仮想世界で最強の双子になった件⑩【白石/まなみ/謙也】

 

ゲームの世界で会うた子やけど本気になってもうて
俺は 現実世界で意識不明の彼女をなんとかして助けたいと思うてた。
跡部くんたちにも協力してもろて魔王を倒しに行こうと思うてたんやけど・・・・・

 

「魔王倒しにいくぞー!!!」
「おーーーー!!!!」

 

 

めっちゃ張り切っとる

 

(あかんやつやこれ・・・)

 

彼女が目を覚まさず、意識だけがゲーム内に閉じ込められているのは大問題なんやけど
ゲームでの彼女はいつも楽しそうやからうっかり忘れそうになる。

 

けど、紛れもなくここはゲームの中で、
ほんでめっちゃ危険な状態なのに彼女は魔王に挑もうとしとる…
ほんまに大丈夫なんやろか…

 

「魔王の城さー、この辺だったよね?」

 

のんきに魔王城を探す二人。
helpの地図を見ながら、俺たちはそれはもう簡単にflyで空を飛んできた。
思うだけで勝手に飛んで連れてってくれんねん…
恐ろしく便利なアイテムやで!

 

「おかしいなぁー?玄武この辺にいるって地図光ってんのに」
「なんでいないのかな?」
「でかすぎて見えないんとちゃう?」
「え…こわ…」
「玄武だもんね…ありえるよね(ゴクリ)」
「うーん、やっぱ跡部くんたち待った方がええんちゃう?」
「自分より弱い奴らを待つ意味とは」
「ハッキリ言うのやめなよまぁちゃん」
「間違えてはいない」

「そうだとしてもさ…」

 

 

破天荒なまなみちゃんを基本的にさおりちゃんは嗜めるんやけど、
どうもゲームのこととなるとさおりちゃんもかなり暴走するからな・・・
止めるのが大変やねん。
現に跡部くんたち待とうて言うても、断固拒否のまなみちゃんに同調してもうてる。
まなみちゃんの場合はバカにされたとか見返したいとか色々あるみたいやけど、さおりちゃんに至ってはただただ純粋に自分の力でゲームを楽しみたいと言うゲーマーの血みたいのを感じる・・・
止められない俺らも俺らなんやけど・・・
正直彼女たちの足元にも及ばへんからな俺らは・・・
結局こうして側で見守ることしかでけへんねん😞

 

 

 

「どうしよう・・・」
「間違いなくここだよね・・・?」
「ここだよね」
「けどこの辺なーーーんもないで」
「なんもないよね・・・」
「え、まさかこの私たちがいる地面全てが玄武の背中とか言わないよね・・・?」
「いやそれマジで怖すぎて吐く」
「地下かぁ・・・地下ちょっともう遺跡のところで怖かったから行きたくないんだよなぁ・・・」
「うーん、だったらモグちゃん(新入り)に調査行ってもらおうか?」
「helpはこの場所しか教えてくれないしね・・・そうする?」
「それかうちの子たちに聞いてみようか?何か知ってる子いるかもしれないよ」
「そういえばみんなに魔王のこと聞いたことなかったよね、聞いてみようか」

 

 

そしてまなみちゃんはフレンドたちを呼び出して話を聞いた。
こんなこと出来てまうのもすごいよな・・・

 

 

「きみたちに聞きたいことがある!!ちょ、トラオ顔舐めないで!あ、おさるこら!ウルフやめ・・・もう!!あとで遊んであげるから!!ちょ、重い、クマゴローのるな、ピー、ニョロ!や、やめ、やめろ!!!」

 

 

 

まなみちゃんはフレンズたちに好かれすぎてもみくちゃにされとる・・・

 

 

 

カシャカシャカシャカシャカシャ(連写)

 

 

 

それをhelpのカメラ機能で撮りまくるさおりちゃん・・・

 

うん・・・
妹大好きやもんな・・・
その割には真顔やけどな・・・

 

 

「尊い・・・」

 

あかん!!!!!
心の声が漏れてる・・・!!!!!!

