「え?あいつ殺されたの?」
突然のこんのすけの言葉にビビった。嘘だろ、なんか、いくらなんでもちょっと怖い。
「はい、最近時間遡行軍による、”本丸襲撃”がよく報告されています。怪我をしただけという審神者様もおりますが、本丸襲撃で殉職した審神者様がとうとう二桁を越えましたので、お2人も気を付けてください」
うーん、審神者って死ぬことあるんだな…と改めて実感した。怖い。
本当は怖いブラック本丸で双子生活 其の十九
「ただいま・・・いてて・・・」
第一部隊が帰ってきたからお出迎えしたら、検非違使の高速槍にやられたとかで、加州さんが軽傷だった。
私(カオナシ)は急いで手入部屋に加州さんを突っ込んで、めっちゃポンポンした。
「あーやられちゃったぁ・・・カオナシごめんねー」
加州さんは少し気にしているようだったので、フルフルと首を振る。
軽傷でよかったよ。検非違使対策は万全でも、どうしても高速槍が早くて軽傷は負っちゃうんだよね…。まぁこれくらいなら、めっちゃポンポンするわ!
「あーピアスどっか飛んでってる・・・」
良かった、主が作ってくれたやつじゃなくてって加州さんは言ってた。本丸にいる時とか、万屋にお出かけする時はまぁちゃんが作ってくれたのつけてるんだよね。加州さん。
でも戦いの時はやっぱり落とす可能性あるから、していかないみたい。まぁこのピアスもポンポンすれば復活するんですけどね!!元々の装備は全部復活します!
加州さん軽傷だったけど、レベル高いから3時間はかかる。手入れ札でさっさと直して2人で手入れ部屋を出た。
そしたら、まぁちゃんがちょうどいて、加州さんは「主ー♥」って近づいてった。まぁちゃんモテモテだなぁ。
長谷部さんとか和泉守さんとかとお話してるから何話してるんだろうって近づいたら、例の審神者のことだった。
へ「時間遡行軍にですか・・・」
ま「そうそう」
兼「まぁ、あいつやな奴だったからなー」
安「うん、ムカついた」
に「・・・けど、主は後味悪いんだろう?」
ま「そうなんだよね。なんかキモかったし、すごい嫌な奴だったけどさ、ざまあみろとは思えないんだよねー」
伽「自分の行いが返ってきただけだ。気にするな」
ま「気にしてないけどさ・・・なんか喜ぶ話でもないしな・・・」
清「何々?何の話?」
ま「いや、この前さ、政府のパーティーでアタシに薬飲ませて襲おうとした奴いたじゃん?」
清「ああ、あのクズね。あいつがどうかしたの?」
ま「時間遡行軍に襲われて死んだんだって」
清「は!?なんで!?戦場にでも行ったの!?」
ま「いや、本丸襲われたらしいよ、時間遡行軍に」
清「え!?そんなことってあるの!?」
ま「あるんだって、最近」
多いらしいんだよねとまぁちゃんが言ったところで、こんのすけがヒョコっと出てきて、まぁちゃんの言葉に付け加える。
「元々この本丸がある空間は時間遡行軍に場所が割れないように、特殊な空間となっています。そのため、他の本丸に行くときもその本丸のIDを知っていないと行けないのです。また適当にIDを打って本丸を見つけたとしても、相手が受け入れてゲートを開けなければ本丸には入れないはずなのです。
そんなセキュリティをどのように突破したのかわかりませんが、最近時間遡行軍による本丸襲撃が相次いでいるという報告が多いです。もちろん、返り討ちにする本丸もあるようですが、ほぼ100%の確率で刀剣男士が1本以上折れています。
