Xmas8≪白石≫

12月13日。

今日は仕事終わりに謙也と久々に飲みに来とった。

11月の末ごろからスタートしとる「忘年会」とい名前の飲み会ラッシュ・・・

特に12月の週末はほぼ会社関係で埋まってもうて結局平日になってしもうたんやけども。

平日でもやっぱ12月は店混んどんなーと、焼き鳥食べながらそんなこと思うた。

 

「はー、久々やな」

「ほんまやなー、やっぱ謙也とおるのがいっちゃん楽やわー・・・(ゴシゴシ)」

「いやおしぼりで顔拭くなや!めっちゃオッサンなったなお前w(ゴシゴシ)」

「いやお前も拭いとるがな!!!もうオッサンやもん、しゃーないわw」

「ほんまな・・・老けたな俺たち・・・」

「中学の頃から知っとるから余計に思うな・・・」

「最近どうやねん白石」

「あー、全然かわらんなぁ・・・謙也は?」

「あー、俺な」

「おん・・・え、彼女できた?」

「でけてへん!でけてへんけどな!あの前にな、よぉ行く服屋の店員でええ子おる言うてたやんか」

「言うてたな」

「あの子な・・・たまたま友達の彼女の後輩やってん!ほんでな・・・番号交換したわ!!!」

「えーーーー!!!ほんまか!!すごいやん!よぉ交換できたなぁ!!!」

「めっちゃウケる(笑)俺らの今の会話中坊並みやで(笑)」

「恋愛ずっとしてへんからもう一周まわって恋愛の仕方忘れてるしな(笑)中坊のが進んでんとちゃうか(笑)」

「ほんまそれな(笑)番号聞いただけで大興奮やわ(笑)しかもラインとかしなれてないやん、メールの時代やん、もう若い子と何話せばええんかわからんねん(笑)」

「え、そんな若いの?」

「うーん、学生言うてたし・・・俺が見た感じは10代・・・」

「10代!?え、あかんで!?未成年に手出したらアウトやで!?」

「や、高校は出てると思うねん!!多分大学生やと思うねん!!せやからギリセーフやって!!」

「ほんまギリやんか!!!どないすんねん、それ!!」

「な・・・どないしよ・・・もうおっさんやし相手にされへんやろな・・・」

「おっさんやもんな・・・」

「もう29やで俺ら・・・」

「10代ってほぼ10歳年下やんか・・・きついな・・・お前もよお可愛いとか言うたなそんな若い子・・・」

「せやって、ごっつええ子やねん!よぉ店の前通るけどさ!店の前で困ってる年寄りに声かけたり、泣いてる子供に声かけたり、いつも困ってる人の傍に駆け寄ってさ!ごっつええ子やってんって!」