 

(その興味1ミリでも俺に向けてくれたらな・・・)
(いや、ゲームでしか会うたことないし無理か・・・)
(無理なのわかっとる・・・)
(せやからなおさら現実世界に戻って猛アタックせなあかんねん・・・!)
(ちゃんと彼女を元の世界に戻さな・・・!!!!)

 

 

「さおりちゃんそろそろとめた方が・・・」
「そうだね写真もいっぱい撮ったしそろそろとめようかな!!!」

 

 

写真撮るのを満足したのかふんすふんすしながらさおりちゃんが止めに入る。
めっちゃ可愛いな・・・
満足したんやな写真撮るの・・・
ええ写真撮れたんかな・・・
ちなみに謙也はフレンズたちをうらやましそーな顔して眺めとった・・・わかりやすいなコイツも。

 

 

「ほらほら、まぁちゃん聞きたいことあるんだからおとなしくして!」
「おぉ・・・さおちゃんすまんの・・・もう!遊ぶために呼んだんじゃないの!!聞きたいことがあるの!!」

俺らにはフレンズたちの声は聞こえへんけどまなみちゃんには聞こえとるらしい。
知能の高い人間の言葉をしゃべれるフレンズなら俺らにも声が聞こえる。
こないだ人魚のフレンズにイカの好みだと思うから気を付けるように、と言われた・・・
確かにイカからの視線は感じとった・・・(こわい)(けど人魚の王の目線もなんか怖かったで・・・)

 

「みんな、魔王城ってどこにあるか知ってる?helpだとこのあたりなんだけど」

 

まなみちゃんが言うと フレンズたちは  キョトン  という顔をした。
まるで 知らないの??? と言うてるみたいや。

 

【あるじゃないですか】

 

う・・・
女王蜂や・・・
いまだにちょっと苦手や・・・

手足切られたの死ぬほど痛くてトラウマやで・・・

 

「え、どこ?ないよ?まさか、地下!?」
【いいえ、空です】
「そ、空!?!?」
【魔王城は 空に浮かんでいます】
「「「「えーーーーーー!!!!!!!」」」」

 

俺らはいっせに驚いて

 

「ラピュタ・・・」

 

と、ぼそっとさおりちゃんが言うたもんやから
なぜかそのあとムスカの物まねを始めた謙也とまなみちゃん(息ピッタリやな!)

 

空なら行きやすいと みんなで飛んでいくことにした。

 

 

いや、一つ言うとくけど  空は行きやすくないんやで・・・?
他の冒険者な
空飛べへんねん・・・
ワープとかの魔法もあるけどな、空は飛べへんねん・・・
魔法を使った飛行船とかは聞いたことあるけどな
大概のプレイヤーは  空飛べへんねん・・・!!!!
俺かてさおりちゃんにflyつけてもろてへんかったら飛べへんしな・・・

 

 

せやから今まで誰も魔王の城を見つけられへんかったんやな、と納得した。
どうりで 大勢のプレイヤーたちが魔王の城を探してもどこにもないわけや。
しかも空に浮かんでるっちゅーことは とどまることがない っちゅーことやから
それを見つけるのはほぼほぼ不可能やろうな、と 納得してもうた。

 

(・・・どないしよう)
(跡部くんたちにも伝えられてへんし)
(このまま行っても大丈夫やろか)
(もし魔王が飛んでもなく強かったら・・・)
(俺、彼女をしっかり守らへんと・・・)

 

 

飛びながら そんなことを思い

 

 

ドン! と謙也にぶつかってもうて 顔をあげた

 

 

「あ、すまん、ボーっとして・・・」
「し、白石・・・」
「え?」
「やばいで、これ・・・・」

 

それは  雲に隠れた  ものすごく大きな亀の姿やった

 

「な なんや これ・・・」

 

下から見たらただの雲

 

上から見たら  島が空に浮かんどった
それもとんでもなくでかい亀の甲羅の上に。

 

 

