クロスオーバー 39 【さおり】

肝試しをしようとロビーに向かうと意外と参加する人が多くてロビーはごった返してたよ!

 

(肝試しってめっちゃ青春って感じw)

(楽しみだなー!)

(どんなことするんだろう!!)

 

ワクワクしながら待っていると、参加する人は入り口の受付で番号札をもらってから外に出るように、と言われた。

 

(番号?)

 

武ちゃんが配ってた番号札をもらって、私とまぁちゃんは外へ出た。

 

 

まー「27番だって。きみは?」

さお「私6番」

まー「なんだよ、同じ番号じゃないのかよ」

さお「残念だね。まさかこれペアの人の番号とかじゃないよね・・・?」

まー「ひょえー!やめてくれよ!知らない人なら人見知り発揮して何にも楽しめないわ!!!」

 

 

そう話していると武ちゃんが大きな声で話し出した。

 

武田「今配った番号札は一緒に周るペアの番号です!それぞれペアを探してください!それから100番以降の番号引いた人は脅かす側になってもらうのでこっちに集まってください!」

 

(う、うわーーーー!!!)

(やっぱりそのとおりだったよ!!)

 

さお「まぁちゃん!一緒に周れないわ!!どうしよう!!」

まー「どうしようもなにも!!うちらのペアと番号交換してもらえばいいんじゃないかい!?」

さお「あ!そうか!頭いいねきみ!」

まー「よし!相手を探そう!」

さお「うん、探そう!」

 

周りではすでに○○番のやついるかー!?と大声でペアを探す声が響く。

さお「6番の人いませんかー!?」

 

私も大声で叫ぶと

 

「あ!6番!?」

 

声が聞こえて

この声は聞き覚えあるぞ、と 振り向くと

 
ディアンヌ「さおりも6番ー!?よかったー♡一緒に周ろー♡」

 

と、愛しのディアンヌが駆けてきたのであった。

 

(う、うわぁ!)

(ディアンヌ大好きだけど、まぁちゃんとペア変わってとか言いにくいな!!)

 

さお「ディアンヌ、ペア私でいいの!?彼氏とまわらなくていいの!?」

ディアンヌ「それがね、キングってば130番引いちゃってね、おどかす役になっちゃって・・・ペア変わってもらいたかったんだけどバンに無理やり連れていかれちゃったの!でも探せばきっと途中で会えると思うんだ♡」

 

(ディアンヌ可愛すぎて眩しい・・・!)

 

さお「そうなんだね!それはキング探さなくちゃだね!!!」

ディアンヌ「うん♡でもさおりとペアも嬉しいよ♡楽しもうね!!」

 

ええこやな・・・

 

そう思いながら、そういえばまぁちゃんは・・・と周りを見渡すと・・・

 

 

まー「またか!!またお前か!!」

 

 

まぁちゃんの声が響いた。

 

 

まー「小島!!!!!」

野村「野村です」

 

 

まぁちゃんのペアはどうやらまぁちゃんの宿敵(?)の野村くんのようだった・・・

(うける!!!)

(まぁちゃんなんてついてないんだ!!!)

 

まー「近寄るな野村!!あーやだやだ!野村かよ!さおちゃん、ペア誰とだっ・・・!!?」

ディアンヌ「やほー♡まなみ♡」

まー「あ・・・(察し)さおちゃんこれペア変われないわ・・・」

さお「・・・だね・・・」

まー「野村の魔の手からディアンヌ守る義務があるもんな・・・」

さお「わかる・・・」

まー「・・・うん・・・色々なことと戦ってくるよ・・・」

さお「うん・・・検討を祈るよ・・・」

 

 

一気にテンションがた落ちのまぁちゃんは

結局野村くんと仕方なく周る決意をして、列に並びに行った。

(がんばれよまぁちゃん・・・)

はというと、6番はすぐに出発なのでゆっくりする間もないままディアンヌと肝試しをスタートさせた。

ルールは地図に従って歩くと祠があるからそこの前に置いてある賞品を1つ持って帰ってゴールに行くこと、ってなってるんだけど・・・

ぶ、無事にたどりつけるかなぁ・・・

 

 

 

サァァァァ

 

 

 

木の葉が揺れる。明かりもなく、暗くて 正直、こわい。

 

ディアンヌ「ちょ、ちょっと、思ったより暗いね・・・」

さお「うん・・・薄気味悪いね・・・」

 

ディアンヌとおそるおそるくっつきながらあるいていると

 

 

 

 

ガサガサガサ!

 

 

 

ディアンヌ「きゃああああ!!!!!!!」

 

 

ばきっ

 

 

(!?!?!??)

 

 

ものすごい勢いでディアンヌがお化け?の人を吹っ飛ばし叫びながらぐるぐると走り回った。

 

(そーいえば!!)

 

今更思い出したけど、ディアンヌってめっちゃ怪力の無敵女子じゃなかったっけ!?!?!?!?

