思い出して見せるから・・・!!)

 

 

久々の外は とっても風が気持ちよかった。

 

 

・・・・・・・・・・・・って、街にきたけどね!!!

 

 

まぁそう簡単にケンヤに会えるわけないよな、会えたら都合よすぎだし!

一応誰かに見つかるとヤバイから姿は消したままである。

でもこれずっとだと疲れるんだよな・・・

サオちゃんと二人で姿消した時なんかは、マジで丸一日動けなくて寝たきりだったもんな。

 

 

あー、もう、時間ないのにーーー!!!

 

 

とか思いながらアタシはケンヤを探して国中を走り回った。

 

 

カーカーカーカー

 

 

気づけば・・・・夕方だぜ・・・

カラスが鳴いている・・・

 

 

これあれだね・・・城に戻ったら完全に怒られるパターンだね・・・

うぅ・・・考えたくもない・・・

 

 

と、思ってるとき・・・!!!

 

 

赤い夕陽が反射して、金色の髪が赤く染まるケンヤを発見した!!!

アタシはすぐに走って行って、ケンヤの腕を引っ張った。

 

 

「?」

 

 

ケンヤが振り向いた時、慌てて姿を現した。

 

 

「・・・え!?姫様!?ど、どないしたん!?」

「ケンヤ・・・!見つかるとマズイの、こっちきて!」

 

 

そう必死なアタシに何か感じたのか、ケンヤはコクンと頷くと 屋根に上ろか と アタシを屋根の上まで導いてくれた。

 

 

「ねぇ、試験どうだった?」

「おぉ、姫様にもらったペンのおかげでバッチリやったで!」

「ほんと!?よかった!!気になって気になって仕方なくてさ・・・これでもう医者の卵じゃなくなるね!」

「おう、ケンヤ先生の誕生やで!」

「ケンヤ先生wwww」

「笑うなや」

 

 

真っ赤な夕日が沈んでいくのが見える。

夕日色に染まるケンヤの髪は とても綺麗だと感じた。

 

 

「・・・屋根の上、久々に来たね」

「せやんな、よぉ城抜け出して姫様ここで泣いとったな」

「そうそう、初めてケンヤと会ったのもここだったよね。14の時かな・・・王位継承者としての勉強や躾が厳しくて抜け出してここで泣いてたらケンヤが見つけてくれたんだよね」

「・・・初めてや、ないで」

「え?」

「ほんまはもっと、小さい時から・・・」

「あ・・・そっかぁ、アタシだけだもんね、記憶ないの・・・めんごめんご」

「いや・・・俺も何も教えられへんくて、ごめんな」

「ううん・・・今なら、それが優しさだってわかるからさ」

「うん・・・」

「みんな、優しかったよね・・・14歳のときからの記憶しかないけど みんなずっとアタシを守ってくれてたの、今ならすごいわかるんだ」

「・・・」

「だからこそ・・・全てを知らないといけないと思ってる」

「え?」

「思い出したいの・・・全部・・・それでもしかしたら、サオちゃんも救えるかもしれない」

「どーいう・・・」

「賢者シライシ」

「!?」

「知ってる・・・んだね、やっぱり。お願い、聞かせて、彼のこと」

「・・・頭、痛くなるんとちゃう?また倒れてもうたら・・・」

「大丈夫」

「けど・・・」

「お願い、時間ないの・・・!あの人、処刑されるの、だから・・・!」

「処刑!?シライシが!?」

「うん・・・大罪人なんだって・・・うちの国、処刑制度ないはずなのに、彼だけ急に処刑なの・・・おかしいでしょ?」

「それは・・・おかしいわ」

「あのシライシって人がサオちゃんの記憶消したらしいの。1日を戻る魔法かけたって言ってた。だからサオちゃん毎日記憶なくて苦しんでるの、全部あの人のせいって・・・」

「シライシが・・・?」

「でも、サオちゃん、シライシって人見て 泣いたの。いっぱい泣いてたし、処刑の話聞いたときすごく震えてた・・・サオちゃんがあそこまで気になる人だから悪い人じゃないと思うんだ・・・でも・・・処刑を覆すことは難しくて・・・アタシ、どうしたら・・・」

「そうか・・・これだけは言うとくわ。シライシは、意味もなくそんなことするようなヤツとちゃう・・・絶対にサオリのために行動するはずなんや・・・俺の知っとるシライシは、自分の命をかけてでもサオリのことは必ず守るやつや」