「まってマジで亀いた」
「玄武ね・・・」
「え、怖くない・・・?」
「めっちゃ怖い・・・盾の勇者の成り上がりで見た玄武より大きいよ・・・?」

「ちょっとマジでよく見ると亀こわい!!!!」
「亀こわいね!!!」
「亀にはいろいろなトラウマが・・・」
「わかる・・・」
「なんとかふしぎ遊戯を思い出してがんばるしかない・・・」
「がんばろう・・・」
「これは亀じゃなくてアイランドだと思おう・・・」
「なんで今英語使うねん」

「ほんまに島や・・・」

 

 

亀の背中には木が生い茂り、山があり、湖があり、流れる川まである
そしてその真ん中には・・・

 

 

「・・・大きなお城・・・?」
「あれ・・・まさか、魔王城かな」
「・・・あれしかないよね・・・?」
「けど、玄武まったく攻撃して来ぃへんで?」
「玄武は城を守ってるわけとちゃうんか?」
「とりあえず・・・行ってみようか?」

 

 

俺たちは城の入り口におりて その城を見上げた

 

 

(・・・でかい)

 

 

おどろおどろしいその雰囲気に魔王の力が強いのがここからでも伝わってくる

 

 

「・・・素敵」

 

 

!?

 

そうつぶやいたのは さおりちゃんやった・・・

 

「きみほんと城好きだな!」
「こんな大きなお城・・・!!修学旅行でドイツに行ったときに見たノイシュバンシュタイン城より素敵・・・!まるでディズニーだよ!!」
「まぁでもディズニーの城意外と小さいけどな!」
「作りが・・・!カワイイ・・・!!!」
「そう?なんか不気味じゃない?興奮してんのきみだけだよ?おらは日本の城のが好きだ」
「ねぇ、あの装飾とか可愛くない!?」
「大阪城のが好きだよ」
「えぇ~屋根の色緑とかすっごい可愛いじゃん・・・!」
「さおりちゃん、地下の遺跡でも城見たやん・・・」
「あー・・・あれは城というか遺跡だったから好みではなくて」

 

(ガーン)
(好みではなかったか…)
(残念やな…)

 

「とにかく入ってみよう!!」
「どうやって入るんやろ?ドアしまってるで?」
「ノックしてみる?」
「ノックで魔王城が開くなんて聞いたことあるか?」
「やっぱここはひらけゴマ!!!じゃない?」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

(え?)

 

 

その時大きな音を立てて門がひらいた・・・
ええええ?
ひらけごまで開くとか さすがゲームの世界やな!!
設定が簡単すぎる!!!

 

 

「ツッコミどころ多いな!!?」
「ほんまやで!!ひらけごまて!なんでやねん!!」
「なにそのツッコミwww関西人っぽいwww」
「ぽいてなんや!正真正銘の関西人や!!」

 

 

とにかく扉が開いたから大喜びでまなみちゃんは中へ進んだ。
その後を謙也が追って、さおりちゃんが行こうとして

 

ガシ

 

俺は腕を掴んだ

 

「ん?」
「あ、」
「どうしたの?白石くん・・・」
「いや、あのな、さおりちゃん」
「うん」
「・・・俺、二人ほど強くもないけど・・・絶対守るから無茶せんでな?」

 

そう言うと

 

「・・・うん!」

 

とびっきりの笑顔で返事をしてくれた彼女。

 

(・・・・・・・)

 

嬉しさと恥ずかしさとめっちゃ可愛いって気持ちで魂抜けたまま俺も城の中へ進んだ。
いよいよ魔王との決戦やで・・・!!

 

 

 


 

 

 

 

城の中へ進んだアタシたち。

 

「きみ顔赤いよ」
「うん、うん、うん」

 

うん しか言わないさおちゃんに しらいしまたクサイこと言ったか? と頭によぎる・・・
あいつはな!!
ゲームでしかさおちゃんと会ったことないのにな!!!
(さおちゃん曰く)課金してるその顔面でな!!!
さおちゃんをことごとく誘惑するんだ!!!!!!
なんなんだあの男は!!!!!!
確かにチャラいというわけではないし(むしろ真面目)さおちゃんにとても優しく接しているけど!!!!
でもあの顔面な!!!!あの顔面でな!!!!
さおちゃんのモロドンピシャの顔面でな!!!!!!
さおちゃんを口説くんだ!!!!!!!!
さおちゃんそんなのな!!!!!
ときめくじゃないか!!!!!!!!
これでゲーム終わって現実戻ってサヨナラーはおらは許さねぇぞ!!!
本当はブサイクなんだろうけどな!!!!
植物園行く約束したって言ってたからな!!!
必ず約束守ってさおちゃんと一度会ってせめてそのブサイクな顔面を晒してさおちゃんの恋心に終止符を打たないと
やつは  フルボッコだ!!!!!!!!!!

