転生したら推しの世界だった話part7■さおり

我々は今全国大会へ向かっている。今年の全国大会は名古屋だった。

これは初めて知ったな。全国大会の2年の時の開催地なんて知らなかったからなぁ。

我々は氷帝というか、跡部の飛行機で名古屋に向かっているんだけど、まぁちゃんと二人、無言である。

(緊張しすぎて寝れなかった・・・)(寝れないから二人でアンジェやって遊んでしまった・・・)

 

「まぁちゃん大丈夫???」

「大丈夫じゃない・・・寝不足だし、酔った吐く」

「わかる・・・気持ち悪いよね・・・緊張して常に吐きそう」

「それな。緊張して常に吐きそう・・・」

 

緊張しすぎてほとんど寝られないとかやばいよね。わかってるけど、緊張してね。

ほら、だって、ミュとかじゃないんだよ???

リアルの生白石くんに会える!とか思ったら、緊張しちゃうよね・・・なんなら吐きそうになるよね・・・。本当にやばいよ・・・。

 

「おい、お前ら大丈夫か?顔色悪いぞ」

「跡部・・・吐く・・・」

「けいごくん、ちょっと空いてる席で寝かせてもらうね・・・」

「いや、向こうの奥にベッドがある部屋があるからそこで寝てろ」

「おおきに」

「まぁちゃん・・・なぜ大阪弁に・・・」

 

よかったよかった、榊グループのプライベートジェットにはベッドが用意されてる個室あるんだけど、跡部財閥の飛行機にもあってよかった。

大きなダブルベッドに、私とまぁちゃんはゴロゴロする。

 

「はぁいよいよか・・・」

「いよいよだね・・・」

「名古屋なんて近くてすぐ着いちゃうね・・・」

「うん・・・」

「ギリギリまで寝てよう」

「うん、寝不足だから少しだけ寝よう」

「おやすみ」

「おやすみ」

 

こうして目を閉じて、起きた時には名古屋についていた。

 

 


 

 

全国大会の会場に着くと、いろいろな学校の中学生の姿が見えた。

あ、立海だ。そう思った時には、ジロちゃんが走り出していた。

 

「丸井くーーーーん!!」

「お、ジロくん」

「丸井くんに会えたーーー!!やったーーー!!」

「こら、ジロー、勝手に行くな!」

「やぁ跡部」

「・・・幸村」

「お互い頑張ろうね」

「フン、当たり前だ」

 

立海の3強とかと、跡部は日米親善ジュニア選抜大会で一緒だったんだよね。結構みんなちょくちょく選抜~とか合宿~とかで会ってる。我々マネージャーだからついていけないことが多くてショボンだわ。3年生になったら、何が何でも、いろいろついていきたいけど!

 

それにしても、あそこに仁王くんがいるんだけど・・・まだ2年生で試合に出ることのできない仁王くんがあそこに・・・。

ブンちゃんもそこにいるし、ジロちゃんと話してるブンちゃんめっちゃ天使じゃない・・・?ジロちゃん強引なところとかあるのに、ブンちゃん普通に会話してあげて優しい・・・。

普通に興奮しちゃうな・・・<●><●>REC

 

立海のメンバーを見てほわほわしていて、ふっとまぁちゃんを見ると、

 

「!?」

 

まぁちゃんが静かに涙を流していた。

 

「まぁちゃんどうしたの!?」

「さおちゃん・・・あそこ・・・」

 

 

そこを見ると・・・

 

 

!!!????

 

 

いた!!

 

 

四天宝寺、いた!!!!!

 

 

四天宝寺が!!あそこに!!いた!!!

 

 

・・・あれ?