 

(まぁちゃんと同じ問題児が集まる2組だもんな!!!)

(いい子だけど力をコントロールできないとかで問題児扱いなはず・・・)

(・・・ってことはさっきの吹っ飛ばされたお化け役の人、大丈夫だろうか・・・)

 

 

別の意味で私の顔が青ざめる。

いや、むしろ心強いのかもしれない・・・

しれないけど・・・

けが人続出になるのも・・・申し訳ない・・・

 

(でもこの暗さじゃまぁちゃんと二人で周るのも無理な気がするからよかったのかもしれない・・・)

(お化け役の人心配してれば理性保てる・・・)

 

そう思いながらディアンヌが倒すお化け役を3人くらい見かけたところで

 

 

がさがさがさ!

 

 

まだ物音が聞こえて、ディアンヌが叫んで

 

 

「・・・ディアンヌ?」

 

 

そう声がして、ディアンヌの動きが止まった。

 

 

ディアンヌ「…キング?」

キング「やっぱりディアンヌだ」

ディアンヌ「わーんキングー!会いたかったよぉ!ボク、すっごく怖かったんだぁ」

 

ディアンヌが飛びつこうとしたその時

 

キング「いたっ」

 

キングが顔をしかめた。

 

 

ディアンヌ「キング?どうしたの?怪我したの?」

キング「あー、さっきちょっと鳥の雛が巣から落ちてて・・・助けようとしたら雛を盗もうとしてると勘違いした母鳥に攻撃されて、咄嗟のことで神器使えなくて木から落ちたんだよね・・・」

ディアンヌ「やだ!キング、大丈夫!?やだよぉ!キング、死んじゃやだ!!!」

キング「死なないよ~いてて」

ディアンヌ「ど、どうしよう・・・!(オロオロ)」

 

 

(いや!どうしようは私だよ!!!)

(私だけど、さ・・・!!!)

 

 

さお「ディアンヌ!!一緒に行ってあげて!!」

 

私の口からは 思わずそんな言葉が出てきたのである

 

 

ディアンヌ「え、でも・・・」

さお「足の骨折れてるかもしれないよ!?ディアンヌなら抱えて走っていけるでしょ!?早くしないと手遅れになったら困るし!!」

キング「いや、ぼくは大丈夫だから二人とも先に行って!」

さお「大丈夫じゃないよ!!動けないのに何が大丈夫なの!?」

ディアンヌ「そ、そうだよキング!!足痛くて動けないんでしょ!?」

キング「う、うん・・・」

さお「早く!!ディアンヌ、行って!!」

 

 

それからディアンヌは 少し迷ったものの コクリと頷くと

彼氏のキングを軽々とお姫様抱っこしたのだ・・・!!!

 

 

キング「ひゃああああ!!!ディアンヌおろして!!大丈夫だから!歩けるから!!!」

ディアンヌ「キングは黙って!!さおり・・・ごめん!!すぐに誰か呼んでくるから・・・!!!」

 

 

そう言って ディアンヌはたったったーとキングを抱えたまま走って行ってしまった。

 

(キング、なんともないといいけど・・・)

 

そんなことを思いながら・・・

 

 

ヒュウウウ

ザワザワザワ

ワオーーーン

 

 

ビクッ

 

 

超こええええええええええ!!!!!!!!!!!!!(ガクガクガクガク)

 

 

(今狼の鳴き声しなかった!?)

(大丈夫!?)

(わたしこれ大丈夫なの!?)

(ど、どうしよ!!)

(大丈夫なの!?これ!!!!!!)

 

 

 

大丈夫じゃねえわーーーーーーーーーー!!!!!!!!!(ブルブルブルブル)(詰んだ)

 

 

 

とりあえず次のペアが来るまで待とう、と思ったけどいっこうに人が来る気配がない。

 

なぜ!?

 

(あ、)

(そういや地図・・・!!)

(パニクったディアンヌがどっか吹っ飛ばしたんだ!!!)

(わ・・・・!どうしよ!!!迷子だ!!!)

(遭難だこれ!!!!!!)

(死ぬわ私!!!!)

(このまま戻れなくて死ぬし、スズメバチに刺されて死ぬし、毒蛇に噛まれて死ぬし、クマに食べられて死ぬわ!死ぬルートしかないわ!!!終わったわこれ!!)

 

 

 

こ、こんなことなら・・・

ディアンヌと一緒に帰ればよかった・・・

けど私どんくさいし、キング早く先生に診てもらわないと困るし・・・

私いたら足手まといだし( ;∀;)

ほんとはディアンヌの分もがんばりたかったのに・・・( ;∀;)

うぅ・・・

あああああ・・・

こ、こわいよぉぉぉぉぉぉ

 

 

さお「わぁぁぁぁん」

 

 

恐怖でおびえて泣いていると

 

 

ガサっ

 

 

明らかに何か生き物の 物音が聞こえた

 

 

(!?)

(熊だ!!!!)

(食べられる!!!!!)