 

(ふぅ・・・)
(さおちゃん泣かしたら許さねぇ・・・)
(ブサイクでも許せんけどブサイクはもう仕方ないからな・・・それはおらも課金して美少女になりたいと思うしな)
(でも優しくしたならやっぱそれなりの責任取らないといけないと思う)
(好きじゃない異性に優しくしたらあかんのやぞ)

 

 

まぁとりあえず今は魔王を倒すことが優先だな!!
さおちゃんが最初にこのゲームの世界に入ってぐったりしたときマジで怖くて焦ったからさ・・・
さおちゃんは救わないといけないだろ・・・
そしておらの目的はもう一つ!!
人間に倒されちゃうモンスターたちを救うことね。これ大事。
ポケモンみたいに一緒に共存できる世界を作って欲しい。
魔王をフルボッコして仲間にしたら頼んでみる。

 

 

しっかし
内装がベルバラの世界なんだよなーーー!!!!!!!

 

誰この城作ったの!!
さおちゃんキュンキュン止まらんやん!

 

 

「はわわ・・・何この装飾めっちゃかわいい・・・」
「ベルサイユ宮殿みたい・・・」
「何この絵画素敵・・・」
「金ぴか・・・美しい・・・」

 

これずっとさおちゃんの独り言だかんね・・・!!!

 

「すごいな・・・城って感じやわ」
「魔王少女趣味なんかな・・・?」
「ゲームの世界やけどほんま隅から隅まで作りこまれとんな」
「ねぇちょっと、きみここに立って!!写真撮るから!!!早く!!!!」
「暢気すぎるwwww」
「いやそれしとる場合か・・・?」
「早く!!!!!!」

 

さおちゃんのいつもの悪い癖でもうあちこちで写真撮られたしまぁ私もポーズ決めちゃうしwwww
螺旋階段みたいなところですごい姫様風の写真撮ったしwww
あれ、観光に来たんだっけ・・・?

 

「いやちょ、ちょ、平和すぎひん?」
「俺もそれ思うてたんや・・・さっきから敵が全く出てきぃへんで」
「確かに」
「FF7でもセフィロス倒す前がめっちゃ大変でセフィロスはアッサリ倒したのに・・・」
「嵐の前の静けさってやつか?」
「あるあるなのは飾りだと思うてたヨロイが動くとかやな」
「ドラクエのさまようよろいとかな」
「えぇ・・・めっちゃ怖いけどさっきヨロイいたけど動かなかったよ・・・?」
「動かなかったよね」
「でもゴールが見えへんな・・・これどこに向かってるんやろ」
「魔王は俺らの存在にもう気付いてるんやろか」
「中に入ってから結構時間経ってるよね」
「もう2時間やで」
「そりゃベルサイユ宮殿も普通に3時間とかかかるんだからこの城だってそんくらいかかってもおかしくないよね」
「いや、今観光とちゃうで!?!?」
「魔王探しとるんやろ!?」
「場所もわからんし静かすぎるし逆に怪しいわ!!!」
「じゃあニョロちゃん出そうか!偵察にはやっぱニョロちゃん」
「ニョロちゃん大活躍だよね~」
「ニョロちゃんすごいからね」

 

そしてニョロちゃん召喚して魔王の部屋まで連れてってもらうことにした。
とにかく城の中が広くて簡単に迷子になっちゃうんだよ・・・
でもニョロちゃんは迷うことなく真っ直ぐ進んで案内してくれる。
隠し扉とか隠し階段もすんなりと教えてくれて・・・・・・ん?ニョロちゃんここ来た事あるんだろうか?