というのも、本丸の襲撃ともなれば、かなりの数の時間遡行軍が攻めてくるようですよ。生き残った審神者の話では、何千という数の時間遡行軍が攻めて来たとか…。本丸にいる刀剣男士は全員揃っていても54振。それでも何十倍もの数の敵がいるので、刀剣男士の数が少ない本丸であれば、その分被害も大きく、審神者様も殉職されております。
今朝も審神者様たちにはお話しさせていただきましたが、どうぞ皆さまも油断されませんように…」
その言葉に、その場にいた他の刀剣男士たちも言葉を失っていた。
だって、そうだよね。主を守ろうとしても数でやってきたらどう頑張っても不利だもん。疲労したところをやられちゃう。うちはたまたま今のところ全員揃ってるけど、全員揃ってない本丸のほうが多いみたいだしね。というか、うちはかなりすごいってこんのすけ言ってたし。大体40振そろってれば「けっこういるね!」ってレベルみたい。それが10振とか20振とかの少ない本丸なら、なおのこと不利になってしまう。
審神者の死体のそばで、何振りもの刀剣の破片が見つかったって本丸もあるみたい。みんな、審神者を守るために必死に戦ったんだと思ったら涙出るよ…。
中には、審神者だけ政府行きのゲートに投げ入れて、刀剣男士は全滅・・・って本丸もあったみたい。自分だけ生き残ってしまったことで、その審神者さんは心を壊して入院中だとか。こっちはこっちで涙出るよ…。血まみれの刀剣男士に抱えられて、何度もみんなと死ぬって叫んだけど主を守ろうって力のほうが強かったみたいだからね。
もし、そんなことになったら、私もみんなと死にたいけど、みんなは絶対に守ろうとしてくれるんだろうな…。でも私、自分だけ生き残るとか絶対やだ…みんなと死にたい…。
少しその場がシーンとなってしまったところで、
「ん?なんだみんなして暗い顔して?」
「御手杵!!結婚して!!」
『ご結婚ですか?おめでとうございます!』
御手杵さんと日本号さんが現われたことで緊張感が途切れ、御手杵さんに近づいたまぁちゃんを引きはがそうと、加州さんが騒いで結局騒がしくなった。うちの本丸はシリアスができないなぁ。最初の頃しかシリアス出来てなかったよ。いや、ブラック時代もあんまりシリアスしてなかったな…。
そう思いながら、遊びに誘ってきてくれた短刀ちゃんたちと一緒に遊ぼうと、その場を後にした。
午前3時―――
―――――― !?
外からの不穏な気配で目が覚めた。
ガバッと起き上がると同時に、外に力を込める。
バタン
「まぁちゃん!!」
少し焦って乱暴にドアを開けてさおちゃんが入ってきた。その足元にはこんのすけの姿も。
「審神者様、・・・時間遡行軍の気配です・・・」
こんのすけのその言葉にさおちゃんの顔は真っ青だ。
アタシは静かに頷くと、さおちゃんとこんのすけに向かって口を開く。
「うん・・・わかってるよ・・・前に戦場に行ったから・・・」
確かに、あの時のような気持ちの悪い、穢れた瘴気を感じたんだ。その気はまるで真っ黒で底がないような恐ろしく冷たいもの。
ドンドンドンドンドン!!!!
「大将っ!!無事か!!!」
大きく玄関のドアを叩かれたけど、それが薬研の声だと思って安堵する。
当然、みんなもこの異常な瘴気に気付いているだろう。
アタシは、さおちゃんと上着だけ羽織って玄関へ出た。
―――――――――― 玄関のドアを開けると、大将組がホッとした顔で私たちを見た。でも、油断してられないと、すぐに真剣な顔に戻る。
焦って来たんだろう、みんな寝間着のままだ。
薬研が口を開く。
「大将、敵が攻めてきた」
「わかってるよ」
「ここは危ないよ、本丸に移動しよう」
そう言って、信濃が手を引こうとする。
「みんなは大丈夫なんでしょ?」
