Xmas5≪双子≫

12月7日。

「いらっしゃいませー!!」

 

冬のショップはめっちゃ混む。

年末近いしボーナス時期だし、客の財布もゆるんでるっつーことでタイムセールもしちゃったりして

ほんっとに忙しい!死にたい!

学校行ってるだけでえらいのにその上バイトまで・・・ほんとおらえらいな・・・

休みの日くらいさおちゃんと過ごしたい・・・まぁ今日さおちゃんもバイトだけどな・・・

 

相変わらず愉快なクリスマスソングが流れる中、心を無にしてラッピングしまくっていた。

 

「前ちゃん、もうすぐこの商品取り置きのお客様いらっしゃるからこれラッピングして渡しておいて」

 

そう言って 手袋とマフラーを渡された。

(はー、ラッピング地獄も飽きてきた・・・)

 

ラッピングしすぎて他の人より上手いし早いから担当者みたいになっちゃったけどスゲー飽きるぞこれ!!

ずっとラッピング飽きるぞ!!

たまには身軽に店内ウロウロしたい!

そう思いながら無心でラッピングすると

 

「すんません、取り置きしておいたんですけど」

 

そう男の人の声が聞こえた。

 

「あ、ハイ!」

 

振り向くと

 

(・・・!)

(こいつは!!)

 

そこにはこないだ接客したイケメンが立っていた。

こいつ暇なのかなーと思いながら

 

「手袋とマフラーでお間違えないですか?」

 

と、笑顔で応えた。

 

「はい、グレーの・・・もうすぐ友達の誕生日で」

 

と聞いてないことまでそのイケメンは言った。

 

「ご友人も喜ばれると思いますよ!」

 

にっこり笑うと彼も笑顔を返してくれた(うひゃー)(笑うと可愛くなるな)

 

商品を渡して会計を済ませて ありがとうございましたー! と元気に言ったものの

 

(・・・?)

 

その客はいっこうにレジ前から消えない。

 

(おつり間違えたかな?)

 

そんなことが頭の中をよぎったとき

 

あの、もし時間あったら服選んでくれまs、

 

そこまで言って、彼は次の客(おばさん)に押されて吹っ飛んでいったw

おばちゃんつおいwww

ちょっとおかしくて ニヤニヤしながらそのままおばちゃんの接客を続けた。

 

 


 

 

 

バイトの休憩時間。

おにぎりでも買いに行こうかと外に出た。

この時期やっぱりお店混むなぁ、そう思いながら

街に流れてる冬の定番ソング、広瀬香美のプロミスを聞いて歩いていた。

 

ふと、男の人に声をかけられた。

 

「すいません」

 

知らない人に声をかけられるとビクッとしてしまう私はあからさまにビビりながら ハイ・・・? と振り向いた。

 

(あれ?)

 

そこにはいつものイケメンが立っていた。

いつもどおり、スーツを着込んで。

 

「あ!こんにちわ!」

 

振り向いた私を見て、ハッとして彼が近づいた。

 

「きみやったとは・・・」

「え、え、え(なんだろ)(私何かしただろうか)」

 

焦りながら、どうかされましたか?そう声をかけると

 

「あ、今、鍵落としましたよ」

 

そう言いながら私のお店のロッカーのカギをチャリンと見せた彼。

 

「わ!!す、すいません!私のだ!!」

「落ちること見て、たまたま・・・」

「あの、本当にすいません、ありがとうございます」

「いいえ、ほな、俺急いどるんで・・・」

 

そうささくさと超絶イケメンさんは駆けて行ってしまった。

あぁ、もう鍵拾ってくれるとかなんていい人・・・

そんなの気づかないふりする人も多いのにね。

 

風は冷たくて 早くお店に帰ろ、と思ったけど

なんだか少しだけ胸がホッとした1日でした。

 

+3