「でね、新入社員にめっちゃイケメンいてね!!」
「うん」
「もうみんな可愛くて最高なのさ~~~」
「そうかい」
「あ~~~幸せだ~~~♥」
「それは良かったね」
アタシは仕事早く辞めたいよ
と、まぁちゃんは言った
(かわいそうに・・・)
(女の職場でつらいんだろうな・・・)
「・・・きみは女だけだからね・・・」
「そうだよ、楽しくないよ」
「あ、お医者さん狙えば?今年も研修医来てるんでしょ?」
「来たけど、なんかチャラチャラしてるから興味ないよ」
「え、研修医でチャラチャラしてるのかい」
「うん、それにみんなすげー狙ってるよ」
「えーそりゃ医者の卵だもんね・・・」
「これ、もし付き合ったりした時には、いじめが始まるからね」
「わーこわいこわい・・・」
「社内恋愛はしないほうがいいわ」
「・・・そうだね、社内恋愛はしないほうがいいよね」
(と、言いつつ)
(うちの会社、社内恋愛すごい多いけどねー)
まぁちゃんのような病院と違って、大手の大きな会社なので男女の比率が同じくらい(やっぱり男性のが少し多いけど)
そうなると、自然と恋愛に発展するものなのです
(しかしなぜか)
(私はいまだに彼氏がいないんですけどねー)
これでも、男性社員に誘われ2人で遊んだこともあるんだよ
けど、それだけ
恋愛には発展しなかった
(友達にはガード固すぎるんだよ!!って言われたけど)
(男の同期からも「まえさんとデートした先輩がガード固かったって言ってたよ」って言われたし)
(だってデートだと思ってなかったんだもん・・・)
(断りづらいから断らなかっただけで、普通に遊んでいるだけだと・・・)
社内一モテる社員と2人で遊んだのに、何もなく早々に帰宅した私のことを、一部では勇者と呼んでいるらしい・・・
(いやーだって、他に何をするの?)
(遊んだら早めに帰らないとまぁちゃん心配するし!)
どうやら、私には恋愛ごとは難しいらしい
(まぁ仕事楽しいから全然いいけどね!!)
――――――――――――――――
数日後――――――――
「前さん、ちょっと広報関係の打ち合わせしたいんだけどいいかな?」
いつものように大好きなネットの更新をしていると、上司から声がかかった
「あ、はい」
私がついていくと、そこには教育係の社員の人もいた
3人で広報の打ち合わせを始めた時、2人からある提案をされた
「でね、今年の新入社員なんだけど・・・」
「あ、はい」
「今リクルートに力を入れてるから、ぜひリクルート用のページにも新入社員の写真とインタビューを載せたいんだよね」
「ああ、いいですね」
「それで、森さんとも相談したんだけど、」
「インタビューは彼でどうかな?」
そうして、教育係の社員は「新入社員」のリストから
”白石 蔵ノ介”
という名前を指した
「はぁ・・・私は誰でもいいですけど」
「いやいや、リクルート用のページだから、やっぱり綺麗どころ使いたいでしょ!」
「まえさんイケメン大好きでしょ!」
「ええまぁ」
「で、彼がいいと思うんだよね~」
「ああ、あのイケメンの彼ですか」
「そのイケメンの彼です」
「大賛成です」
「やっぱり、まえさんならそう言ってくれると思ったわ」
「じゃあ早速、白石くん連れて来るね~」と教育係の社員が部屋から出て行ってしまった
「あれ、インタビュー今からですか?」
「早い方がいいと思って、すぐ更新できる?」
「インタビューで何聞くか聞いてませんよ?」
「大丈夫、考えといたから」
「ならインタビューした内容打ち込めばいいので明日には更新できます」
「さすが、仕事が早いね」
じゃ、僕は仕事に戻るから!と上司は去っていってしまった
教育係の森さんを待っていると、例のイケメンくんを連れて戻ってきた
(ああ)
(やっぱりイケメン・・・)
私が見とれていると、白石くんは私にペコリと軽く頭を下げた
「じゃあ、白石くん、インタビュー受けてね」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「じゃあ私も戻るので」
「まえさん、あとよろしくね~これインタビュー内容だから」と、森さんは去っていってしまった
(え?)
(なに?)
(もしかして、このイケメンと2人きりなの???)
えええええ~~~~~~~!!!!
(´Д`)
こうして、緊張のまま、インタビューがはじまったのだった・・・