でも・・・

 

 

「あれ、ハラテツじゃない?」

「うん・・・多分3年だと思う。謙也いない」

「いないよね?なんで泣いてるの?」

「四天宝寺のジャージを着ているから」

「え!?」

「謙也もきっといるんだと思ったら涙が・・・」

「まぁ・・・わかるけど」

 

確かに、あのジャージが現実にあって、そして同じ学校の人がそこにいると思うだけでうれしいよなぁ・・・と思った。

 

(本当に・・・)(気持ちはわかるよ・・・)

 

いよいよなんだなって思うよね。

 

「おら、何してんだ行くぞ」

 

跡部にそう声をかけられて、仕方がなくまぁちゃんを引っ張ってその場を後にする。みんなに「まなみ何泣いてんだよ!?」と言われながらも、今日は特に反論しないおとなしいまぁちゃんだった。

 

 

(早く会いたいな・・・)

 

 

そんなことを考えながら、賑やかな輪の中に入っていった。

 

 


 

 

全国大会の氷帝の結果は、ベスト16なので、2回戦目で負けるという結果だ。

1回戦では確かに勝てたけど、2回戦で案の定負けた。

ですよね。

ここがテニプリの世界なら、そういうものなんだわ。ベスト16だからね!!

来年はベスト8だから、頑張ってもらいたいものだね。(来年も青学にボコボコにされてしまうけど・・・跡部なんて丸刈りにされちゃうけど・・・)

跡部自身はやっぱり全国区の選手なんだけど、どうしてもチームメイトがねぇ(´・ω・`)仕方ないか(´・ω・`)

 

でも、跡部は負けたからといって帰ったりはしない。

後学のために残って最後の決勝まで見るんだ。

ホテルとかずっと泊まれない学校は、負けたらさっさと帰る学校もいるみたいだけど、まぁ跡部ですからね。当然のように跡部財閥が経営するホテルに来ているメンバーご宿泊ですよ。

敵を見て学ぶことが大事だって跡部いうから、試合がある時は、きちんと試合を見て、試合が終わったらみんなで名古屋の観光に行ったりしてる。名古屋のごはんボリューミーだけど美味しい(´・ω・`)BBA今金持ちだけど貧乏舌だからおいしいわ(´・ω・`)

 

 

 

そんなこんなで、名古屋で緊張感もなく遊んだりしていた時、いよいよ準決勝。立海VS四天宝寺の試合だ。

跡部はいろんな学校を見たりもするけど、やっぱり立海中心で試合を見ていたと思う。

やっぱり来年のことを意識してるんだと思うよ。

それまで、跡部に付き合って立海中心で我々も試合を見てきた。まだ推しを見るのは緊張して死にそうだったから。

あと、普通に2年生のブンちゃんと仁王くんが最高なのと、1年生の赤也がくそ可愛いから。

ジロがブンちゃんいると近づいていくのよ~そして立海の応援席でブンちゃんと一緒に応援し始めちゃって、それを跡部と樺地が回収しに行くというのが一連の流れなんだけど、まじでそういうのニヤニヤして見ちゃうよね。テニプリって青学中心で話進むから裏はわからなかったけど、彼らのそんなやり取りにニヤニヤしてしまう。

ほんとね、DCが遊んでるのすごい尊い。特に大好きなキャラ達がそこにいてキャッキャッウフフしてるとかまじで最高ありがとうございます!!って感じする。本当にこの世界に生まれてよかったです!!ありがとう神様・・・!(こっちこそたくさんの人間を助けてくれてありがとーby神様)

 

とまぁ立海中心に見ていた私たちだけど、いよいよだよ。

いよいよ四天宝寺が来るよ・・・。

謙也、この立海戦戦うんだけどね・・・。

 

観客席につくと、すでに立海も四天宝寺も揃っているのが見えた。

 

 

そう・・・

 

彼の姿が見えたのだ。

 

 

ベンチには白石くんと、謙也の姿。

 

すぐそこに、白石くんがいるんだ。

 

 

ポロッ

 

 

涙が出てきた。

 

(白石くんだ・・・)

 

ずっと会いたかった。

 

(白石くんがいる・・・)

 

 

前世からずっと思ってた。

なんで白石くんがこの世界にいないのか。

どんなにさおなまを書いていても、実際に会うことは出来なかった。

世界線が違うってずっと思ってた。

本当に、世界線が違っただけだったのだ。

こういう世界も確実に存在していたんだ。

 

 

(白石くんだ・・・私の知ってる、白石くんだ)

 

 

2年生の彼は、まだ幼さは少し残るけど、会いに行った子供の頃に比べたらかなり大きくなっていて、私がいつもテニプリで見ていた白石くんに近かった。

子供の頃のかわいい雰囲気は少なくなっていて、どちらかというとかっこいい感じ。

そんな白石くんを見て、涙が止まらない。

 