「ああ、もちろん。今夜戦に強い奴はとりあえず外に出て様子を伺いにいった。太刀以上の夜目が効かないやつは、とりあえず本丸待機ってことになってる。」
「今みんな出陣の準備してる」
厚と後藤がそう口を開いた。
まぁ寝間着のままじゃ戦えないしな、と思ったけど、寝間着のままでいいと思う。
なぜなら、
「大丈夫、結界貼ったから」
アタシがそう言うと、大将組は一瞬固まった。
だけど、「それでも危ない」と言われ、手を引かれ外に出される。
いや、マジで大丈夫なんだけどな。
結界が貼ってあることを早々に気付いたさおちゃんも、少し落ち着いてるし。
なんせアタシの結界、レベル300を過程した時間遡行軍でも破れなかったからねって前も言ったけど。時間遡行軍ってレベル99までしかいないし、絶対に大丈夫なんだけどな。
外に出て、ゲートのほうを見る。
確かに黒くて穢れた瘴気はその方向から。
まだ3時だから周りは薄暗いんだけど、それでもわかる。暗闇に、いくつもの目が光っているのが。
とりあえず、本丸へと促されるので、本丸へ向かった。
――――― 本丸では確かにみんな騒然としていた。
いつでも出陣が出来ると言わんばかりのいつもの戦闘服に身を包んだ彼らは、広間で待機していた。
アタシ達の顔を見ると、全員少しだけ安心したみたいだ。
アタシ達が本丸の中に入った後に、偵察部隊の面々が戻ってくる。
主に短刀と脇差が。
そして、みんなで作戦会議となった。
小夜「ゲートから次々と時間遡行軍がやってきてるよ」
乱「主さんが貼ってくれた結界でこっちまでは来れないみたい」
前「馬小屋や畑も結界内なので無事でした」
平「ゲートだけが、敵に占領されているので、助けを求めることも、外に出ることも難しそうです」
薬「大将、こんなにでかい結界を貼って、霊力は大丈夫か?」
口々に偵察部隊が口を開く中で、薬研が心配してくれた。
「大丈夫」
「でもきみの結界、力の使い方によっては脆くなるんだろ?」
燭台切がそう口を開いた。
多分あれだ、前に政府のパーティーに行った時に、短刀とか大太刀だけ入れる結界は脆いって話したからだ。
「技術が必要な結界はちょっと苦手なんだ、昔から細かい作業得意じゃないから。でも、ただの大きい結界なら全然余裕だし、何より、あの時は姉と離れてたから霊力削られて難しかったんだ。姉と一緒なら、霊力いつでも補充できるから、結界は絶対に破られない」
結界が強いことは彼らが一番よく知っているだろう。なんてったって、ここにきた最初のころは、その結界のせいで小娘2人を殺せなかったんだしなこの人たち。
「それでも、油断は出来ない。今は脇差が、奴らの近くで見張りをしているよ。結界が破られないか」
そう歌仙が口を開いた。
大丈夫なんだけどな、本当に。
とりあえず、太刀以上の夜目が効かないこともあって本丸から離れることが出来ない。
みんなに匿われながら、日の出を待って様子を見に行くことにした。
5時には辺りがだいぶ見えるようになった。それでも少し不安なので6時頃にみんなで外へ出た。
ちなみに3時から起きてるから眠い。
みんな超警戒態勢なので、眠れるはずもなく。
遊びたかったけど、ふざけてる場合でもなく。
みんな超真剣だし。
遊んでくれるのペッパーくんだけだったわ。
さおちゃんはパジャマでイケメンに囲まれていることに恐怖というか嫌悪感を感じているようから全然楽しく話してくれないしな!!!この前広間で寝てたじゃんみんなで。それでも嫌なんだって。だってパジャマって下着つけてないしな。上着羽織って来てるけど、着替えてくればよかったって自己嫌悪の真っ最中だ。いいじゃん、ノーブラ上等だ!
