季節はめぐって春
私の目の前には、再び新しいスーツに身を包んだ新入社員たちが・・・!
(あー眼福)(年下の男の子超可愛い)(大学卒業したてで22歳?)
(20代前半とか、)(最高すぎる・・・)
(いい時期だわ・・・)
カシャカシャカシャカシャ
今年も写真を撮りまくる私・・・
ああ
し あ わ せ
「新入社員の皆さんに密着取材をしてもらうまえさんです」
「まえです、よろしくお願いします!」
今年も新入社員に密着させてもらうことになりました!
(ふふふ、役得だわ・・・)
――――――――――――
「まえさん、今度飲みに行きませんか?」
「会社のこといろいろ教えてください!」
「じゃあ研修終わったら行きましょうか」
「やったー!」
(今年の新入社員は積極的だなー!)
(去年の子たちは真面目な子多かったからな・・・)
(今年はなんか”今の子”って感じ)
今年の新入社員はかなり積極的に話しかけてきてくれるおかげで、
人見知りの私でも、若い子たちとかなり仲良くなれていた!
(最高です)
「あ、まえさーん」
「お昼ご一緒しません?」
昼休みに食堂に行くと、新入社員に誘われる
ほんと、今年の子たち積極的というか、なんというか
(まぁ若い子とご飯食べられて私は嬉しいからね!)
(ふっふ!)
「じゃあ、ごいっしょ、「すまんなぁ、先約やねん」
!!!???
浮かれポンチの私の後ろから聞こえた声
そうして彼は私の耳元で
「顔、ニヤケてんで」
ボソッと耳打ちしたのだった・・・
(ぎゃーーーーーー!!)
(サイアク!)
「え、すごいイケメンじゃないっすか!」
「まえさんの彼氏さんですか?」
「研究開発の白石です、いつも彼女がお世話になってますー」
「あ、おつかれさまです!」
「うわー研究とかかっこいー」
「はは、ほな、あっち座ろうか、 さおり」
(う、うわー)(いつも会社では”まえさん”って呼ぶくせに・・・)
その笑顔が怖いよ・・・
私は白石くんに促されて、空いていたはじっこの席に座った
「・・・」
「はぁ・・・なにか言いたいことは?」
「・・・私は悪くありません」
「まだそんなこと言うんか、この口は」
白石くんにほっぺをつねられた
痛い
(なぜ私がこんな目に!)
「まさか、さおりがこんなに若い子好きやったとは・・・」
「え!?そんなんでもないよ!?」
「いや、けっこうやで!?」
「ええ!?」
「めっちゃニヤニヤしとったで今!」
「ニヤニヤじゃないよ!!ニコニコだよ!!」
「俺にはニヤニヤに見えましたー」
「ふーんだ、白石くんなんて同い年だったくせになにさー!」
「え!?何それめちゃくちゃやな!」
「あーあ・・・去年は白石くん年下だと思ってときめいてたのに・・・」
「いや、同い年でもええやんか」
「かわいくなーい」
「はぁ!?何言うてんねん!」
ええ加減にしないと、怒りますよ
白石くんがそんなことを低い声で言ったものだから、
私は慌てて
「すみませんでした」
と謝った
(怒ったらめんどくさいんだこの人)
「もう、あかんで!若い子に言い寄られたからってついてったら!」
「ついてってないよ!」
「飲み会とか約束したんとちゃうやろな?」
「(ギクッ)(なぜばれた)・・・・・・・してないよ」
「したなこりゃ」
「わー、いいじゃん!私が誰と飲みに行こうと!!」
「あかん」
「え」
「あかんよ・・・」
白石くんは、私のことを真っ直ぐ見て、
「俺の彼女やろ、さおりは」
そう言った
(・・・)(か、彼女だけど・・・)
(飲み会いっちゃダメなの・・・?)
(けっこう厳しいな!)(束縛か!)(これが噂の束縛か!!)
「・・・束縛?」
「え!?いや、そんなつもりはあらへんけど・・・」
「じゃあ何?」
「・・・やって、嫌やで、若い男の子ーってウキウキしながら飲み会とか行かれんの」
「・・・」
「酒入ると、何があるかわからんし・・・」
「・・・」
「さおりのことは信じてるけどな!けど、男の力にはかなわんし・・・」
「・・・」
「・・・まぁ、せやから、」
「・・・」
「つまり・・・」
「・・・」
「やきもちです・・・」
「・・・」
(やきもち・・・)(やきもちか・・・)
やきもち・・・
人生初のヤキモチだよ・・・
(確かに・・・)
(私も白石くんが「若い女の子ー」って言って飲み会行くのすごい嫌だしな・・・)
(白石くんはそんなことしないけど・・・)
(けど、そんなことなったら多分泣く・・・)
きっと、同じことなんだよね
(悪いことしたな)
(私は自分がやられていやなことは人にはやらないって決めてるのに・・・)
「・・・わかったよ」
「え」
「ごめんね白石くん、飲み会はいかないよ」
「・・・いや、けど付き合いなら・・・」
「大丈夫だよ、私がいてもいなくてどっちでもいいんだと思う」
「・・・おん」
「あと、仕事だから個人的な感情は封印するよ」
「・・・」
「可愛いとか、そんなの言わないようにする」
「・・・」
「お仕事だからね!」
「・・・せやな!」
そうして、2人で見つめ合って笑う
(社内一かっこいい社員が私の彼氏なんて幸せすぎるし、もう若い子にニヤニヤするのやめよう!)
(そうだ!仕事だもん!)
(だめだな私は・・・すぐ若い子見るとニヤニヤしちゃって・・・)
私の反省はちゃんと白石くんにも伝わったようで、彼もやっと安心した表情を見せてくれた
(よかったよかった)
(これで一件落着!)
「・・・ほなさ、次の休みやけど、一緒にどっか行こか?」
「・・・うん!」
「じゃあ、どこいくかプランかんが」
「ちょっといい?」
私と白石くんが仲良く次のデートのプランを立てようとしていたところへ割り込んできたのは、広報の同僚・・・
そして、その後ろには・・・
「こないだ話してた職業体験の高校生連れてきたから、あとで写真お願いしてもいい?」
・・・・・・・・・・・
ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ
(ちょ、ちょうかわいい!!!)
男子高生最高なんだけど!!!!!
結局若い男の子にまたニヤニヤする私
それを横目で見る白石くん
この楽しみはやめられそうにありません!