 

そして薄暗い階段を上った先にある 重い扉を開けた時
高い天井、今までどの部屋よりも大きなシャンデリア
正面にある黄金の玉座、床には真っ直ぐ敷かれた赤い絨毯。
間違いなくここが魔王のいる場所だと感じた。

 

 

「・・・これ魔王の椅子?」
「玉座だもんね・・・間違いなさそう」
「どこに魔王が潜んでるかわからん・・・気ぃ引き締めて行くで!!」
「でも気配が・・・」
「ニョロちゃんここでいいの?」

【はい、こちらが魔王様の玉座でございます】

 

 

!!?

 

 

「あれ!?ニョロちゃんしゃべれたっけ!?みんなにも声聞こえたよね!?」
「聞こえた!ニョロちゃんしゃべったの初めて聞いた!!」
【この部屋だけは魔王様のお力で守られているので妨害されず我々の魔力も増すのです】
「え、妨害ってなに?我々って・・・?」
「こわ!え、魔王どこなん?」
「この城敵はおらんの!?」
「まぁまぁお前らニョロちゃんに質問攻めはやめろよ・・・ニョロちゃん困っちゃうだろ」
【さぁ玉座におかけください】
「ん?」
【部屋だけではなく玄武全てが魔力で包まれます】
「そうなの?」
「何言ってるのニョロちゃん・・・」
【さぁ、どうぞ  魔王様】

 

 

ん??????????

 

 

「魔王!?!?」
「どこ!?!?どこにいるの!?!?」
「ニョロちゃん、あんたまさか魔王の味方・・・!?」
【そうです、わたしは魔王様のしもべです。おかけください、魔王様】
「え?????」
「待って」
「嘘やろ・・・」
「そんな・・・」
【魔王様】
「ちょっと・・・魔王ってまさか・・・」

 

 

アタシ???????

 

 

え??????????????

 

どゆこと??????????

 

????????????

 

 

 

 

【魔王様、貴女様でございます。我々の主 魔王マナミ様】

 

 

 

 

 

 

!!!!!!!

 

 

 

 

えええええええええーーーーー!!!!!!!!!!!!!

 

 

その日一番の大声が 城中に響いた。

 

 

 


 

 

「苦しゅうない、ちこうよれ」

 

 

?????

 

 

まぁちゃんはなぜか早速玉座に座ってもう馴染んでる
すごい順応力だ・・・
いやまぁちゃんが魔王ってどゆこと???????

 

 

【魔王様が玉座にお座りになった!これでわたしも力を取り戻しました!!】

 

 

そういうとニョロちゃんの体は光を発して

 

 

【ご挨拶が遅れました、わたくし魔王様の四天王がひとり玄武】
「え!!?!?!玄武!?ニョロちゃん玄武なの!?玄武って亀じゃん!!今空飛んでるじゃん!!!」
【玄武の真の姿は亀とヘビ・・・わたくしは玄武のヘビでございます。玄武はただただ雲と共に流れておりましたがこれで玄武を思うままに動かし全ての力を使うことができます!!】
「へぇ、ニョロちゃんってすごかったんだねぇ」
【この城の管理をしております】
「やるね!」

 

玄武だったのかニョロちゃん!!
どーりでなんかステータスすごいなーと思ってた!
あとお城の中も全然迷わなかったのはそういうことなんだなーとか思いながら
私はひっそり、helpをまぁちゃんに向けた。

 

「help、ステータスを見せて」

 

最近全然ステータス見てなかったんだよね…
そう思いながら見たまぁちゃんのステータス……

 

「あ、ほんとだ!!まぁちゃんの能力、魔王になってる!!!」
「最近見てなかったねステータス・・・まさかアニマルフレンズから魔王になるとは!!!すごくね、アタシ!!」
「いや喜んでる場合とちゃうで?色々と問題ありすぎてヤバない???」
「まなみちゃん魔王ってどーゆーこっちゃ!!?!?よくわからん!!なんで!?」
「落ち着け」

 

