Xmas6≪まなみ≫

12月8日。

今日もバイト、昨日もバイト、明日もバイト、バイトバイト・・・

 

(ストレス溜まって死ぬわ!)

 

そんなことを思いながらなんとか今日も1日終わった。

すぐに帰ろうと思ったけど、職場の先輩にご飯に誘われてしまって仕方なく付き合うことにした。

 

 

「でさー!彼氏がさー!!」

 

そしてずっと先ほどから彼氏の愚痴を聞かされている。

勘弁してくれ。

2次元の男にしか興味ないからな、ほんと3次元の男余計に嫌いになるから愚痴は勘弁してくれ。

 

「まぁまぁまぁ・・・」

「ほんとむかつく!」

「別れればいいじゃないですか」

「別れないけどさ!」

 

別れないんかーい!!と心の中で突っ込みながら

出てきた料理に口をつけた。うむ、ご飯は最高にうまいな・・・!

 

「まえちゃんはどうなの?」

「え?」

「彼氏ずっといないじゃん?」

「(いますけど画面の中にたくさん)はぁ・・・あんま興味ないですよね・・・」

「いい人いないの?あのこないだのお客さんっていつもまえちゃんのこと目で追ってるじゃん?あの人はナシ?」

「へ!?そんな人います!?そんなん知らんしコワッ!!(思わず素が出る)」

「こわくないじゃん、イケメンだよ!?」

 

先輩が何を言ってるのかよくわからないけど

2次元にしか興味ありませ~~~~~ん!!!!!!

オサレなショップで働いてるけどただのオタクで~~~~す!!!!!!

と、叫びたいのをグッとこらえて、あははははと愛想笑いした。はよ帰ろ。

 

 

「あれ?」

 

その時、隣の席に男のグループが座った。

そのうちの一人がどうやら先輩の彼氏のようで、楽しそうにキャッキャと話をする先輩・・・

さっきまで彼氏の愚痴いっとらんかったかの・・・?

 

( ゚д゚)ポカーン

 

としていると そこに遅れてまた新たな男が合流したのである。

 

 

そいつが

 

 

「あ」

 

あのイケメンのお客だった・・・!

 

 

(あ、おらが見繕った服着てるw)

(ウケるwwww)

 

「わ!いつもご利用ありがとうございます!!」

 

先輩がイケメンに挨拶をして、いつもうちのショップ利用してくれてるのーとまた彼ぴっぴとキャッキャと楽しく会話が続いた。

 

(いつも利用してたのかこの人・・・)

(2回見かけたけども)

(知らんかったぞ・・・)

 

「こないだはおおきに」

 

そのイケメンが話しかけてきた。

うわぁ、もう話しかけないでくれ心を閉ざしたいおらは・・・

仕事なら話せるけどプライベートで知らん人と話すのは苦手だ・・・

 

そう思いながらも笑顔で

 

「いえ、またお願いします」

 

と答えた。うむ、オタク臭は隠せてるはずだ!

 

「今日はもう仕事は終わったん?」

 

(む)

(いきなりタメ語か)

(まぁ明らかに向こうのが年上だけどなんかやだな)

(チャラい感じだな)

 

「はぁ、終わりました」

「おつかれさまやな」

「はぁ・・・(コーイチくんとデートしたい・・・)」

「最近店にめっちゃ出てるみたいやけど・・・正社員さんなん?あ!誤解せんでな!たまたま帰り道やからよぉ見かけんねん!」

「いえ、学生でバイトです(あ、もう帰ろ、先輩これもう彼氏さんいるし帰っても大丈夫だわ)(帰ってときメモやるわ!)」

「そうなんや!この選んでくれた服めっちゃ好評やで」

「あ、ほんとですか、よかったです、あ、先輩、私ちょっと姉が鍵忘れて家に入れないみたいなんで急いで帰りますね!(嘘)」

「え!?」

「えー、まえちゃん、せっかくだからゆっくりしていきなよー!」

「や、急いでるんで!ではお疲れ様です!お先です!!」

 

自分の食事分だけ会計して急いで店を後にした。

 

(はーーーー)

(しんどかったーーーーー)

(あーいう場苦手なんだよなぁ)

(なんせただのオタクだからな!?)

(リア充じゃねーからな!!)

(3次元の男無理・・・マジ無理・・・・・・)

 

 

と、急いで電車に乗ろうと走っていると

 

「あのっ・・・!!」

 

声をかけられ 振り向いた

 

(は!?)

(ナンパかよ!?)

(コーイチくんとデートしたくて急いでるんだっつーの!!)

 

「ちょ、待って、」

 

(あれ?)

(この人・・・)

 

急いで来たのか、 その人は上着も羽織らずこの寒空の下で白い息をぜーぜーとはいていた。

例のイケメンの客だ。

イケメンは目の保養にはなるができるだけ関わりたくはない。

ほんと画面の中と舞台の上だけでいいから男は・・・!!

 

 

「私何か忘れ物しました?財布・・・あるしスマホあるし・・・」

「ちゃ、ちゃうねん」

「え?」

「あの、俺、忍足謙也言います!番号、教えてくれませんか!?」

 

 

その人は

白い息をはきながら

真っ赤な顔をしてそう言った・・・

まるでサンタクロースだな・・・ジングルベール・・・

見てるこっちが寒そうだわ・・・

 

 

だがことわる

 

 

そう言おうと したのだ

 

 

 

 

その瞬間先輩の顔が頭によぎったのだ・・・

 

 

(・・・あ、でもこの人常連らしいし)

(先輩の彼氏の友達だし・・・)

(先輩すげー職場で権力者だしな・・・なぜか今のところ好かれてるけど・・・)

(これ断ったらバイトでの立場危ういな、みんないい人だしせっかく時給もいいしな・・・)

(うーん・・・)

 

 

ぽくぽくぽく  ちーーーん

 

 

「ラインでいいですか?」

 

 

これも現代社会を平和に・・・平和に過ごすための術である・・・

仕方がないのである・・・

心を無にして

私はそのおしなんとかって人とふるふるしたのである・・・。

 

 

(あーもう、ほんっと3次元の男嫌い・・・)

(ちゃらいしきもいし)

(むーーーーりーーーーーーーー)

 

 

帰ってさおちゃんに一連の流れを話して

別にさおちゃんもそういうの聞くの慣れてるから大した反応もせずに

現実逃避にコーイチくんとデートして、その日は寝た。

 

+4