みんなで外に出て、辺りを見回す。
確かに周りは明るくなってきてるんだろう。
だけど、太陽がまだ登り切っていない今は、時間遡行軍に囲まれていて、辺りはまだ薄暗かった。
「気持ち悪い・・・」
さおちゃんが口元を抑えてそういった。
時間遡行軍の異形さや、瘴気にあてられたのだろう。そうそう、確かに初めてみると気持ち悪いんだよね。わかるよ。
でも、それ以前に、違う問題で気持ち悪いんだと思う。
だって、
「ちょっと・・・数多すぎない・・・?」
そう、加州が呟く。
結界は本丸を囲っているから相当大きいものにしたはずだ。
だというのに、その大きい結界をぐるりと囲んでいるのは一体なぜ。
というか、これ、何千とかって数じゃない・・・
多分これ・・・
「万越えてるでしょ・・・」
アタシも呟いたら、みんなもそう思っていたのか、無言になった。
とにかくものすごい数の時間遡行軍がこの本丸を囲んでいたのだ。
いまだに次々とゲートから出てきているんだろう。まだまだ数は増えそうだ。
「主、本当にこの結界は大丈夫なのか?」
鶴丸がそう心配そうに聞いてくる。これだけ囲まれたら、やはり思うところもあるんだろう。鶴丸がそう聞いた。
「うん、大丈夫。なはずだけど、ゲートどうにかしたほうがいいよね、敵さん続々と出て来てるもんね」
アタシがうーんと悩んでから、「さおちゃん」と声をかける。
「さおちゃん、ゲート閉じれる?」
「うん、やってみようか?」
「え、そんなこと出来るの?」
そう、安定が言った。
それに続いてこんのすけも口を開く。
「先ほどから政府に連絡していますが、通信もおかしくなっている様子です。何度もゲートを遠隔操作で閉じようとしましたが、強い瘴気の影響か全くゲートが閉じれません。審神者様でも難しいですよ」
そう、こんのすけは言った。
でもね、大丈夫なんだよ本当に。
アタシはさおちゃんに「さおちゃん、お願い」と言った。
するとさおちゃんはゲートがあった方向へ歩き出す。
危ないと思ったのだろう。光忠、大倶利伽羅、小狐丸、鶴丸がその後に続いた。あれ?なんかさおちゃんずるくない?めっちゃナイトに守られてるって感じするんだけど。ずるいしょ!別に光忠に囲まれたいわけじゃないけど、なんか侍らせて歩いてるのカッコイイ!!すごいキラキラして見える!!
まぁ、本人はきっと「なんでこの人たちついて来たの!?ふえぇぇぇ!」って幼女のように心の中で泣いてるんだろうけどなwww
結界から3mくらい離れたところで、さおちゃんは止まった。
そして、手を胸の前で組んで、目を閉じて、静かに念じた。
すると・・・
スッ
「「「「「「「「「「!!!???」」」」」」」」」
一瞬にして、敵がどんどん出て来ていたゲートの空間が消え、ゲートはただの何もないゲートに変化した。
もちろん、敵さんも出てこないし、本当にただの置物って感じだ。
それにはその場の一同が驚いた。
ね、だから大丈夫って言ったでしょ。
「?????」
こんのすけもあまりの出来事に首をかしげている。そりゃそうだwww
さおちゃんはホッとした顔をしてこちらへ戻ってきた。
よかった、とりあえず、これ以上敵が増えることはなさそうだ。
歌仙「えーっと・・・ますたぁ・・・一体何をしたのかな?」
さ「え!?いえ、あのゲートから、瘴気とか霊気とかたくさん出ていたので、それをちょっと操作して道を閉じたというかなんといか・・・」
ま「姉はこういうの得意なのさ」
小狐「さすがぬしさま!素晴らしいです!」
鶴丸「でもどうするんだ?ゲートが閉じたのはいいが、敵に囲まれているのは変わらないだろう」
鶴丸の言葉で改めて周りを見渡しても、とにかくすごい数だ。ずらっと結界を囲んでいて、短刀とかの空を飛べるやつらは上のほうまで囲んでいて。
これじゃあ太陽のぼっても暗いままだなってちょっと落ち込んだ。
今も薄暗いけど、きっとこの明るさから変わんないんだろうな…。
ま「どうしようか。みんな一刻も早く倒したいって感じだね」
長谷「当たり前です。主に仇名す敵は切る!」
青江「さすがにこのままじゃ、危ないからねぇ」
小夜「結界が破られたらみんな死ぬよ」
