011***さおり(中2)

季節が巡って春。

去年までは大きな制服に身を包んで、緊張した面持ちで校門に足を踏み入れた私だけど、

2年生になりました!

 

(今日から私も先輩か~)(楽しみだな~!)

 

小学校の頃は、先輩後輩とかそんなのなくて、学年なんて関係なしに遊んでたし、

初めての後輩が出来る。

 

 

「ふわ~」

「ふふっ、ぶんちゃん、眠そうだね」

「お、さおり、はよっ!」

「おはよ!昨日寝るの遅かったの?」

「あ~ケーキ作ってた」

「そうなんだ!」

「持ってきたから、昼休み、一緒に食おうぜ」

「やったぁ~!」

 

 

 

ザワザワ ザワザワ

 

 

 

(ん?)

 

 

 

「あれ・・・?なんか騒がしいね?」

「あ、あいつ・・・」

 

 

 

声がするほうと、ブンちゃんの視線の先を見る。

 

 

 

するとそこには、

 

 

 

 

「全国ナンバーワンになったテニス部に入って、俺はナンバーワンになる!!!」

 

 

 

 

そう、

 

校門の上で大きな声を出している子がいた。

 

 

 

 

(え・・・?)(テニス部?)

(あの子、テニス部希望なの???)

 

 

 

 

「こらー!そんなところに登って何してるんだー!」

「す、すみません!!」

 

 

 

 

すぐに怒られて校門の上から降りていたその子は、

なんだかとても元気があるような、そんな男の子だった。

 

 

 

 

「おもしれーなあいつ」

「わぁ、あの子テニス部希望なのかな!?」

「だろうな~。さっきすげー勢いで走ってったわ」

「ホント!忙しい子だねぇ~」

「そうだな」

「元気があっていいね!」

「おもしれーやつ」

 

 

 

 

そんなことをブンちゃんと話しながら、校門を通る。

部活の時間が楽しみだな!

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「あいつ来ね~な~」

「だね」

「1年への説明とか大体終わったのか?」

「うん、終わったよ」

 

全国優勝ってこともあって、小学生の頃からテニススクールに通っている子達の憧れの学校。

それが、立海大付属。

 

だから、入部届をもらいに来る子もものすごく多かった。

受付は他の人がやってくれてるから、私は今後の部活の持ち物とか、練習内容とか、いろいろまとめた用紙を配ったり、簡単な説明をしたりしていた。

 

今朝、見たあの元気な子は来なくて、なんか私もブンちゃんも少しあの子のこと気になってた。

(あの子どうしたのかな?)(元気がある子が入ると部内も明るくなるような気がするんだけどな~)

 

そんなことを考えながら、普通に部活の準備をする。

今日は新入生の受付もあったし、ちょっと遅いんだ。

 

そこに

 

 

バタバタバタバタ

 

 

そんな足音が聞こえて、

 

 

「お、あいつ来たみたいだな」

 

 

そういって、ブンちゃんは入部届を持って、ご機嫌に行ってしまった。

 

(ブンちゃん面白いこと好きだし)(あの子のこと気に入りそう・・・)

 

 

 

案の定、その子は入部希望で、

 

そして、「試合してくださいよ~!」

 

なんて、3年生の先輩にそんなことを言っていた・・・

 

 

(大丈夫なのかな?)

 

 

先輩たちもその気になって、試合をしたんだけど、

 

 

なんと、その子は3年生の先輩たちに勝ってしまったのだった!