「それええ子やな・・・」

「やろ?こないだ接客してもらった時も一生懸命服選んでくれて可愛かったわ・・・」

「いうことがおっさんすぎやわ(笑)」

「しゃーないやんか!!白石のほうはどうやねん?彼女できたん?」

「できてへんで」

「お前モテんのになぁ・・・」

「ほんま女の人怖いわ・・・苦手やわ・・・」

「顔面の無駄遣いやな・・・」

「なんやそれ!あ、でもな」

「ん」

「俺もこの子めっちゃええなって思う子はいてん」

「え!?ほんま!?珍しいやん!!何!?会社の子!?」

「いや、ほんまに偶然出会った子なんやけどさ」

「おん」

「姪っ子がどうしてもクリスマスに買えって言うてたネックレス買いに行ったときさ・・・」

「出た(笑)相変わらず振り回されてんなぁ(笑)」

「ねーちゃんとこ女の子4人やもん・・・大変やで・・・一番上の子もう小6やし・・・」

「めっちゃたかられてるよな(笑)」

「かわええもんな、しゃーないわ・・・姪っ子ごっつかわええねん、特にこないだ生まれたゆかりの子供な・・・天使・・・」

「5人も姪っ子いるってすごいなー、うちまだ翔太も俺も結婚すらしてへんしなー」

「翔太もうすぐちゃうの?」

「せやねん・・・生意気にも結婚考えとる言うてきてん・・・」

「兄ちゃんは彼女すらおらんのにな(笑)」

「俺の話はええねん!話脱線しとるがな!」

「あぁそう、ほんでな、ネックレス1つしかなくてな、先に手に取って欲しそうにしとったんやけど、それ譲ってくれてな」

「へー」

「俺の周りの女の人ってみんなキツイやんか・・・家族から始まり・・・学生時代も会社の子も・・・なんか怖いやん?」

「お前モテすぎていざこざよぉ起きるもんな(笑)」

「けど、めっちゃ優しい感じでな、雰囲気もなんやろ・・・ガツガツしてへんってゆーか、控え目でな・・・」

「そうなんや・・・けどそんな子他にもいっぱいおるやんか」

「まぁおとなしい子とかはおるけどさ、なんやろ・・・すごい素直な感じの子でな」

「え、待って、1回しか会うてへんのやろ?まさかその1回で番号聞いたりしたん!?」

「してへん!!それただのナンパやんか!!」

「せやんな・・・」

「いや、こーいう子もおるんやな、ってちょっとほっこりしながら家に帰ってん」

「まぁそうなるよな」

「ほんだらな!姪っ子に頼まれて予約しに行ったケーキ屋でな・・・」

「姪っ子にパシられとる(笑)」

「それはええねん!!ケーキ屋のな!!なんと!店員さんやってん!!!」

「えーーーー!!!すごいなそれ!!!!」

「すごいやろ!?」

「で、番号聞いたんか!?」

「え、聞いてへんで」

「聞いてへんのかーーい!」

「聞けるか!!聞けへんけど、やっぱしゃべった感じとかめっちゃええ感じやねん」

「おぉ」

「なんやろ・・・いつも一生懸命っちゅーか・・・」

「今どき珍しいな」

「せやねん!なんか若いのにチャラついてないし!この子と付き合える男は幸せになりそうやなって思うてん!!」

「へー!」

「きっと仲のいいご両親に幸せに育てられたんやわ・・・」

「そこまで(笑)」

「ほんまに!!そんな感じやねん!!なんか彼女と話すと笑顔になってる自分おってな、彼女がケーキ屋で働いてるってわかってからは気になってまた行きたいなーって思うようになってな・・・これって結構相手の事気になっとるやんか」

「ほぼ恋やろな」

「な・・・けど恋とかな・・・もうおっさんすぎてようわからへんわ・・・しかもきっかけないやんか、店に行けばまたきっと会えるけどな・・・」

「あーわかるわそれ・・・俺も偶然こないだ出会わんかったら番号とかずっと聞けへんかったもん」

「まぁ別にな・・・もう若くもないしがつがつもしてへんし・・・このままのんびりちょっとづつ仲よぉなれればええかなって・・・」

「そっか、でも向こうに彼氏おったり好きな人おったらどないする?」

「どないするも何も・・・若い男と付き合うてるんやろうし・・・俺の出番ないよなぁ」

「10も離れてたら俺なんて対象外やろうな・・・」

「おれらもうすぐ30やもんな・・・」

「30なんておっさんすぎてもう相手にされへんよな・・・」

「けど、やっぱ気になるし・・・少しずつ知っていきたいなって思うわ、なんやろ、こんな風にドキドキっちゅーか、そんなん初めてっちゅーかさ・・・子供の初恋みたいやけどなほんまに・・・」

「それはわかるわ!!!俺もライン送るだけでめっちゃ緊張してなかなか送られへんねん!!送っても既読スルーされてへこむしな・・・」

「それしんどいな・・・」

「お互いな・・・」

「おっさん二人がなに思春期みたいな悩み抱えとんのやろな・・・」

「あほみたいやな俺ら・・・」

「もっと学生時代とか遊んどけばよかったわ・・・こんな時上手くやる方法わからへんもん」

「俺ももっと恋愛経験積んどきゃよかったわーーー」

 

そう言って謙也はビールを飲みほした。

 

(ほんまになぁ)

 

気になる子が出来て

人生なんだかウキウキになって 楽しくて

恋ってこんな感じやったっけ?とか浮かれる日もあれば

 

この先どうすんねんとか、彼氏おるやろなぁとか絶望もしたりして

一人で一喜一憂、ほんまに思春期の男子みたいで忙しい。

 

けど、確実に

 

気になる子がいてるってだけで

俺の人生は、楽しくなっとる気がする。

 

「ビール、おかわり!」

 

そういった謙也が

 

「あ!!!」

 

それはもう急に大声を出すから

俺は驚いて、飲んでたビールを少しこぼしてもうた。

 

「なんやねんなもーー急に大声出すなや」

「おった!」

「は?」

「え、おった、あの子おったわ!うそやろ!運命ちゃうか!?」

 

そんなことを謙也が言うもんやから

え!?どの子や!?

そう、店内を見渡して・・・

 

!?

 

(え・・・)

(え!?)

(えええ!?!?!?)

 

ごっつ俺の気になってるケーキ屋のまえさんに似てる女の子がおることに気が付いて

それはもう唖然とした・・・!!

 

「あ」

 

その子がこっちに気付いて手を振ってくる

 

(!?)

(!!?!?)

 

見るとでれーっとしながら手を振る謙也・・・

 

ん!?ん!?ん!!?!!?

謙也の気になってる子って まさかあの子!?

え、え、え!?

 

動揺してると

 

「どうしたの?知り合い?」

 

という声と共に その子と飲んでた女の子がこっちを振り向いた。

 

!?!?!?!?!?!?!?

 

(ま・・・!!!)

(まえさんや・・・・!!!!!!!!)

 

俺と目が合った前さんも 固まっていた。

 

なんでか俺たちは なりゆきで・・・

4人で飲むことに、なってしまったのやった・・・。

 

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