「だから言ったでしょ」
帰ってまぁちゃんに一部始終話すと 冷静に言われた。
「でも」
「でもじゃないしょ」
「優しかったんだよ」
「いやだます男はみんな最初は優しいんだよ!」
「・・・でも」
「でもじゃないって!最低でしょきみのこと騙して」
「でも、」
「ほんときみは世間知らずだからね!!あいつに絶対騙されると思ってたよ!!」
羽振りいいし車も持ってるしなんか怪しいと思ったらこんないたいけな少女に手を出してくるなんてさ!
既婚者のくせに!!何がパパさ!ふざけんな!子供いんならさっさと言えよ!
まぁちゃんは激怒してるけど
(・・・悲しい)
(けど、)
(怒れない)
(だって私)
(好きだったんだもん白石さんのこと)
(・・・今でも信じたいって、思ってるんだもん)
悲しくて 涙がポロポロと溢れてくる。
テレビではクリスマスの特番が流れている。
楽しそうだな、って思うけど 今は見る気になれなかった。
(これが初めての恋だったのにな)
そう思うとまた余計に悲しくて わんわん声をあげて泣いた。
「白石め・・・子供いるくせにさおちゃんに手出しやがって!!あー、むかつく!むかつきすぎる!!!」
大学生になったけど。
20歳も過ぎたけど。
でもやっぱり彼から見たら子供だったんだろうなって 今更になってそう思った。
「やっぱさ、3次元の男は駄目だよ。ときめもやろ。きみ嵐とクリスマス抜け出すんだろ」
「うん・・・でもなんか今そういう気分じゃないわ・・・」
「だよね・・・ほんと腹立ちすぎて他のこと手につかないわ・・・」
「あー、涙止まんないわ・・・」
「きみ、あんま泣きすぎると明日のバイトでめっちゃ目腫れることになるぞ・・・明日死ぬほど忙しいだろ」
「そうだね・・・明日死ぬほど忙しいからもう泣くのやめるわ・・・」
「うん、目冷やしな・・・」
「きみの方はどうなの?」
「何が?」
「けんやって人と」
「あー、特に何もないどころか、あれだよ、もうこういうのやめてほしいって言ったよ」
「え、そうなの?」
「うん、もう関わらないからさ、きみも関わるのやめなよ。ちょうどよかったね、お互い関わらないからね」
「そうだね・・・」
白石さんからラインも電話も来てたけど
なんだか出る気にも見る気にもなれず スマホの電源を落とした。
私が失恋しようが何しようが
明日はクリスマスイブだし、バイトがあるんだ。
「・・・そうだ、明日はケーキ店長がくれるって言うからホールケーキ持って帰ってくるね」
「やったー!ケンタッキー買って帰るわ!」
「お互いがんばろうね」
「めっちゃ忙しそうだけどね・・・帰ったらぱーりーしよ!」
久々にクリスマスにBASARAやるかーw
と、まぁちゃんがのんきに笑ってくれたので
(バサラか・・・それは楽しみだな)
そう思うと少し白石さんのことは忘れることができたので、今のうちに明日に備えて早く寝ることにした。