 

 

「すご~い・・・」

「マジかよ・・・」

 

ブンちゃんとそんな話をしてたら、三強がやってきた。

 

 

「なんで2年のアンタたちと戦わなくちゃいけないんすか」

 

 

そんなことを言ってたけど、

実際に戦ってみると、三強にぼろ負けで、

 

その子はブンちゃんに八つ当たりをして、そのまま走っていなくなってしまった・・・

 

 

 

「大丈夫かな・・・あの子・・・」

「大丈夫じゃね?ラケット振り回す元気あったし」

「そういう問題じゃなくて!」

「わかってるよ、あいつのプライドの問題だろい?」

「・・・うん、何も本気でやらなくてもいいのに」

「本気でやるに決まってんだろい」

「え?」

「手抜いた方が、アイツに悪いだろ」

「・・・そんなもん?」

「そんなもん」

「・・・わかんないや、私には・・・」

「だろうな、一生わかんねーだろこれは」

「うん・・・」

「ほら、送ってくから帰るぞ、今日少し遅くなったんだから」

「うん・・・」

 

 

 

そうして、その日は帰ったんだ。

絶対、あの子はまた来てくれるって思ってたんだけど・・・

 

次の日も、その次の日も、あの子は来なかった。

 

真田は「規律を乱す者に立海テニス部に入る資格はない」って言うし・・・

 

あとでこっそり「あの子の素質は認めてるんだよ、真田は」って教えてくれたけどね、幸村が。

 

(あの子、テニス部入らないのかなぁ・・・)

 

 

そんなことを思いながら、手紙を書く。

私と白石くんの文通は相変わらず続いていた。

 

むしろ、私の楽しみになっていたんだ。

 

白石くんから手紙が届いたら、すぐにお返事書いちゃう。

その時間が楽しくて。

 

けっこうな頻度で手紙のやり取りをしてるのに、話しは付きなくて、それがまた楽しくて。

 

(白石くんのとこも、新入生が来ないって苦労してるみたいだな・・・)

(誰も入らなかったら廃部なんて・・・)

(誰か入るといいけど・・・)

 

立海は優勝したから、たくさん新入部員がきたよ、

でも練習が大変だから、すでに何人かやめたよ

 

そんな風に手紙を書きながら、あの子のことを考える

 

(あの子も、)(うちの部員になってくれれば楽しいのにな~)

 

 

 


 

 

 

 

そんなある日、

 

あの子が三強に挑戦状を叩きつけて、試合をすることになったらしい。

みんなそれを遠巻きに見ていて、私も終わらないと部活始められないから、ハラハラしながらそれを見ていた・・・

 

(真田・・・)(そ、そんな、1年生に本気だして・・・)

途中で、あの子の目が赤くなって、雰囲気が変わって

なんだか少し怖かったけど、

 

結局、試合は真田の勝ち。

 

でも、

切原くんは何か吹っ切れたようなすっきりした顔をしていて、

 

テニス部に入ってくれるってことになった!

 

こうして、

最後の新入部員が立海テニス部に入ったんだ。

(楽しくなりそうだな~!)

 

 

 

 

 

 

 

 

saori1「って、ことがありまして」

mouri「え~俺も見たかったで~」

saori1「毛利先輩サボりすぎなんですもん」

sanada「真面目に部活に来んか!」

mouri「真田に怒られた!さおりちゃ~ん慰めてや~!」

saori1「も、毛利先輩!」

akaya「ちゅーっす!コートの掃除終わりました・・・・・・・って!毛利先輩なに前先輩に抱き着いてるんですか!!ずりぃ!」

sanada「ずるいだと・・・?たるんどる!!」

yukimura「毛利先輩、今すぐさおりから離れて外周100周で」

mouri「笑顔で言うなや!めっちゃ怖い!」

niou「・・・プリ」

yagyu「仁王くん、まさかあなたも羨ましいと思ってるんじゃないでしょうね?」

marui2「さおり、仁王も抱き着きたいって」

yanagi「さおりが断る確率・・・」

saori1「え、え~~~~!!ダメだよ!!」

yanagi「100%」

marui2「ひひ、断られてやんの!」

niou「・・・ピヨ」

saori1「も、もう!!みんなまとめて外周いってきなさーい!!」

yukimura「はいはい(笑)」

akaya「ええ~おれもっすか~!!」

 

 

こうして、

 

立海テニス部がまた賑やかになりそうです!

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