「そう・・・そっか・・・それだけでも聞けてよかった!やっぱり何かあるんだね・・・それを知りたいからシライシに会いたいんだけど警備が厳重過ぎて・・・どう考えてもシライシに魔法解く方法聞いた方が早いと思うのに、すぐ処刑なんて 絶対おかしい・・・」

「俺も、おかしいと思うわ・・・処刑は今の国王では法律的にも認められてへんし・・・」

「・・・魔法以外にも呪いをかけたらしいんだよね、それも罪に問われてて」

「呪い・・・?呪い・・・って、生死にかかわるやつ・・・やんな?」

「そう・・・だよね・・・?サオちゃんに呪い・・・?かけると思う?」

「あのシライシが・・・?信じられへん!そないなこと絶対ありえへん!呪いだけはないわ!!そんなことは絶対シライシはせぇへん!!」

「・・・じゃあもし、他の誰かにかけられた呪いを解くために・・・もしくは進まないようにするためにシライシが魔法を使たとしたら・・・?」

「・・・・・・・時を進めなくなる魔法・・・・・・・それや!呪いはジワジワ進むはずなんや!進行抑えるためにシライシが魔法をかけてるなら・・・!」

「無罪・・・シライシを・・・救える・・・!」

「あぁ、そうや!救える!俺、協力するわ!なんでも・・・!!」

「ありがとう!やっぱりケンヤに話してよかった!!」

 

 

ハッ!

 

 

気が付くとアタシたちは、手を取り合っていた。

気づいて恥ずかしくなってすぐに手を引っ込めたけど

ケンヤの顔が赤いのが 照れたからなのか夕日のせいなのか、 そんなことはわからなかった。

 

 

「・・・アタシの記憶も、戻るかなぁ」

「・・・戻れば、ええなぁ」

「戻ったらさ、ケンヤ、もうガマンしないんでしょ?」

「え!?な、な、な、なに!?何言うてんねん!?」

「オイカワに言ってたじゃん、もうガマンしないって・・・それって、アタシのことでしょ?」

「へ!?べべべべべべべつに!!!!べつに姫様のこととっちゃうけど・・・!!!」

「顔赤いよ」

「――っ!!夕日のせいや!!!」

 

 

真っ赤なケンヤを見て おかしくてクスクス笑った。

いつからケンヤの存在がこんなに大きくなったんだろう。

話をすると嬉しくて会いたくてソワソワして。

 

 

(そういえば)

(サオちゃんが 背中押してくれたんだっけな)

 

 

「ねぇ、ケンヤ」

 

 

アタシは 真っ直ぐにケンヤを見つめた

 

 

「・・・アタシは、ガマンしないでほしいなぁ」

「え?」

「・・・アタシ、ケンヤが 好き」

「!!?な、な、な、なに、言うて・・・・!!」

「だからもし、ケンヤにもうガマンしなくていいよ、って言ったら ケンヤはどうするの?」

「え、そ、それは・・・」

「ねぇ、ケンヤ、ガマンしないでさ、聞かせてよ」

「・・・・・・・・頭は 痛く、ないんか?」

「うん、」

 

 

そう言うのと同時に

アタシはケンヤに 抱きしめられた。

 

 

「・・・ガマンせんでええなら・・・ ほな、言わせてもらうわ」

「うん」

「・・・好きやで」

「うん」

「ずっと・・・ずっと好きやった、ずっと、こうしたかった・・・」

「うん・・・」

 

 

アタシはケンヤの背中に手を回し

ぎゅう、とケンヤを抱きしめた。

真っ赤な大きな夕日だけが アタシたちを照らしていた。

 

 

「・・・・・・・・・あーあ、こんなこと、許されると思ってんの?」

 

 

声が聞こえて ハッと 顔をあげた。

 

 

「マナミちゃん、きみは俺の婚約者だよね?付き合ってんだよね、俺たち・・・なんで他の男に好きとか言ってんの?」

 

 

これはもうオシオキが必要だね、とブチ切れたオイカワが ホウキにまたがって、宙に浮いていた。

 

 

(ひえ!!!!)

(目がマジだこれ・・・!目がマジのやつ・・・!!!!)