白石くんとけんやくんはとても慌てている・・・
いや私も慌ててるけど、まさかまぁちゃんが魔王だとは思わなかったけど、でもモンスターたちまぁちゃんの言うことめっちゃ聞くし、よくよく考えてみたら色々と伏線はあったのかもしれない・・・。

 

「ニョロちゃん、まぁちゃんが魔王ってどういうことなの?」
【そのままの意味でございます。魔王様は魔王様です】
「どうしようアタシ・・・最強だなとは薄々気づいてたけどまさか魔王とは・・・あ、さおちゃん、職業は料理人のままなの?」
「あー、マスターシェフになってるね。レベルアップしてると思うよ」
「マスターシェフ?超かっこいいじゃん!どうりで一発で急所が見えるわけだね!!」
「え、急所見えてたん???めっちゃ怖いやん・・・」
「いつでも解体して料理できるぞ」
「こわ!!え、俺のも見えてる・・・?」
「見ようと思えば見えるけど・・・人間は弱すぎだよ、急所だらけだし・・・男は股間がめっちゃ光ってる」
「えぇ・・・なんかそれギャグみたいやん」
「ギャグみたいで面白くてあえてそこを狙う気はないwwwてか魔王なのに料理人って草www魔王料理しねーだろwww」
「話脱線しとるで!!そんなのんきなこと言うてる場合やないやろ!魔王を倒すのはゲームを終わらす最後の頼みの綱やったのに・・・」
「そうなんだよね・・・どうしよう?」
「うーん、ニョロちゃんはアタシが元の世界に戻る方法知ってる?」
【元の世界に戻られては困ります魔王様!!やつを倒さねばこの世界は滅んでしまいます・・・】
「やつ?なにそれどういうこと?」

 

 

 

その時

部屋の中央が光り

 

『それはわたくしから説明いたします』

 

と、聞き覚えるあるこえが響いた。

 

眩しくて目を閉じて、またそっと目を開けると

 

『ようやくあなたが王座に座ったおかげでわたくしも姿を現せられるようになりました』

 

そこには ゲームの最初に能力を与えてくれた女神様が立っていた。

 

「え、女神じゃん。乙✋」
「軽っ!!もっと他にあるやん!!」
「魔王だから無敵」
「きみは魔王じゃなくても常に無敵だと思うよ」
「ようやくって、女神様の力も封印されとったんですか?」

 

白石くんってさっきからちゃんと話の流れしっかり軌道修正してくれるから真面目だなーってすごい思う・・・
いい人・・・(きゅん)

 

 

