クロスオーバー34【さおり】

まー「御手杵ーデートしよー」

御手杵「うえー・・・あちーしどこも行きたくねぇ・・・」

まー「クーラーかかってるとこ行こ」

御手杵「どこだよ」

まー「映画館」

御手杵「映画の趣味合わねーじゃん」

まー「御手杵とデートしたいの~~~~」

御手杵「あちーからやだってぇ~~~~」

 

この攻防を見るのは何度目だろうか・・・

夏休みの間ずっと見ている気がする。

まぁちゃん御手杵大好きだな・・・

 

さお「ご馳走様でした。歌仙、私今日後片付けお手伝いできないけどいい?」

歌仙「いいけど、どうしたんだい?」

さお「夏休みの課題に使う資料借りてくるの忘れてて、まだ図書館開いてるから行ってこようと思って」

光忠「今から?もう7時半だよ?」

さお「大丈夫だよ、夏はまだ明るいし」

蜂須賀「でももう日か暮れるだろう。夏は浮かれて変な輩が多いから心配だ」

さお「大丈夫だよ、図書館そんな遠くないし」

光忠「ダメだよ!えーっと、車持ってる組はまだ帰ってきてない?じゃあ僕たちで後片付けやってるから歌仙くん行ってくれるかい?」

歌仙「いや明日の下ごしらえもあるから大変だろう」

さお「大丈夫だってば!みんな心配性だなぁ!私もう高校生だから大丈夫だよ!」

光忠・歌仙・蜂須賀「余計危ない」

さお「なんで???」

光忠「そうだ!伽羅ちゃん!ご飯もう食べ終わったでしょ?一緒に図書館行ってあげてよ!」

 

 

 

(え・・・)

 

 

 

倶利伽羅と・・・

図書館・・・だと!?

 

 

 

伽羅「(コクン)」

 

 

 

ええええええええええーーーーーー!!!!!!!!

 

 

まー「ほら!!さおちゃんと大倶利伽羅図書館デートするって!!私たちも行こうよ~御手杵~」

御手杵「あちーからやだってぇ」

 

 

のんきなこと言ってる場合じゃないぞ、まぁちゃん!!

 

 

さお「ま、まぁちゃんも感想文の本借りに行こうかなって言ってなかった?一緒に・・・」

まー「御手杵ー、カラオケ行こうよーカラオケならいいでしょ」

御手杵「あー・・・もうしつこいなぁ、わかったよ、行けばいいんだろ行けば」

まー「わ!!やった!!御手杵とデートだ♡デート♡」

獅子「え、カラオケ行くの?俺も行く!」

兼「俺も行く!な、国広!」

堀川「兼さんが行くなら僕も行くよ」

陸奥守「わしも行くぜよ!」

まー「え、ちょっと待って、お前ら誘ってない」

歌仙「どうでもいいけど保護者付きでもカラオケは22時までだからそれまでに帰ってくるんだよ」

まー「やばい時間ない急ぐぞ御手杵!!他はついてこなくていい!!」

 

 

いや

めっちゃカラオケ行くことで盛り上がってますけど

 

いや、待って

倶利伽羅とふたりで図書館・・・

 

 

いや違うんだ、一緒に暮らしてきたから家族同然なんだけど

それはそうだから別に意識してるとかじゃなくて

普通に 会話に困る・・・!!

 

 

(あと誰がどう見てもあまりにもイケメンだからふたりきりとか死ぬほど嫌だ、隣に並びたくないっていうのが本音)

 

 

しかし、図書館に行く気になってしまった倶利伽羅はもう立ち上がって玄関に向かってしまった

 

 

あぁ、行くしかない・・・

 

 

光忠「帰りに牛乳とチーズ買ってきてね!はい、お金」

伽羅「わかった」

 

 

買い物も引き受けちゃってる・・・

 

伽羅「行くぞ」

 

(・・・仕方ない)

 

覚悟を決めて 私は倶利伽羅の後をついて行った。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「あの人めちゃくちゃかっこよくない?」

 

ヒソヒソ

 

「ヤバイ、すごいイケメン」

 

ヒソヒソ

 

「隣の子彼女かな?」

 

ヒソヒソ

 

「えー、でもなんか地味じゃない・・・?」

 

 

 

( ◠‿◠ ) だから嫌だったんだ

 

 

 

こうなるのはわかってた・・・!わかってたよ!!?

そして私がいるのに派手なおねぇさんたちに声かけられてるしね!!

あああもうヤダ、倶利伽羅イケメン過ぎるもん、まぁちゃんも私も認めるイケメンって相当だもん神レベルだもん

 

 

 

伽羅「おい、さおり、行くぞ」

さお「あ、う、うん」

 

 

倶利伽羅はお姉さんたちのことをスルーしてスタスタと歩き出す。

私はその後ろを追いかけて、追いかけて、

 

 

 

「お、きみすごい俺のタイプ!!!番号教えてーラインやってる???」

 

 

 

鈍い私は大倶利伽羅と距離が出来たところでめっちゃお酒臭い酔っ払いに絡まれて

 

 

 

(わ、くさ!)

(何この人、何時から飲んでるの!?)

(気持ち悪い!)

 

 

 

「なー、名前は?めっちゃタイプなんだけどー」

「あ、あ、あ、あの、あの、離し、、」

 

 

どうしようどうしようと、焦りが強くなり

そう言い終わる前に

 

 

 

 

「さわるな」

 

 

 

 

大倶利伽羅が 私を庇うように 立ちふさがった。

 

 

 

「あぁ!?なんだテメー!先に目つけたの俺だぞ!!!」

伽羅「・・・殺されたいのか?」

「は?」

伽羅「俺の妹に 手を出すな」

「妹!?し、失礼しましたぁ」

 

 

 

酔っ払いはすたこらさっさと逃げて行った。

 

 

伽羅「・・・悪かったな。歩くの早かったようだ」

 

 

行くぞ と大倶利伽羅は今度は私の横に立って、私のペースに合わせてくれた。

 

 
(・・・・・妹、だって)

 

 

妹、だって!

 

 

(・・・へへ)

 

 

そういえば 私たちが生まれた時 小さな騎士たちが 妹を守るんだって張り切っていたって話を聞いたっけ。

 

 

(大倶利伽羅は無口だけど)

(本当に優しい ”お兄ちゃん” だよね)

 

 

なんだか心が明るくなって

今までの緊張はどこへやら。

 

 

今はもう 私のお兄ちゃんかっこいいでしょ! なんて自慢気に

胸を張って、彼の隣を歩いた。

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