Xmas7≪さおり≫

12月9日。

冬将軍到来とかで最近はほんとに驚くほどの寒さだ。

家の中は友達に引かれるくらい暑くしてるけど道産子は家の中暖かくしてないとダメなんだよ!

まぁちゃんも暑い部屋の中でアイス食べるのサイコーとか言いながら半袖でアイス食べてた。

そんな今日はバイトです。バイトばっかり。でも明日休みだしいいんだ。

 

「いらっしゃいませー」

 

カランカランと扉が開いたから、私はドアの方を見ながら笑顔で挨拶をした。

 

(・・・あ!!)

 

そこには例のイケメンのお客さんが立っていた。

 

(しらいしくらのすけさんだ・・・!)

 

なんと

今日は

私服です・・・!!(あ、そうか、今日土曜日だもんね!!)

 

私服もかっこいいなー

スーツ姿もよかったけど・・・

ラフな感じでいいなー

やっぱイケメンは何着てもかっこいいなー・・・

 

まぁ現実の男の人に興味ないんですけどね!!!!!!!

 

「あ、こんにちわ!」

 

私がそういうと、彼は笑顔で また来ました と答えてくれた。

うーん、これはね、かっこいいわ!!

 

「こないだは鍵拾ってくれてありがとうございました!」

「いや、あれくらい!こちらこそほんまに前に譲ってくれたん助かりました」

「え、いや、とんでもないです」

「ほんま助かりました」

「今日はどうされましたか?」

「あ・・・ケーキ、買いに・・・」

「甘いものお好きなんですか?」

「あ、や、ハイ、まぁ・・・」

「最近は男性のお客様も増えてますよ!今日は何にいたしますか?」

「えーっと、おすすめは?」

「男性に人気なのはビターショコラのケーキとか、あとチーズケーキとかですね!モンブランもよく買われる方いらっしゃいます!」

「ほな・・・それ全部と・・・」

「(え!?全部!?)(また家族で食べるのかな!)(ひょー、うらやましいな子供とか喜ぶだろうな!)シュークリームとフルーツタルトも人気ですよ!」

「ほなそれも・・・」

「はい!ありがとうございます!」

「あの、」

「はい」

「えっと、”まえさん”って読むんやろか?」

 

彼が私の名札を見ながらそう言った。

 

「あ、はい、まえです!」

「めずらしい名前やな」

「よく言われます(くらのすけも珍しいけどな!)」

「まえさんは・・・どのケーキが好きなん?」

「え?(なんかの調査だろうか)」

「あ、いや、おススメ、やなくて、まえさんはどのケーキが好きなんかなーって」

「私ですか!?私は・・・イチゴが好きなのでイチゴのタルトが好きです!」

「イチゴのタルト!!めっちゃ女の子らしいな・・・!」

「え!?そんなことないですよ!?私ガサツだし全然女の子らしくないです」

「ガサツなんや(笑)」

「あ・・・えっと、い、以上でよろしいでしょうか!?」

 

なんだか急に話しかけてくる彼に恥ずかしくなり

 

(そもそも男性と話すのは苦手だよ)

(そのうえイケメンときた)

(もう私のライフは0よ)

 

慌ててケーキを包んだ。

 

(なんだこの人急に!)

(話しかけんな!)

(リア充こっち見んな!)

 

帰り道アンジェのドラマCD聞いて帰らないと心が回復しないわーーーーー

そう思いながら 包装と会計を済ませて

 

「あ、ありがとうございました!!」

 

と、彼にケーキを渡そうとすると

 

「・・・これ、こないだのお礼です」

 

と、そのままケーキを渡されてしまったのだ。

 

(????????!?!?!??)

 

「え、あ、あの、」

「毎日ケーキ食うてるかもしらんから悩んだけど・・・なんやろいきなりアクセサリー持ってきてお礼言うのもおかしな話やなと思うて・・・」

「え!?いや!てゆーか!こないだのことは本当に気になさらないでください!!」

「いやいや、気にするよ!!あれ、買おうと思うてんやろ!?横取りしてしもうたし・・・」

「横取りされてないですよ!!むしろ鍵を拾っていただきこちらがお礼をすべきといいますか・・・本当に大丈夫なのでどうかご家族の皆様でケーキをお召し上がりください・・・」

「や、ほんま、ケーキとか食べ飽きてるかもしらんけど受け取ってもらいたいねん・・・」

「いえ、本当に・・・お礼とか受け取れませんので・・・どうかケーキをお持ちになってください、お願いいたします・・・」

「お願いされてもやなぁ・・・!こちらこそ、頼むからもらってください・・・!!」

 

(この人なに考えてるんだろう!?)

(こわい!!)

(3次元の男の人の考えてることってよくわからない!!!!)

(こわすぎる!!!!)

(やっぱり男の人は画面の中か舞台の上に限るわ!!!!)

 

オロオロする私と、かたくなに譲らない彼の攻防をキッチンから眺めてた店長のパティシエ(女)が呆れて

せっかくだからいただきなさい と言ってくれたおかげでなんとかその場は決着がついたのだけど

しらいしくらのすけさんが帰ったあとに

 

「あの人、まえちゃんのことが好きなのかもね」

 

との謎の一言に それはないと全力否定した。

 

だって彼は

 

既婚者ですもの・・・!!!!

 

万が一結婚してないとはいえ

 

彼女持ちですもの・・・・!!!

 

(それで私を好きとかありえない)

(てかあんなイケメンが私を好きになるわけないし!!)

(てかありえなすぎてこわい、なにこれこわい・・・!!!!)

 

ケーキを持って帰るとまぁちゃんは死ぬほど喜んで

今日はケーキパーリーうぇぇぇぇい!とめっちゃ頬張っていたけど

「ケーキ屋にケーキお礼に渡すとかマジでセンスねぇなその男w」と笑われてしまった・・・(確かに)

 

私は一連の流れをまぁちゃんと話しながら

マジで身をささげるのは2次元と2.5次元の男だけにしようと二人で誓いを立てるのであった。

(ほんと3次元こわい)(男の人こわい)

 

 

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