『・・・元々この世界は あなた方の世界と別に存在していました』
「・・・?え?ここゲームの世界でしょ?」
『いいえ、ここはあなたがたの世界で言うところの異世界です』
「・・・は???」
「え、ど、どーいうことや?異世界?ゲームやなくて?ゲームやろ?この世界は・・・」
『ゲーム、ということにしてあります』
「してあるって・・・え!?なんで!?誰が!?」
『その方が都合がいいからです・・・人間を食べるのに』
「え!?」
『この世界では魔族・天使族・人族が存在しております。魔族はあなたがたの知るモンスター・・・人間を襲います。が、雑食なので人間じゃなくても食べることができます』
「なんか言ってることが怖い」
「過激な発言するなぁ・・・」
『人族はあまりにも弱く、長年食料として襲われてきたので知恵をつけ魔法の力を使います・・・数は減りましたがそうして身を守ってきました』
「ふむふむ」
『私は天使族です。天使族は人々の幸せで空腹を満たすので長年人を守ってきました・・・』
「なるほどね、モンスターとかやべぇのいるけど魔法や天使族が人間を守って来たから今までなんとかやってきたってことか」
『えぇ・・・けれど最近は魔族が増え、人族は食べられ続けこの世界の人族は減少し続ける一方でした』
「急に話が不穏になったよ???」
「食べ・・・?え、めっちゃ怖いな・・・」
「怖すぎる・・・」
「待って俺いきなりゲームじゃないとか異世界とか言われてテンパってるんやけど」
「俺もわけわからん・・・俺は間違いなく今ゲームの世界にいるはずなんや・・・設定が細かすぎるんとちゃう???」
『いいえ、ゲームの話ではありません。ここからが核心を突く話になります・・・魔族の中に知恵を付け欲のままにより多くの人を食料にしたいと思う者が現れました』
「キーマン来たね」
「その魔族が鍵を握ってるね」
「なんでこないにすんなり話を受け入れるんや???」
「異世界系好きだからね・・・」
「むしろ待ってましたって感じだけど」
「すごいな・・・俺いまだに頭の中こんがらがっとるで」
『その者がどうやってあなた方の世界のことを知ったのかはわかりません。ただあなたがたの世界にはたくさんの人が住み、こちらに呼び寄せれば魂をお腹いっぱい食べられると考えたのです』
「それでこの機械も何もない世界でゲームとして機械作っちゃったの!?」
「やべぇやつきた!!!!!!」
「すべてはコイツのせいじゃないか!!!!」
『その者は人の心を操る力、そして幻を見せる力があります。今回あなたがたの世界で大人気となったゲームもそのような術を使い人々に興味を示すように差し向けたのでしょう』
「なんやそれ心操るとか・・・」
「無敵やんか・・・」
「そいつあたおか」
「どうやって機械を作ったのかとかもわからないけどその魔族の力がこの世界を支配してるってこと・・・?」
『その通りです。システムと呼ばれる機械は全て情報を調べるためのもの。全ての人間が監視されているのです。その者の力は強大で私も無理やり捕らえられて 冒険者たちに能力を与えるという役割をさせられていました』
「あれ女神様の意志じゃないの!??!?」
「女神様操られてるの!!?!?」
『能力を与えると人々がゲーム感覚でより楽しめるからと言われて強制的にさせられていました・・・ただ与える能力は自由なことと本人の素質、相性もあるのであなたがたのような力を持っている方々を待っていました』
「力・・・?」
『こうしてわたくしがここで話せているのもこの玄武の周りは強い結界で守られ、向こうに干渉されることがないからです』
「そうなんだ!ニョロちゃんも、まぁちゃんが玉座に座ったら力が戻ったとか言ってたよね」
『それほどあなたの力が強大ということです・・・その魔族はゲームの世界とすることで あなたがたの世界と繋げ、魂だけをこちらに呼び寄せ そのうちこの世界に魂を癒着させてしまうようになりました』
「え、ほな現実世界で脳死とか衰弱死みたいなんが相次いでるのは・・・」
『このゲームをすることで魂と体が離れてしまうからです。そして離れた魂はその者に食べられてしまいます・・・』
「な、なるほどー!!!!そういうわけか!!!!だから死んじゃうのか!!」
「いやさおりちゃん、納得してる場合やないで!?これは恐ろしいことやで・・・!!」
『今ではほとんどのあちらの世界の人の魂が体と離れている状態です。レベルが高いほど死ぬことは少ないのでわかりにくいですが、この世界で死んでしまうとそのまま魂は体に戻れずその者に食べられます・・・』
「ほとんどのプレイヤーが!?」
『今はまだ現実世界に戻る機能でなんとか魂と体がくっついているようですが・・・あなたがたもそうです。もしこの世界で死亡することがあれば二度と現実世界には戻れないでしょう』

 

と、女神様が 白石くんとけんやくんを見つめて言った・・・・

 

 

 

・・・・

 

 

・・・・・・・・・は????

 

 

白石くんも死ぬって??????

 

 

 

え、何その冗談・・・

笑えないんですけど(真顔)

 

 

 

 

「ほな・・・俺がこないだ死にそうになった時さおりちゃんに助けてもろてなかったら 俺死んでたってことか・・・」
「お、俺もや・・・イカに海に引きずり込まれたとき・・・」

 

 

 

 

うわあああああああ

 

 

