Xmas22≪まなみ≫

12月24日

今日はクリスマスイブな上に日曜日なんだぞ!最悪だろ!

それでなくても日曜日は混むのに、クリスマスデートしてるカップルで街は溢れかえっていてほんとすごいお客多いわ!

でもな、さおちゃんのところよりだいぶましだろうな。ケーキ屋大丈夫かな・・・さおちゃん落ち込みまくってたし死んでんじゃないかな心配・・・。

 

まぁそんなことを考えつつ超忙しいバイトを無事に終えた・・・!

閉店時間がいつも同じなことが救いである。

明日バイト出れば休みだぜ・・・!そう思いながら店を出た。

 

「店今ならすぐ入れるよー」

 

酒臭いホストに絡まれた。

いくわけねーし

 

シカトして歩き続ける

 

「ひとりー?俺たちと飲まない?」

 

ナンパウザイ

シカトして歩き続ける

 

「今から体験入店しない?」

 

キャッチ死ね

シカトして歩き・・・

 

続けらんない!!!!!!

何これ!!!

クリスマスイブやばい!!!みんな浮かれすぎ!!!

もうこっちは朝から働いて疲れすぎてもう帰ってねたいんだっつーの

明日もバイトだっつーの

クリスマス滅べ!!!!

 

と思いながらホストだかナンパだかキャッチだかなんだかわけわからんものに腕を引かれてわちゃわちゃでもうイライライライラ・・・

 

してたら。

 

「待って!!」

 

空いてる腕を掴まれて

いらっとして

振り向いて

 

唖然とした。

 

「あ、え、っと、ま、待たせてすまんかったな」

 

(お)

(おしたりけんや・・・)

 

彼のそのひとことに 私に群がってた男たちは ササーっと身を引いた。

何が何だかわからない私は

そのまま彼に腕を引かれ、彼の後をついていくのだった。

 

(おしたりけんや・・・)

(なぜここに・・・)

(というか)

(なぜ私に・・・)

 

彼に連れられてきたのは 駅。

 

ん? と思ったけど

彼はすんなり

 

「大丈夫か?めっちゃ絡まれとったな!ビビったわ~!家帰るんやろ?気を付けて帰りや!」

 

と、そう言った。

・・・・・・・・・

 

「そんだけかいっ!!!」

 

思わず

そうつっこんでしまった私に 驚いたのは、彼よりも私の方だった。

 

(え!?)

(それだけってなんだ!?)

(何か期待してたのか私!!)

(あ、違う!なんでここにいたのかとか聞かないと!!!)

 

「あ、じゃ、じゃなくて、助けてくれてありがと・・・」

「それはええねんけど・・・」

「なんでここにいたの?」

「え」

「いや偶然にしてはタイミング良すぎだなと思って・・・」

「あー・・・」

「ま、まぁいいや、じゃあ、私はこれで」

 

そう、改札を通ろうとしたら

 

「あ、待って!送るわ!」

 

と、なぜか彼もついてきた。

 

ここまで送ってくれただけで充分だと断ったけど

コミコミの電車に乗り込んだ私をつぶされないように守ってくれたのもやっぱり彼だったのだ。

 

電車の中で流れている ママがサンタにキスをした がやけに耳に残って仕方がなかった。

 

 

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