(死ぬ・・・!!!)

 

 

恐怖で体がかたまって

 

 

そして

 

 

物音のするほうをじっと見つめ・・・・・・・・

 

 

ガサッ

 

 

(ビクッ)

 

 

人影が現れて ものすごく怖くて 心臓止まりそうになって 頭真っ白で

 

 

 

 

「!? え!? まえさん!!?!?」

 

 

 

 

そしてその言葉に

 

 

私は

 

 

私は、

 

 

 

さお「あ、あ、あ、あ、し、しらいしくん・・・」

 

 

 

安堵から 私の目からは 大粒の涙がこぼれた

 

 

(しらっ しっ  しらいしくんだぁぁぁ)

 

 

白石「な!めっちゃビビった!!心臓止まるかと思うたわ!!まさか人がおるとは思わんし!!ど、どないしたん!?え!?暗くてよぉ見えんけど!!泣いてんの!?え、ど、どないしたん!?なんかあった!?大丈夫!?怪我したん!!?」

白石くんはすぐに私に駆け寄って、地面に手をつく私を抱き起してくれた。

 

 

(白石くん・・・!)

(白石くんだ・・・!!!!)

 

 

さお「ふえええええ、し、白石くうううううんん!!!!!!!!こ、こわかったよおおおおおお!!!!!!」

白石「ど!!!!ど!!!どないしたん!!?怪我した!?どこ!?どこ痛い!?!?」

さお「痛いところはないけど超こわかったよおおおお絶対死んじゃうとおもったああああ」

白石「あ!!!痛いとこないの!?怪我してへんねや!?大丈夫なんやな!?」

さお「体は大丈夫だけど怖すぎて腰抜けてうごけないよぉおおおお!!うえええ白石くうううん!!!」

 

 

あまりの恐怖に 私は思わず無意識のまま白石くんに抱き着いていた。

でもその時は頭真っ白で全く意識してなかったし、後からも助かった安心感でいっぱいでそんなこと思い出すことはなかった。

 

 

白石「だ!!だ!!!だ、だいじょ、ぶ!!!やで!!!!!!」

 

 

ガッチガチに緊張した白石くんが私を抱きかかえて

ゴールまで行ってくれたんだけど

その後も生きて帰れた喜びでいっぱいで(あと腰抜けたからすぐに医務室に搬送されて)

白石くんにきちんとお礼を伝えることができなかったのであった。

 

 

 

まー「さおちゃん!!大丈夫!?」

 

 

私が医務室に運ばれたと聞いてまぁちゃんが走ってきてくれたんだけど

 

 

さお「あ、まぁちゃん・・・大丈夫だよ。ちょっと怖すぎて腰抜けちゃってさ」

まー「よかった・・・ケガしたのかと思って気が気じゃなかったよ!」

さお「それは大丈夫だよ」

まー「キング怪我したんだって?」

さお「うん、でも軽いねんざだったみたい。さっき連絡きたよ」

まー「ほんと!よかった!きみもキングもよかった!きみ、あんな暗い森でキングとディアンヌだけ先に行かせるとか素晴らしいよ!勇敢な行動だよ!アッパレ!」

さお「え!褒められた!ありがとう!」

まー「はー安心したよ・・・・・・・・・ところで野村なんでお前までいるんだ」

さお「あ!君たちもう肝試し行ってきたの?」

まー「おう、行って来たぜ・・・そして野村と私は激しいバトルを繰り返してだな・・・」

野村「・・・いや、今日のところは僕の負けだよ・・・」

さお「え!?何があったの!?」

まー「ふっふっふっふ!!前回野村に3サイズを弱みに握られていたからね!!弱みじゃなくすればいいと思ってね!3か月でみっちり体つくりをしてきたんだよ・・・!!」

野村「胸のサイズは小さいままだけど・・・まさかウエストやヒップをこんなに変えてくるとはね・・・」

まー「小さいままとか言うな!!!めっちゃがんばったからね!?山伏とたぬきと蜻蛉と岩融とみっちりトレーニングしたからね!!?!?もう3サイズみんなに言いふらされても痛くもかゆくもないぜ!!!」

野村「くそ・・・!これじゃあ弱みにならないよ・・・!」

まー「今ならビキニ着れるからな!!はっはっは!まなみ、完全勝利の瞬間である・・・!」

野村「くっ!!!かならずきみの弱みを握ってやる・・・!必ずだ!!!」

まー「はっはっは!もう私に弱みなどない!!!」

さお「よくわからないけど勝ったんだね、おめでとう」

まー「うむ!!めっちゃがんばったからな!!」

 

 

そんな話をしていたもんだから

助けてくれた白石くんのことはすっかり忘れてしまって(白石くんはどこで私を助けたかとかを先生に説明にいってたんだけど)

思い出したのは夜寝るときの布団の中でで

明日お礼言おうっと!と実にのんきな私は、やっぱり自分が抱き着いたことは すっかり頭の中から抜けていたのだった。

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