ま「小夜たそ!死ぬとかサラッと言うんじゃありません!」
宗三「でも、本当のことですよ。僕たちは何十倍もの敵に囲まれてるんですから。無事ではいられないと思いますよ」
薬研「大将は、絶対に俺が守るからな」
後藤「俺たちがだろ」
ま「おお、うちの子たちがこんなにもカッコイイ…ちょっと、御手杵も言ってよ」
御手「ん?」
ま「俺がお前を守るって言ってよぉぉぉぉぉ!!!!」
御手「そ、そりゃ守るけど、なんか大丈夫な気もするんだよなぁ」
長谷「貴様!こんな状況でのん気すぎるぞ!!」
御手「いや~別にのん気に言ってるわけじゃねーけど、この結界の強さ、俺たちよく知ってるだろ~?だから、大丈夫だって思ってるんだよ」
ま「御手杵が・・・アタシを信頼してくれている・・・!」
加州「主・・・なにその感激してる顔」
安定「危機感ないよね主・・・」
曽祢「とにかく、政府にも連絡が取れないのでは、俺たちで何とかするしかないだろう」
蜻蛉「今の状況をどうするか考えなければ・・・」
みんなが「うーん」と悩んでいるところに、
「ちょっと、いいですか・・・?」
とさおちゃんが恐る恐る声をかけた。
燭台「なんだい?マスター」
さ「あの、この結界は壊すことはできません」
歌仙「・・・まぁ、強い結界ということはわかっているけど、万が一ということがあるからね」
ま「ほんとに大丈夫だってばー」
さ「こんのすけ、結界の強度は大丈夫だよね?」
こん「はい、結界自体はとても強いものであると同時に、再生機能があるようで、少し力を入れてわずかなヒビを入れたとしてもその場で再生するようです。ですので、時間遡行軍が結界を破ろうとして、万が一傷がついても、すぐに傷が再生するため、結界をやぶることは不可能ですね。」
鶴丸「・・・驚いたな、再生までするのか、きみの結界は」
ま「だから、姉といれば霊力無限って言ったしょ」
こん「そもそも、この結界、厚さが50cmほどありますね。これは水族館のガラスと同じくらいの厚さなのですが、水圧にも耐えれるほどの厚さなので、時間遡行軍が体重をかけてきても壊れないと思います」
信濃「え!?この結界そんなに分厚いの!?」
ま「気合い入れたら分厚くなったらしいw」
厚「こんなでかくて分厚い結界貼るなんて、大将すげーな・・・」
ま「だろ?みんなもっと褒めてくれてもいいと思うわ!」
髭切「いいこいいこ♪」
さ「・・・ということなので、時間遡行軍の作った道も消してしまった今、あの人たち、ここから逃げられません」
歌仙「・・・まぁ、そういうことになるね・・・」
さ「なので、この機会に時間遡行軍の観察をしたいと思います!」
さおちゃんがそういうとその場がしーんと静まり返った
ちょwさおちゃんw
なにいってんのwww
ま「ちょっとwww観察ってwww虫じゃないんだぞwww」
さ「こんのすけ、結界の外だけ、冬の景趣にすることできる?」
こん「審神者様のお力を使えば、可能かと」
さ「じゃあ、結界の外だけ冬の景趣にしよう」
ま「え、ちょっとwww雪で攻めるのかいwww」
さ「雪で攻めるっていうより、今まで不思議だったんだよね~。なんで合戦上って雪降ってないところばっかりなのかなぁって。まぁ合戦上って本州が多いから、雪降ってないのも頷けるけど、東北とかあとイベントの合戦上も絶対冬のところないからさ~。時間遡行軍が、寒いところでどういう動きになるか観察したい」
ま「こわっ!なんか人体実験みたいで怖いなきみの考え!!」
さ「え、あー人体実験になるのかなぁ?まぁ、敵さんだからいいよね?こんな機会もなかなかないし」
う、うわぁ・・・
さおちゃんって、意外とこういうとこシビアというか、なんというか・・・
けっこうグロい漫画も読むし、こういう時容赦ないよなぁ・・・
まぁ、引いてるのアタシだけじゃないみたいで、何人かうわぁって顔してるわwww
でも、確かに!って顔してる人もいて、マスターすげーって感じのやつもいるわwww
時空が乱れてるみたいで、政府と連絡とれないし、きっとsanizonも頼めないってこんのすけに言われた。
試しに頼もうと思ったら、本当にネットが繋がらないw
