「あー、ビックリしたー」
なんか例の男(なんとかけんや)が居酒屋にいるから驚いた。
なんでかなりゆきで飲むことになったけど、さおちゃんとせっかく飲みに来てたから本当はいらんかった。
いらんかったけどさ、また先輩の顔がチラついて断れなかったわー。
しょーがねーわ、この東京砂漠で生きぬくには忍法世渡り上手の術使わないとなー。ニン!
しかし聞いたらさおちゃんの言ってたイケメンの既婚者も一緒だったから驚いたわ。
確かにさおちゃん好きそうな顔だわ!
でも既婚者なのに指輪つけてないのとか解せぬ。
このなんとかけんやって人もなんかチャラそうでいやなんだよなー。
これは早々にさおちゃんと帰宅するしかない。ほらさおちゃんも3次元の男怖くてそわそわしてるよ。
これ絶対帰りたいやつだわ!目泳いでるもん!私も既婚者と飲みたくないし早々に解散しよ。
「え、ふたりって姉妹?」
「双子」
「双子!?似てるもんな!?雰囲気違うけどごっつ似てるもんな!?」
「うん」
なんとなく会話するおらの横でさおちゃんは固まってしゃべらないwww
おーい、おらもしゃべりたくないんだからーーー助けてよーーーーー
「ふたりって歳いくつなん?」
しらいしという男が話しかけてきた。
あーやだ、なんかこの自己紹介的な感じほんとやだ。帰りたい。
「20歳です」
「え!!20歳越えてた!10代かと思うてたわ俺!!」
「20歳でも充分若いな!?」
「8コ下かー・・・」
「こんなおっさんと飲むことになって申し訳ないわ・・・」
「・・・(否定せず)」
「否定されんかったで・・・」
「ほんまやな・・・」
落ち込むおっさんたち。
なんかちょっと面白いなwww
「あれなん?彼氏おるん?」
気まずそうになんとかけんやが聞いてきた。
まぁ番号聞かれてるしこの人がおらに興味あることはわかっている。
でもおらの事好きな男は多いしな・・・
魅力的な自分が憎いわ・・・
「ふたりともいますよ(嘘)」
「え…(絶句)」
「えっおるん…!?彼氏おったん!?」
彼氏いると言った途端青ざめるおっさん二人…
いや、
いやなにこれコワイ…
「え!まぁちゃんなぜそんなウソさらっとつくの?彼氏はふたりともいません!」
そうさおちゃんが慌てて言うと、おっさんがたの顔がぱぁぁぁと晴れた気がした。
や!ちょ!さおちゃん!!きみね!!やっと言葉を発したと思ったら何真面目に答えてんの!!!
こーいうのはめんどくさいからいますって言っとけばいいんだよ!!!
え、でもこのしらいしとか言う男結婚しとるんじゃないのか!?
既婚者なのにさおちゃんに手出したらマジで死刑なんだけど・・・
あたしこれ普通に奥さんに電話するわ!会社にもチクって人生ズタボロにしたるわ!ヒヒヒ・・・
「そちらこそ、彼女とかいないんですか?」
確信つくこと聞いてみた。だって彼女や奥さんいる男と飲むのとかキモイし。少しでも目泳いだらキンタマ蹴り上げてやろw
「俺らもう長いこといてへんねん・・・」
「残念なおっさんやで・・・」
「ほんまかいな」
あ、心の中で思ってたことがうっかり出てしまった!!
ほんまかいな!!!
「なんで急に関西弁なんねん(笑)そのツッコミ嫌いやないけど(笑)」
「ほんまにおらんねん、謙也も俺もずっといてへん」
「彼女はいないけど奥さんいるとかwww」
「彼女おらんのに奥さんおるかいな!」
「え、疑われとる!?実は既婚者なのに手を出してくるような男に見える!?」
「見える」
「え!?」
「なんでや!!」
ふたりともめっちゃビックリしてるなw
けどこっちのがびっくりだわ!!
イケメンは信用しねーんだよゲスめ!!!!
「え、だってアクセサリー買ってたとかさおちゃん言ってたし・・・」
「あぁそれあれや!!姪っ子にやわ!!」
「こいつ姪っ子5人おんねんで(笑)例のネックレスも絶対買ってって念おされてたらしいわ!」
「え・・・?」
えって
さおちゃん何反応してんのwwww
えってきみwwww
「小6なんやけど、もう化粧とかもしとるし大人っぽくてほんまおっちゃん怖いわ・・・」
「小6・・・!?」
「大きいやろ?姉ちゃんちが4人女の子おってな、妹の子供がこないだ生まれたばっかやねん、めっちゃかわええねん!」
写真見る?とそいつはガサゴソ携帯を出した。
そして素直に写真を見て 可愛い と口にするさおちゃん・・・
さおちゃん、だまされるな!