 

「・・・ぐす」

 

 

隣を見ると、まぁちゃんも泣いていた。

そりゃそうだ。

 

 

「・・・まぁちゃん・・・いるね・・・」

「うん・・・」

「あそこにいるね・・・」

「うん・・・」

 

 

「え?なんでお前ら泣いてんだよ」

 

 

宍戸が驚いてそういうと、ザワザワはじまって。「まなみまたかよ~」なんて声も聞こえて。

でも、本当に、今日は

 

今日は私たちがずっとずっと思い描いていた日なんだ。

夢に見ていた特別な日。

だから、涙が勝手に出てしまうのは仕方がないから大目にみてほしい。

 

四天宝寺と立海の試合が始まった。

結論から言うと、圧倒的な力の差で、四天宝寺は負ける。

それでも、決勝で当たる牧ノ藤よりも立海を苦しめたとは聞いてたんだけど、立海はやっぱり強かった。

 

それでも原作でもあまり見れなかった、謙也の試合が目の前で行われていて、まぁちゃんは、ずっと泣きながら見ていたし、手に力を込めてずっと拳を握っていた。

白石くんはS1にエントリーされていたから、ストレートで負けちゃう立海戦では出番がなかった。だから、テニスがわからないって多分乾が言ってた。その辺の試合はミュでも見たから知ってるよ!!

白石くんが試合に出ていないということもあって、私は落ち着いてきて、まぁちゃんを心配していた。

まぁちゃんは、泣きながら謙也の試合を見てた。謙也だけを見ていたよ。

それがまた感動してしまってね私・・・。もらい泣きしそうになったよ・・・。

まぁちゃん本当に謙也のこと好きだもんな・・・とにかくNO1だよ。我々、転生するにあたり、赤ちゃんからやり直したけど、生まれてから今でも13年間ずっと一途なのすごくない???前世から合わせると20年越えなんですけど???すごすぎない?????

多分この愛は永遠だよなぁ・・・とか思っていたら、試合は終わった。

謙也はとても悔しそうで、その顔を見てまた涙を流すまぁちゃん。ほんと泣きすぎだな・・・。

立海の解析をするとかで、今回の試合も録画してあったから、あとでデータもらおう。まぁちゃん用に謙也のDVD作ろう・・・。なんなら動画から写真印刷してあげよう・・・。

そんな風に思っていた。

 

 

 

試合が終わって、会場をあとにする。

もちろん、私たちが四天宝寺に近づくことはなかった。そりゃそうだ、まだこの時点では他人なんだ。いきなり「試合感動しました!!」って泣いて目を腫らした女が行ったらどう思うよ?しかも、負け試合なのに。気持ち悪いとか、不快感しかないわ。

というか、我々正直ビビってる。どの段階で話しかけたらいいのかわからなくてドキドキしてる。テニプリの世界観を壊して、会えなくなったらって考えると不安で仕方がない。だから、行こうと思ってもいけないのが現実。

まぁちゃんも昔ならガンガン何も考えずに突っ込むタイプだったけど、今は謙也とのフラグが折れないように必死である。

だって、白龍の逆鱗とかないんだよ・・・?人生何回もやり直せないんだよ・・・?

たまたま彼らのいる世界に生まれ変われたけど、1回限りだかね???

確かに人生経験という点では我々他の人より有利だと思う。前世で子育てまで経験してるから、ちょっとやそっとじゃ動じないわ!!子供の頃から「子供らしくない」と言われてそだったよ!まぁ良い意味でなんですけどね。

でも、テニプリの世界で過ごすこと自体は初めてなんだよ!!!フラグが折れるかと考えたらぞっとする。

いきなり「かっこよかったです~!」って攻めていって、白石くんに引かれて、結ばれなくなったらぞっとする。あの人ナンパ嫌いだし・・・動くに動けないんだよおおお。

 

 

(でも・・・かっこよかったな・・・)

 

 

この世界で、テニスをしている彼らを見て、安心すると共に身が引き締まる。

テニプリのストーリーは私たちが3年生になったときが本番。

3年生になったら、頑張るって決めたんだ。

だから、今はまだその姿を見てるだけで精いっぱい。

 

早く、彼らと話がしてみたいと、希望に胸を膨らませる私たちでした。

 

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