結局緊張して全然寝れなかった。
(白石くんから電話がかかってきたあの日から睡眠不足だよ)
(はぁ・・・このクマどうしよう)
コンシーラーでクマを隠して、朝早くから準備をした。
緊張して吐きそうだよ・・・
なんで約束しちゃったんだろ・・・
せめて夜ご飯食べにいくだけとかにしとけばよかった
なんで土曜日とか言っちゃったんだろ、平日にしとけばよかった
いきなり土曜日遊ぶとか終わったよもう
明るい所で顔見られるのとか耐えられないよホント・・・
「君また落ち込んでるだろ」
「!」
まぁちゃんが後ろからひょっこり現れた。
「大丈夫だよ。あれでも白石いいやつだし、結構話してくれるし、任せとけばいいよ」
(・・・詳しいな)
(そもそもまぁちゃんは白石くんのこと何とも思ってないのかな?)
(まぁちゃんのタイプではないのはわかってるけど)
(仲良しすぎるよね・・・)
「うん・・・わかったよ」
「がんばりなよ!ドキドキして待ってるから困ったらメールしてな!」
「なんで君がドキドキするんだよ」
「え、だってなんかドキドキするしょ」
「私だよドキドキするのは・・・」
憂鬱だ。
(最初だけだよ、嬉しくてちょっと浮かれたのなんて)
この日に近づくにつれ、どんどん気持ちは落ち込むばかり。
(ダメだこんなんじゃ・・・もう一生恋とかしなくていいよ私)
「おいおい落ち込むなよー」
「わかってるよ」
プルルルル
!!!
電話が鳴った。
「お、白石来たんじゃねぇの!?うひょー!緊張する!早く出なよ!」
ドッドッドッドッド
冷や汗とともに胸の鼓動が激しく鳴り出した。
「も、もしもし・・・」
『あ、白石やけど。下ついたでー。多分ここで合うてるよなぁ?』
黒い車やねんけど確認して
って言われたから、窓から顔を出すと白石くんが車から降りて手を振っていた(う、うわぁーー!!)
『合っとるみたいやな。ほな待っとるわ!』
電話が切れて ますます緊張して吐きそうになってくる
ドッドッドッドッド
心臓もさっきより早く動いてる。
なんだか胸焼けがする。
気持ち悪い。ホント吐きそうだ。
食欲も全然なくて朝ごはん食べれなかったのに、何かが出そうだ。
どうしよう、行きたいのに行きたくない。
「さおりー!白石下についたんやなか?」
バタン!と千歳が入ってきて、 ビクっと体が震えた。
「わ、わかってるよ!」
「早よう行きんしゃい」
「行きたくないよ!」
「まぁたそげなこと言うとるね・・・」
「さおちゃん・・・もう下に来てるんだから行くしかないしょ・・・」
「うん・・・わかってるんだけど・・・本当に吐きそうで」
「君はメンタル弱いからなぁ」
「大丈夫たい!行ってこんね」
「うん・・・でも体が動かないよ」
「しょーがなかね、さおりは・・・」
そして千歳は一つため息をついて
「世話やけるたい」
私を よいしょ と抱えて歩き出した!!!
(ええぇぇぇぇぇ!!!!!!!)
千歳降ろしてやめてちゃんと自分で歩くからー! とジタバタして
結局エレベーターに放り込まれて 笑顔で手を振られてしまった。(意外と強引な男だよ千歳は)
そして1階についたとき
エレベーターの前に、白石くんが立っていて
なんとなくいつもと雰囲気の違う彼に、 緊張するのも忘れて 見惚れてしまった。
(・・・やっぱり、かっこいいよ 白石くんは)
(王子様みたい)
「お、今日はまた ずいぶん可愛いらしい恰好しとんなぁ」
そうして彼が笑うものだから、また胸がドキドキしてきて
彼の誘導で、車の助手席に座った。
(はぁ、緊張する)
彼の運転する横顔を見るだけで 死にそうになる。
想いは募るばかりで全然話すことなんてできない。
もし万が一
本当に例えばの話、
仮に彼が私を少しでも いい と思っていてくれてるなら
いつかこうして、普通に彼の座席の隣に座る日がくるんだろうか
楽しく話をしながら、二人でドライブとか 出来るんだろうか
(そんなの)
(幸せすぎるしょ・・・)
そんな妄想するのもおこがましいのかもしれないけど。
「ええ天気やなぁ、晴れてよかったわ」
「そ、そうですね」
「あんなぁ、前から思うとったけど」
「え?」
「さおりちゃんて緊張しぃなん?」
「え・・・」
「千歳に話すみたいに話してくれてええんやで?」
「え!?」
「同いやし」
「おない?」
「同い年ってことや」
「あ、ハイ」
「ほら!さっそくそれ!」
ケラケラ と白石くんは笑った。
その笑顔にものすごく 救われた気がする。
(・・・がんばるって、決めたんだよね)
(千歳と約束したんだから!)
「じゃー今から敬語禁止な?」
「・・・わかったよ」
「お、ええで~!その調子や!」
(あ、そうだ!)
(千歳メモ!二人の話題話題!)
「えーっと、」
「なんやそれ?」
「み、見ちゃダメ!」
「なんで?」
「これは秘密だからっ!」
「プ!何なんそれ(笑)」
「えっと・・・白石くんは植物が好きなの?」
「え!?(絶対それ千歳が書いたメモやん!)(全然秘密に出来てないわ!)(笑)」
「植物?毒・・・草?」
「せやねん、毒草むっちゃ好きやねん」
「わ、私も植物は大好きだよ」
「ほんまに?なら次回は植物園やなぁ」
(え、次回って)
サラリ と言った白石くんの言葉に ときめいちゃって嬉しくてどうしようもなくなる
(ヤバイ、次回植物園だって!!)
(千歳グッジョブだよ!!)
「え、じゃあ今日は?」
「今日は・・・江ノ島の方行って海とか水族館とか・・・って、ベタやった?」
「う、ううん!水族館も大好き」
(ほわー!超デートだよ!!やばい嬉しい!)
(嘘みたいだよこの私がこんなイケメンとデートとか!!)
(死にそう)
お互いの事を話したり
水族館で大きな魚を見てビックリしたり
江ノ島の方で神社にお参りしたり
信じられないくらい、楽しくてキラキラに輝いた1日はあっとゆう間に 過ぎて行った。
「ほんまおもろいなー自分」
「え、私はつまらない女ですよ・・・」
「そーゆうところがおもろいねんて(笑)」
気が付けばキラキラとお星さまが輝いていた。