光忠と歌仙が青い顔してるわ・・・本丸の食料・・・野菜は畑でいいけど、肉類はね・・・いつも審神者用のネットスーパーで注文してたし・・・米は俵で注文してるから、まだまだあるから大丈夫だけど・・・
ということで、時間遡行軍も食べるものないと思うけど、兵糧攻めされてるのはこちらも同じなので、一週間を限度として、時間遡行軍の観察をすることになった。
「一週間以上は無理だからね!」と光忠がプンスコしていたw歌仙もメニューを考え直さなくてはと頭を抱えていたw
ママって大変だなwww
かく言う私も、ネットがなくなってしまって悲しかったりする。
これじゃあ新作のゲームも注文できないぜ!ネットで漫画も読めないし・・・
仕方ないから、この1週間はとにかく遊びまくろうと思う。何して遊ぼうかなー。
別に人体実験をしようとかそういうことではなかったんだけど、時間遡行軍の謎に迫ってみたかったっていうのはある。
私、別に研究者ってわけじゃないけど謎が気になって仕方がない・・・
コナンくんの影響だな絶対・・・
でも、敵さんたくさんいすぎると、瘴気とかで磁場が狂って、ネット出来なくなっちゃうんだって。
政府と連絡とれないし、ゲートも結界の外にあるから使えないし、外に出ることできないから困ったもんだよ。
ということで、食事担当の人達に泣かれたので、1週間だけ時間遡行軍を観察することにした。
「ますたぁ殿、あまり近づくのはお控えなされよ」
結界のギリギリまで近づくと、山伏さんに制止される。
あれだけ、大丈夫と説明したのに、それでも彼らはとても警戒していて、結界の周りを交代で見張っている。
東西南北、大体4カ所にそれぞれ1人ずつ。
夜は脇差、打刀がそれを交代。敵さんの数が多すぎて夜だと本当に真っ暗になっちゃうからね。昼間も少しくらいけど、外でたいまつを常に燃やしてるから大丈夫。
そして、短刀ちゃんたちは、私たちの離れの警護をずっとしてくれていた。(お泊り会毎日開催中!!天国!!!)
出陣できないのに、みんな戦装束だし、家事がしづらいから内番服の人たちも帯刀だけは絶対していた。
かなりみんな警戒態勢。
守るものがあるって、大変なことなんだなって改めて思ったよ。
私たちに限らずね。仲間とか、兄弟とか、この本丸とか。守りたいもののために、彼らは気を張ってる。
私は行った事ないけど、きっと戦場でもこんな感じなんだろうね・・・。みんなの真剣な気持ちが伝わってくるよ・・・。
歌仙「主!!また池の鯉を捕まえようとして!!」
ま「鯉って意外と食べれると聞いたので」
歌仙「きみは!雅が!わかって!ない!」
御手「だから怒られるって言っただろー」
ま「タンパク質ー!」
薬研「どうせ、鯉なんて捕まえても食べる気ないだろ大将」
ま「御手杵に♥」
御手「いらねーよ・・・」
歌仙「雅じゃない!!!!!」
ま「逃げろー!」
・・・まぁちゃんがまたバカな事して怒られてるよ・・・
ネットないし、相当暇みたいでね・・・
短刀ちゃんたちが常についてくるから、ゲームも集中できないみたいで・・・
暇すぎていろんなことをやってるよ彼女は・・・
そして大体怒られているよ・・・バカだねほんと・・・
「カッカッカ、主殿は今日も元気であるな!」
山伏さんが笑っている・・・山伏さんってすごく寛容だよな・・・いい人だ。
そんなことを考えながら、時間遡行軍を観察していく。
多分だけど、政府も時間遡行軍を捕まえて、解剖したりしてると思う。いや、そんな話はされたこともないし、実際わかんないよ?
でも、敵を知るためには、解剖っていつの時代もやるじゃん?動物も虫もなんでも解剖するし、人間は。
だから、時間遡行軍も解剖されたり、いろんな実験されたり、けっこう私たち審神者の知らないところでひどいことされてると思うんだよね。ホント、勝手な憶測だけど。
でも連れて帰れるのって、大分弱った奴だと思うんだ。しかも、1匹とか2匹とか。
戦場ではみんな生き残ろうと必死だから、大体がとどめ刺しちゃうと思うし、政府の役人に言われて弱らせて捕まえても、なかなか連れて帰るの大変だし。
だから、こんなにたくさんの元気な時間遡行軍をゆっくりと観察できる機会なんてなかなかないわけだよね!