「なにそれめっちゃこわい!!!!!よかった!!!!白石くん無事でよかった!!!!!」
「さおりちゃん・・・ほんまありがとう・・・俺、助けてるつもりやったのにやっぱ助けられてたんか・・・!!!!!」
「ゲームの世界で俺らは死んでも平気やと思うてたけど、全然平気やなかったんやな・・・!おおきに助けてくれて・・・まなみちゃんは命の恩人や!!」
「いや、やばいじゃん、アンタたち大丈夫?なんかすごい心配になってきた・・・もうログアウトしてこの世界に来ないといいよ、いいか二度とやるなよ?次は死ぬぞ?」
「いや・・・そうしたいの山々やけど、それはまなみちゃんたちもやんか」
「女神様、なんで彼女たちは最初からグッタリしとるんやろ?ログアウトもでけへんって」
『それは彼女たちが 適正者だからです』
「適正者?」
『彼女たちを呼んだのは わたくしだからです』
「えええええ!?!?」
「な、なんてことしてくれたんや!!!!」
「女神様、結局敵なんか!?なんでこんな危険な目にあわすんや!!!!!」
『すみません・・・全部を説明する時間がありません・・・わたくしも捕らえられてる身・・・その者に気付かれそうなのでもう行かねば』
「待って!そしたらゲームを送って来たのは・・・跡部じゃなくて女神様・・・?」
『・・・ごめんなさい、どうしてもこの世界を救うには双子の人間が必要だったんです・・・双子と呼ばれる人全てがこの世界に来るように・・・したの・・・・す』
「え、女神様!?」
「急に電波悪くなったここ」
「電波とちゃうと思うで・・・」
「その魔族に見つかりそうて言うてたからもうこれ以上話を聞くのは厳しいかもしれん」
『・・・名前を ゲームの名前をよく  思いだ  て・・・   ご  んな   い・・・』

 

 

 

そしてスッと女神様の姿が消えて  取り残されたアタシたちは頭の中が真っ白で 動けなくなっていた。

 

 

(双子の人間が必要・・・?)
(女神様がゲームを送ったから システムが出ないってこと?)
(でもシステムが出ないってことは・・・)
(そいつにも監視されてない・・・?)
(だから私たちが・・・選ばれし者?)

 

 

「さおりちゃん・・・大丈夫か?」

 

 

白石くんにそう声をかけられて 顔を上げた。
悲しそうな白石くんの顔を見て なんだかたまらずに涙が出てしまった。

 

 

「・・・私、ゲームの世界だから 何しても大丈夫だと思ってた」
「・・・おん」
「ここの世界にいる人たちだってNPCで、決められた言動で動いてると思ってたし、モンスターだってうちはまぁちゃんが仲間にしてたけど他の人に倒されてるモンスターもたくさん見たし・・・」
「せやな・・・」
「でもみんな生きてるって知って、女神様だって本当は生きてて、それが全部意図的にされたことなんて・・・すごく怖い」
「俺も・・・今までゲームの世界やと思ってのんきにしとったのが急に怖くなったわ・・・おかしいやん、それでさおりちゃんたちかて無理やり巻き込まれてるんやろ」
「白石くんもだよ!!この世界で死んじゃったらもう生き返れないの、私たちと同じだった・・・怖い・・・誰一人失いたくないよ・・・!」
「さおりちゃん・・・」

 

そっと
彼は私の涙を指でぬぐった。

 

「俺・・・それでもさおりちゃんと一緒におるから。絶対守るからな、絶対や」
「でも・・・白石くんだけでも 元の世界に戻って、お願い!そしてもうログインしないで。このことを世界中に伝えて、ゲームをやる人をいなくしてほしいの」
「・・・それは俺の力ではでけへんと思う」
「え?」
「もっと他に適任がおるやろ?」
「適任?」
「あぁ・・・」

 

 

そして彼が名前を言いかけた時
お城が ゴゴゴゴゴ  と大きな音を出して動いた。

 

 

「うわ!!」

 

お城が動いて、白石くんが咄嗟に私を庇うように抱きしめてくれた。

 

「何!?」

 

【魔王様、敵が来ました】
「は!?敵!?悪魔!!?」
「いいえ・・・人間です」

 

 

そして私たちは急いで窓から外を覗いた。
私たちが来た時には全く動かなかった玄武が 口から火を吐いたり 素早く飛んでいたり それはもう恐ろしい強さで空を飛ぶ人間と戦っていた。

 

 

そしてその人間を見て 私たちはハッとしたのだ。

 

 

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