 

 

「オイカワ、落ち着け」

「落ち着けるわけないじゃん!!きみは俺のなんだよ!?なにやってんだよ!おい、お前も!離れろよ!!」

 

 

ひひひひえーーーーーー

なんだこの夫に不倫現場目撃された妻のような気分は・・・!!!

悪いことしてないのに心が痛む・・・!!なんだこれおかしい・・・!!!

 

 

「・・・離さへん。もう、絶対離さへん、こいつは俺が守る」

 

 

(!!)

 

 

ケンヤのその一言で

なんだか我に返った気がした。

 

 

そうだ

アタシが好きなのはケンヤだ。

 

 

魔力も能力も何もないけど なんて頼もしいんだ、ケンヤは。

 

 

(アタシも、負けてらんないな)

 

 

「は!?魔術も使えないお前がどう守るんだよ!?どいつもこいつも・・・俺が今までどんだけ苦労して・・・」

「・・・ごめんオイカワ、アタシが間違ってた」

 

 

!?

 

 

その言葉に驚いたのはケンヤだった。

オイカワはニヤリと笑って、 でしょ?ほら戻っておいで、今なら許してあげるよ と言った。

 

 

「・・・うん、悪かった。許してね、オイカワ。・・・順番、間違えてたね」

「・・・・は?」

「ちゃんと別れてからケンヤに告白すべきだったわ。別れよ、オイカワ」

 

 

そう真っすぐ伝えたアタシに 彼は 息を飲んだ。

 

 

「・・・うそでしょ?」

「マジだ」

「え、ちょっと待って・・・だって魔法・・・解けてないよね?」

「やっぱお前か、魔法かけたの。今すぐ解かないとぶっ殺すぞ」

「え!?え!?う、ウソでしょ!?なんで!?だって、だって!!マナミちゃん、俺のこと好きじゃないの!!?」

「好きだ!!!!」

「・・・え?」

「でも、ケンヤのことはもっともっともっともっともーーーーっと大好きだ!!!!!」

 

 

そう力を込めて言ったアタシに オイカワは、絶句した。

 

 

「アタシの運命の相手はケンヤなんだと思う。きっとそれは何度魔法かけてられても、何も覚えてなくても、きっとアタシは何度だってケンヤに恋をするよ」

 

 

だから・・・お願い、記憶を戻して、アタシ・・・サオちゃんのためにも全て思い出さないといけないの、お願い

 

 

そう頭を下げると、オイカワは めちゃくちゃ低いトーンで

 

 

「・・・ふざけんな」

 

 

と呟いた。

 

 

「俺がどんな気持ちで今まで・・・!どんだけがんばって来たと思ってんだよ!!今更記憶を戻せ!?お前を救ったのは俺なのに!?お前の両親もお前も、イカれてるよ!!俺が今まで・・・どれだけ・・・」

「・・・ごめんな。王位が欲しいなら、あげるよ」

「え?」

「王位いらないから」

「・・・何、言って」

「だって、アタシが必要なのは王位じゃなくてケンヤだもん。そして、救いたいのはサオちゃん。そのために記憶が必要なんだ・・・お願い、オイカワ・・・記憶を戻して」

「---っっっ!!!!」

 

 

オイカワは俯きながら震えていて

あ~これめっちゃ怒ってるから無理だろうなって そう思ったんだけど

 

 

「・・・・・記憶は、戻してあげるけど・・・・・・婚約だけは破棄しないからね!!!」

 

 

そう言って アタシに魔法をかけて 姿を消した。

 

 

(・・・・・・・)

 

 

すごく心地のいい 不思議な光に包まれたアタシは、そっと目を開けた。

 

 

「・・・マ、マナミ?」

 

 

隣では、ケンヤが心配そうに アタシの顔を覗き込んでいた。

 

 

「・・・やっと、マナミって呼んでくれたね」

「え?」

「ただいま、ケンヤ・・・全部、思い出したよ」

「マナミ・・・マナミ・・・・!」

 

 

ケンヤはギュウとアタシを強く抱きしめて、涙を流した。

 

 

(・・・ごめんねケンヤ)

(つらいとき 毎日傍に居てくれたんだね)

(そんな大事なことも、アタシ・・・忘れてた)

(もう絶対、離さない)

(・・・クラノスケ・・・サオちゃん・・・もう大丈夫)

(アタシが絶対 守るから)

 

 

ケンヤの背中に手を回して、 しばらくはそのぬくもりに酔いしれた。

 

 

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