だから、私はこの異形の者たちを観察する。
少しでも、みんなの手助けが出来るように。
(雪が降って変わったことは、短刀が上のほうを飛行しなくなったことかなぁ・・・)
(あと、寒そうなのは寒そうだ)
(敵さんの吐く息が白いってことは、やっぱり体は温かいんだろうな)
(でも、彼ら意識がそこまでないのか、火を焚こうとかって考えはないみたい・・・)
(ただ、寒さに耐えてるだけって感じもするな・・・)
(しもやけになってしまっている人もいるな・・・かわいそうだから、あまり長く冬の背景はやめようかな・・・)
(もしかして時間遡行軍も凍死するんじゃ・・・)
(後味悪すぎるな・・・)
(ん?)
1匹1匹をゆっくりと見ていた時に気が付いた。
ある、敵方の大太刀の刀に刺さって光っている物を。
(え、ちょっと、)
(あれって・・・)
(もしかして!!!!)
私は急いで本丸に戻って、それを確認してほしい人の名前を呼んだ。
彼は大広間にいたから、すぐに走って一緒にまた、時間遡行軍の前までやって来てくれた。
「ほんとだ・・・あれ・・・俺のだ・・・」
私が呼んできた、彼――――
加州さんは、その敵がぶら下げていたものを見て、そう言った。
それは、加州さんが戦場で落としたはずの【ピアス】だった。
「やっぱり・・・かすかに加州さんの神気が感じられたから・・・」
「え、なんで!?なんであいつがあれ持ってるの!?」
「仮説ですが・・・」
そう。
本当に仮説なんだけど、
刀剣男士は戦いの中で、戦場でいろいろなものを落とすことも多いだろう。
真剣必殺したら、服がはじけ飛んじゃうわけだし、腕とか足とか、斬り合いの中で失って帰ってくることだってあるだろう。
時間遡行軍は、そこに目を付けたのかもしれない。
最近、本丸襲撃事件が起こっているのは、この戦場の”落し物”を拾い、そしてその神気や霊気をたどって、本丸までやってくるんじゃないだろうか。
基本的には、刀剣男士が身につけているものは、刀剣男士が破壊したら消えちゃうんだけど、普通にただ”落し物”をした場合は消えずにあるものもあるだろう。
真剣必殺でボタンがはじけても、結局本丸で手入れして本人は無事なので、そのまま合戦場に置きっぱなしのものもあるのかも。
どういうことかわからないけど、向こうはその”落し物”の霊力を辿る術を考え出したのかもしれない。
それが、最近本丸襲撃が増えている理由にもなるんじゃないか。
私はそう、集まってきたみんなに話した。
「だからか・・・」
ポツリと鶴丸さんが呟いた。
燭「鶴さん、何か心当たりでもあるの?」
鶴「いや、先日不動を探しに行った時、俺が敵将のところに瞬間移動したと言ってただろ」
薬研「ああ、そういやそんなことを言ってたな」
鶴「実はあの時、組紐のようなものを拾ったんだ」
宗三「組紐・・・ですか」
鶴「瘴気がまとっていて、嫌な予感がしたんだが、それを拾った瞬間に俺は敵の本陣にいたってわけさ」
ま「そういえば、瞬間移動がどうとか騒いでたな」
鶴「いやー、あの時は本当に瞬間移動が出来るようになったと思ってたんだが・・・もしや、それは敵の”落し物”で、どういうわけかわからんが、持ち主のところへ行くという術が発動したのかもしれんなぁ」
へし「ああ・・・確かに、それは考えられるな・・・」
ああ・・・あのタケノコご飯だった時のことかと私は思い出した。
なにやら興奮した様子で、まぁちゃんに懸命に瞬間移動について話してたっけ鶴丸さん…。
確かに、”落し物”を拾ったのであれば、何かの条件で術が発動してもおかしくないなと思った。
さ「そうですね・・・それはきっとそうなのかもしれません。もしかしたら、本丸襲撃を減らせるかもしれないですね」
あくまでも、仮説だけど、そんなことを思った。
それから、私はきっちり時間遡行軍を観察した。
気持ち悪いとか言う前に、なんかいろいろなことがわかってきたのが楽しくなってきたっていうのもある。
それをパソコンでまとめるのも、めちゃくちゃ楽しかった。写真もたくさん撮って、レポートの中にいっぱい入れてやったぜ!!
そして、約束の一週間後―――――――
無事に私の個人的な時間遡行軍観察日記は完成し、非常に満足していたよ!
