無事に7月の期末試験を終えて
いよいよ
夏休みです!!!!
―――って言っても
私は毎日部活なんだけどね・・・。
夏休み前から高体連・・・つまりインターハイの予選が始まってて
我が校は30競技全てがインハイ出場の超強豪校。
私も度々授業を休んでは一緒にマネージャーとして予選に参戦、そして7月28日からのインハイに向けて夏休みもみっちり朝から晩まで部活だったりする。
清光「さおり、支度できた?」
さお「あ、うん!」
安定「長曾根さんが車乗せてってくれるって」
さお「わーやったー」
清光「夏休みなのにのんびりしていらんないのが学生のしんどいところだよねー」
さお「でも二人とも全国だもんね!すごいよ!剣道がんばってね!」
清光「うん♡ありがと♡がんばる♡」
安定「現金な奴w」
清光「うるせー!」
堀川「みんな何してるのー?長曾根さん待ってるよ」
さお「今行くー!」
夏休みのいいところは9時までに部活に行けばいいからいつもよりほんの少しゆっくりできることかな?
あとジャージで行っていいから楽。
ちなみにまぁちゃんは補習でもうだいぶ早く家を出たw
期末テスト散々だったらしいよwww
長曾根「じゃあなお前ら、せいぜい青春しろよ」
男連中はちゃんと帰りさおり連れて来いよ、なんて言って長曾根さんは去って行った。
何気に面倒見いいから好きだ・・・お兄ちゃんのようだよキュン(でも緊張してあまり話せない)
清光「じゃあさおり、帰り迎えに行くからねー!」
清光たちと分かれて体育館に向かう。
体育会系って正直苦手だ・・・なんかテニス部緩い感じするけど・・・テニス部しか知らないし
でもこのバレー部はしっかり挨拶しなきゃいけなくて毎回緊張する・・・
ガラッ
さお「お、おはようございます!」
「「「「「ちゅーーーーっす!!!!」」」」」
ビクッ
(これだよこれ…)
(この体育会系ノリ…)
(こわいっつーの)
このノリについて行けずビビりながら体育館へ入る。
スガ「前おはよー」
大地「今日もがんばろうな」
及川「さおり~♡おはよー!」
岩泉「及川てめぇきもちわりぃんだよ!にやけんな!!」
及川「え、理不尽!!!」
いつものメンツを見て安心する。
澤村くんは優しいし、スガくんもすごい話しやすいし、徹くんと岩ちゃんはおばかで気楽だし。
で、怖いのは
黒尾「おはよー、今日も俺のタオルよろしくな」
ビクッ
(く、黒尾くん・・・!)
彼はなんだかつかめない人というかひょうひょうとしていて読めなくて少し怖い。
少し目が合っただけで
なにじっと見て?惚れちゃった?
とか言われるし。
だからもう心を閉ざして私は夢中で部活に精を出すのだった。
(はー、しかし、あつい・・・)
真夏の体育館。
うちの学校はとてもお金持ちが多いため全施設クーラー完備・・・なんだけど。
今うちの体育館のクーラー壊れててそれはもう蒸し蒸しと暑くて
窓開けてても風はいらないから何にも意味ないし日差しばっかり差し込むし
そんな中必死にドリンク作ったりスコアボード記入したりなんやかんや動いてお昼過ぎてお弁当食べて
午後の練習が始まったくらいに
私は
(あ、なんか)
(クラクラする・・・)
めまいを感じて そのままその場に
倒れて、しまった。
大地「前!!」
声を出せない私に、すぐに部員たちが近寄った。
(あちゃー・・・)
(心配かけちゃった)
(声、出ない)
(ああ、くらくらする、立てないよどうしよう)
目はどうにか開くものの頭が真っ白で声が出ない。
あぁ練習中なのに余計なことをしてしまった。どうしよう、ほんと自己嫌悪・・・
黒尾「さおりちゃん、保健室いこ」
!?
その時 黒尾君が私を お姫様抱っこで抱きかかえた。
(わ!)
(く・・・黒尾君!!!)
(近い!!!)
どうしよう、声でないし、あああどうしよう
パニックになって更にぐるぐるしている私に
及川「は?離せよ、さおりを連れてくのは俺だから。あと馴れ馴れしくさおりちゃんって呼ばないでくんない?」
私はさらーっと今度は徹くんの腕に抱きかかえられていたのだ。
(うわあああ)
(やめてーーーーー!!!)
(私おも、おもいから!重いから!!触んないで・・・!!!)
黒尾「おい、今俺が連れて行こうとしてただろ?つーか何?さおりちゃんの何なの?馴れ馴れしすぎだから」
及川「幼馴染ですー!お前こそなんなの?触んないでくんない?」
岩泉「おいお前らくだらねぇ喧嘩やめろ、さっさと保健室運ぶぞ!くそ川、俺が運ぶからさおり寄越せ」
及川「は!?岩ちゃんまで何!?」
ギャーギャーと腕を引っ張られたりなんだかんだ
男の見にくい争いにもういい加減にしてくれ誰か助けて と思ったのだけど
その時
スッ
たくましい腕が伸びて
なんだかごちゃごちゃで落ちそうになってた私を 抱えて
「俺が連れてくわ」
とスマートにそのままタタタと保健室まで運んだのは。
及川「あーーー!!ちょっと!!」
黒尾「ヌケガケ禁止!!!」
岩泉「・・・っち」
さお「・・・澤村、くん?」
大地「意識はあるみたいだな。今保健室連れてくから」
同じクラスの 澤村くんだったのだ。
(・・・澤村くんの腕、なんか安心するなぁ)
意識がもうろうとする中 最後に思ったことはそんなことで。
そのまま私は目を閉じて 彼にすべてを託した。
その後のことはよく覚えてないけど、連絡を受けた保護者達が慌てて迎えに来て病院に運ばれて
でも軽い熱中症で済んだから点滴だけしてすぐ病院を後にした。
ブチギレたうちの保護者が無理やり体育館に即効クーラーを取り付けたのは、後から知ったことだけど。
今更だけど、あんなたくさんの男の人の腕の中に抱えられたのは初めてだったから
明日どんな顔して部活に行けばいいのか 今とても真剣に悩んでる。
(私のような重い女を運んでくださるとか)
(土下座して謝らねばならん・・・)
(しかしみんな助けてくれようとした横顔)
(・・・かっこよかったわ)