ep.019

「でね、新入社員にめっちゃイケメンいてね!!」

「うん」

「もうみんな可愛くて最高なのさ~~~」

「そうかい」

「あ~~~幸せだ~~~♥」

「それは良かったね」

 

アタシは仕事早く辞めたいよ

 

と、まぁちゃんは言った

 

(かわいそうに・・・)

(女の職場でつらいんだろうな・・・)

 

「・・・きみは女だけだからね・・・」

「そうだよ、楽しくないよ」

「あ、お医者さん狙えば?今年も研修医来てるんでしょ?」

「来たけど、なんかチャラチャラしてるから興味ないよ」

「え、研修医でチャラチャラしてるのかい」

「うん、それにみんなすげー狙ってるよ」

「えーそりゃ医者の卵だもんね・・・」

「これ、もし付き合ったりした時には、いじめが始まるからね」

「わーこわいこわい・・・」

「社内恋愛はしないほうがいいわ」

「・・・そうだね、社内恋愛はしないほうがいいよね」

 

 

(と、言いつつ)

(うちの会社、社内恋愛すごい多いけどねー)

 

 

まぁちゃんのような病院と違って、大手の大きな会社なので男女の比率が同じくらい(やっぱり男性のが少し多いけど)

そうなると、自然と恋愛に発展するものなのです

 

 

(しかしなぜか)

(私はいまだに彼氏がいないんですけどねー)

 

 

これでも、男性社員に誘われ2人で遊んだこともあるんだよ

けど、それだけ

恋愛には発展しなかった

 

(友達にはガード固すぎるんだよ!!って言われたけど)

(男の同期からも「まえさんとデートした先輩がガード固かったって言ってたよ」って言われたし)

(だってデートだと思ってなかったんだもん・・・)

(断りづらいから断らなかっただけで、普通に遊んでいるだけだと・・・)

 

 

社内一モテる社員と2人で遊んだのに、何もなく早々に帰宅した私のことを、一部では勇者と呼んでいるらしい・・・

 

 

(いやーだって、他に何をするの?)

(遊んだら早めに帰らないとまぁちゃん心配するし!)

 

 

どうやら、私には恋愛ごとは難しいらしい

 

 

(まぁ仕事楽しいから全然いいけどね!!)

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

数日後――――――――

 

 

 

「前さん、ちょっと広報関係の打ち合わせしたいんだけどいいかな?」

 

いつものように大好きなネットの更新をしていると、上司から声がかかった

 

「あ、はい」

 

私がついていくと、そこには教育係の社員の人もいた

 

3人で広報の打ち合わせを始めた時、2人からある提案をされた

 

 

「でね、今年の新入社員なんだけど・・・」

「あ、はい」

「今リクルートに力を入れてるから、ぜひリクルート用のページにも新入社員の写真とインタビューを載せたいんだよね」

「ああ、いいですね」

「それで、森さんとも相談したんだけど、」

「インタビューは彼でどうかな?」

 

 

そうして、教育係の社員は「新入社員」のリストから

 

 

 

”白石 蔵ノ介”

 

 

 

という名前を指した

 

 

 

「はぁ・・・私は誰でもいいですけど」

「いやいや、リクルート用のページだから、やっぱり綺麗どころ使いたいでしょ!」

「まえさんイケメン大好きでしょ!」

「ええまぁ」

「で、彼がいいと思うんだよね~」

「ああ、あのイケメンの彼ですか」

「そのイケメンの彼です」

「大賛成です」

「やっぱり、まえさんならそう言ってくれると思ったわ」

 

 

 

「じゃあ早速、白石くん連れて来るね~」と教育係の社員が部屋から出て行ってしまった

 

 

 

「あれ、インタビュー今からですか?」

「早い方がいいと思って、すぐ更新できる?」

「インタビューで何聞くか聞いてませんよ?」

「大丈夫、考えといたから」

「ならインタビューした内容打ち込めばいいので明日には更新できます」

「さすが、仕事が早いね」

 

 

じゃ、僕は仕事に戻るから!と上司は去っていってしまった

教育係の森さんを待っていると、例のイケメンくんを連れて戻ってきた

 

 

(ああ)

(やっぱりイケメン・・・)

 

 

私が見とれていると、白石くんは私にペコリと軽く頭を下げた

 

 

 

「じゃあ、白石くん、インタビュー受けてね」

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「じゃあ私も戻るので」

 

 

 

 

「まえさん、あとよろしくね~これインタビュー内容だから」と、森さんは去っていってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(え?)

 

 

 

 

(なに?)

 

 

 

 

 

(もしかして、このイケメンと2人きりなの???)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えええええ~~~~~~~!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

(´Д`)

 

 

 

 

 

 

こうして、緊張のまま、インタビューがはじまったのだった・・・

 

 

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