12月15日。
この間、偶然出会ったあの日、一緒にいたおしたりさんにちゃかされて(?)流れで白石さんと番号交換したのだ。
まぁちゃんはすっごい警戒していて イケメンにいいやついないから気をつけな!! とか言ってたけど
正直私は あの二人は悪い人には見えなかった。
でもまぁちゃんにそれを言うとなんか怒られるから言わないけどね。
私の事世間知らずだから危ないとか散々まぁちゃん言うけどさ、毎日私と同じようにゲームしたりアニメ見てるだけなのに
まぁちゃんの何が私より世間知ってるのか不思議だわ。逆に人間不信過ぎて一体何があったのか聞いてみたいよ。
今日はバイトが終わって帰り道。
後片付けとか色々してたら遅くなっちゃって、もう時間は22時をまわっていた。
(寒いなー)
(まぁちゃんもう帰ったかなー)
街はイルミネーションも消えて、人は多いのになんだか少し暗くてこわかった。
電車に乗ろうとして、駅に向かって歩いて、途中で酔っ払って倒れてる人を見つけた。
(え!?)
(あの人どうしたんだろう!!)
(え、倒れてるけど!!!)
(こんな寒いのに道端で倒れてたら死んじゃうよ!!)
そう思って、その人に近づいて声をかけた。
東京の人は冷たいな・・・こんな寒空の人倒れてる人がいるのに誰も声をかけないなんて。
応答はできるみたいで、ちょっと休みたいからちょっと肩を貸してほしいと言われたから素直に肩を貸した。
そしてその人が休憩所があるから、と一緒に向かった先は
(・・・え?)
噂に聞く 鮮やかなネオンいっぱいの、お城・・・
いや、ちょっと待って
ここって、ラブホテルってとこだよね・・・?
その人が一人で入るのかと思ったら 中に一緒に入って介抱してくれ、と懇願されてしまう。
いや、待ってこわい
これこわい
なんかこわいこの人
具合悪いなら人呼んできますね、と急いで走って大きな通りに出ようとした私の腕を その人は掴んで
いいから来い と引きづられそうになり
(どうしよう・・・!)
(こわい!!)
泣きそうな私は
「あれ?さおりちゃん?」
その人の声で ものすごく、安心することになるのだ。
「し、白石さん!!」
街頭の光を背に、彼は裏路地に引きづりこまれそうな私を見て
その瞬間に何かを察したようで
「・・・くだらんことしんなや、ボケ」
そう小さく呟くと、白石さんは 私の腕を引っ張り、私を片手で抱きしめた。
(?)
(???)
(?????)
もう状況が理解できない私は ただただ慌てて逃げていく男の後ろ姿を見つめながら
暖かい彼の腕の中に 体をあずけていたのだ。
「・・・なんやあいつ・・・さおりちゃん、大丈夫か?」
「あ、あ、あ、は、はい」
「なんもされてないか!?」
「さ、されてないです!!」
「なにがあってん、あいつ知り合いなん?」
「いえ・・・道に倒れてたから声かけたんですけど、」
「いや、優しいのはわかるけども!知らん男にこんな夜に声かけたらあかんで!?」
「す、すいません・・・」
「ほんま俺が偶然通りかからんかったら危なかったで!?」
「そ、そうですよね」
「あー・・・ほんま、よかった」
そう心から安心したように白石さんは ホッと笑った。
(どきん)
ただそれだけのことなのに
なんでだろう
私はすごく、泣きそうになって
「・・・あの、た、助けてくれてありがとうございました」
そう言うと安堵したのか ぽろぽろと涙が出てきた。
「わ!あ、す、すまん!きつく言いすぎた!泣かんとって!」
「いえ、白石さんのせいじゃなくて・・・すごく、こわかったから・・・」
白石さんが来てくれてよかった
そう、彼の服を掴んで泣けば
まるで子供をあやすように、彼は優しくポンポンと頭をなでてくれた。
落ち着くまで、そうしてくれていた彼が 妙に頼もしくて
なぜだか私の胸は ドキドキ と動き始めていた。