(●´ω`●)ホクホク
ま「きみ、満足そうだな」
さ「大満足だよ!」
ま「そろそろ歌仙と光忠涙目だからやめてあげような」
愛染「いやーそれにしても、見事だったよな!あのハンバーグ!」
乱「ねー♥肉がないのによく作れたよね!!ボク本物のお肉かと思っちゃった!」
秋田「メンチカツも美味しかったです!」
信濃「牛乳ないのにグラタンも見事だったよね~」
燭台「まぁ出陣や遠征がないから時間はたっぷりあったしね…フェイク料理研究しちゃったんだ…みんなが喜んでくれて嬉しいよ」
歌仙「ああ…しかし、バランスはあまりよくないな…とくにタンパク質が足りないから、本当にいい加減通販を使えるようにしてもらいたい」
ま「うん、そうしよう」
兼「でもどうすんだよ?この敵。結界解いたら一気にこいつらと戦闘が始まるぜ?」
小狐「ぬしさまは、私が守りますゆえ」
三日「危ないから、主たちは離れに籠っておれ」
さ「ああ、大丈夫です」
清光「え?」
みんな不思議そうな顔で私を見た。
私はまぁちゃんに、声をかける。
さ「ねぇきみ、結界の一部、トンネルにして」
ま「おk」
「「「「「!!!?????」」」」」
その手があったか!とか、そんなこともできるのか!という顔で皆さんが驚いている。
そんな手があったし、そんなことができるんですよまぁちゃんは。
「結界の一部をトンネルのようにすれば、敵は1体ずつじゃないとこっちに来れなくなります。ということで、来た敵さんを皆さんで順番に倒していただければ、疲労もたまりませんし、楽に倒せるかと」
私のその一言で、みなさん、何かを察して頷いてくれた。
それからは早かったなぁ!!!
時間がかかるので、東西南北4カ所にトンネルを設置。
敵さんはそのトンネルを通って、1体ずつのそのそとやってくる。
寒かったから、かなり手もかじかんでいるようで、動きがね・・・すごく悪いんだよね・・・。
かわいそうなことしたな・・・と、うちの子たちの無双する姿を見て思った。
うん・・・ごめんね・・・ほんと・・・ちょっと残酷なことしちゃってごめんね・・・出陣できなかったから、みんなストレス溜まってて超イキイキしてるよ・・・。
マジでごめんね・・・時間遡行軍の皆さん・・・運が悪かったね・・・。
その後―――――――――
ある程度敵が減ってきたら、あとは結界解いて全員で無双して敵さんをさっさとやっつけました。
敵さんやっつけたら、無事に回線やゲートも復活して、そこで焦ってゲートから現れたのがうちの担当さんだった。
政府でうちの本丸に連絡がとれなくて、ゲートも通じなくて、めちゃくちゃ焦ってたみたい。
悪い事したけど、連絡つかなかったから仕方ないよね。
担当さんに「そんな数の時間遡行軍を倒すなんて聞いたことありませんよ!!本当に最高ですねあなた達は!!」とめちゃくちゃ褒められた。
何かあったんじゃないとずっと心配していてくれたみたいで、本当に良い人だよね、うちの担当さん!
私は政府にレポートを提出した。
・時間遡行軍の冬の合戦場での動きについて
・本丸襲撃事件の仮説
・大量の敵さんをやっつけたこと
以上のことで、政府のみなさん、大歓喜w
私たちの本丸は表彰されて、金一封!その他に資材とか、料理道具とか、旅行券とかたくさんいろいろなものをもらってしまったw
政府の人たちどんだけ嬉しかったんだろうかw
もらったお金で、みんなで焼肉とお寿司パーティーだよw
タンパク質足りなくて、肉と魚が死ぬほど食べたくなってる私たちです。
結局、戦場に落とした落し物は、戦場を離れた瞬間に消えるように政府のほうでいろいろ頑張って設定してみるとのことでした。
これで少しは本丸襲撃事件が減るといいなぁ(o´・∀・`o)
怖かったし、大変だったけど、貴重な体験が出来たし、少しは役に立てたみたいなので、良かったです!
では、明日からまた無事にカオナシに戻ります!一週間ドキドキしっぱなしだったよ!(イケメン的な意味で)
よかったよかった!
おしまい!