姪っ子じゃなくて自分の子供かもしれないぞ!!!
「姉ちゃんちの旦那さんパイロットしとってな、あんま家におらんから護衛のためによう呼ばれんねん。休みの日なんて妹と姉ちゃん出かける言うて一人で5人の子守りやで!まぁかわええからええけどさ・・・」
泣いたらどないしてええかわからへんねんとか嬉しそうにしらいしとやらは話す。
さおちゃんは子供の話題だからか少しホッとした様子に見える。
うーむ、これはまずいぞ。
男に耐久がないさおちゃんだ・・・こんなイケメンに誘われたらコロッといくぞ・・・。
どう守ろうかめっちゃ悩んでたら
「休みの日とか何しとん?」
と、なんとかけんやに話しかけられてしまった。
うむ、これはまずい、2:2での会話になってしまう・・・さおちゃんを守らねばならぬのに・・・
「え、最近はバイトと・・・」
「バイト以外やったら?」
「バイト以外・・・(ゲームですけど)さおちゃんとカラオケ行ったり」
「あ、仲めっちゃええんやな」
「とても」
「他には?友達と遊んだりせーへんの?」
「あー…(休みに友達と遊ぶことはほぼないな)(さおちゃんと過ごすかバイトしかない)」
「…今度遊ばへん?」
「え?」
「あ、バイトない日でええんやけどさ」
「土日はバイトない日あんまなくて、すいません」
「あ、そうなんや・・・平日は学校やろ?」
「そうですね」
「夜、ご飯とかは?」
「あー・・・とりあえず今月はバイト結構入っててあんまりあいてないのですいません」
「あ、そうなんや・・・」
「ハイ」
「・・・なんか俺のこと警戒しとる?」
「え?(図星www)(態度に出過ぎたかwww)」
「あの、俺、ほんまに!彼女とかもおらんし、変なやつとちゃうからさ!!」
迷惑なら・・・言うてな
と、少し寂しそうにその人がいうので
なんでかあたしは急にフォローをし始めるのであった。(先輩怖いからな!)(ほんと先輩の彼氏の友達とかやっかい!)
「や、違う!あの、私男の人自体がちょっと怖いってゆーか・・・だから迷惑とかではないです(優しいおらwww)」
「え?男の人にいい思い出ないん?」
「そうですね・・・(嘘)」
「つらいことあったん?」
「あー・・・えっと…、いつも怒鳴られたり(ジュリアス)デートしてたのに急に俺は違うなって言って帰られたり(庭園質問デート)あと付き合ってもいないのに他の男と遊んでるとか変な噂流れて爆発して急に態度豹変したり(ときメモ股がけプレイ)急に壁ドンされてむりやりキスされそうになったりとか(譲)極めつけはストーカー…(加地)」
「え・・・それ大変やん・・・つらかったな・・・」
「はぁ・・・(ゲームの話ですけどね)」
「男はそんなやつだけやないで」
「え?(いやゲームの話だからねwww)(笑いそうwww)」
「いや、今まであんまええ人と出会ってなかったかもしれんけどさ!俺の周りの男は少なくともそないなやつおらんで!みんなめっちゃええやつばっかやし!!」
なぜか必死に励ましだしたなんとかけんやに吹き出しそうになるwww
悪いwww全部ゲームの話だwwww
ほんと申し訳ないwwww
と、油断していたのに
「俺は、好きな女の子はずっと笑ってほしいし、守りたいて思う」
急にそんなことを 言いだしたもんだから
(あれなにこれ)
(まるで2次元のようなセリフ・・・!)
少しだけ
ドキン
と、ときめいてしまったのだ。
(・・・いやいやいや)
(イケメンは信用ならんよ)
(まぁでも)
(悪いやつではなさそうかな)
その後、なんだかんだで4人で盛り上がり、カラオケにも行き、彼らはしっかりタクシーに乗せてくれ、タクシー代までちゃんとくれたのだ。
さおちゃんがぼんやりと、楽しかったね って言ったのがすごく印象的な夜だった。
(あのさおちゃんが)
(そんなことを言うなんて!)
(・・・あたしもそれ、ちょっと思ってたし)