Xmas25≪白石&けんや≫

12月25日。

クリスマスをやり直させてほしい、と言ったのは俺で

優しい彼女はそれに快く返事をしてくれた。

ほんまにええ彼女持ったで( ;∀;)

一生恋愛せぇへんって思うてたけど・・・やっと幸せ掴んだで俺・・・( ;∀;)

 

彼女がバイト終わりに、またケーキ屋の前で待ってることにした。

 

カランカラン

 

店が開いて、彼女が お待たせしちゃってすいません と出てきた。

可愛過ぎや。昨日は俺を見た瞬間固まってた彼女が、今日は笑顔で駆け寄ってくれた・・・。

天使か!神々しく見えるわ!

 

「大して待ってへんよ。こちらこそ、バイトで疲れとんのに会いたいなんて言うてすまんかったな」

「いえ、大丈夫です」

「もう遅いし飯でも食うたら送ってくわ」

「あ、はい」

「ほな行こか。もう店は予約してんねん」

「え!クリスマスなのによく昨日の今日で予約取れましたね!」

「平日やからかな?時間も遅いし空いてたで?」

「そうなんですね。楽しみです!」

「ほなココから近いから歩いて行こうか」

「ハイ」

 

そうして俺は 手を差し出した。

さりげなく手をつないだろと思うたんやけど

それを見て彼女が固まってしもうた。

むしろオロオロして見える・・・

え?俺早まった!?

 

「さおりちゃん?」

「あっごめんなさい、えっと、」

「いや、こちらこそ戸惑わせてすまんな」

「い、いえ!」

「もしよかったら、なんやけど。手、繋いでもええですか?」

「えっ!!!は、はい!!!」

 

めっちゃ緊張しながらそっと俺の手を遠慮がちに握る彼女。

その仕草に年甲斐もなくドッキーーーーン!!!とときめく俺。

 

あぁ

あかん・・・

心臓つぶれそうや

 

この歳で まるで初恋・・・

めっちゃドキドキするわ!!

手つなぐだけやのに・・・!あかんこれ店までもつやろうか!!

大人の余裕見せたいのに どうもこの子の前やと上手くいかん。

 

(けど、いっぱいいっぱいなのは向こうも同じで)

 

「・・・さおりちゃん、手と足同じ方が出てるで」

 

そういうと、 あっ と声を出し焦ってるかわええかのじょが・・・

もうなにしてもかわいいおれのてんし・・・( ;∀;)

 

 

店について席に座り、注文をした。

クリスマスやしイタリアンにしたけど、さおりちゃん大丈夫やった?と聞くと、パスタ大好きなので、と答えが返ってきた。

そういえば、付き合うたのはええけどまだ出会ったばかりであまりお互いの事知らんな、そう思うて彼女に色々質問してみることにした。

 

「へー。パスタ好きなんや?ペペロンチーノ頼んどったけど、ペペロンチーノが一番好きなん?」

「そうですね・・・あとタラコパスタとかも好きですし・・・・・・・あっペペロンチーノにんにく臭くなる・・・!失敗した・・・!」

「え!いや別にそんなん大丈夫やで(笑)」

「うぅ・・・」

「デザートもたべよか?」

「デザート・・・」

「ここカタラーナ、むっちゃ美味いねん」

「カタラーナ好きです!食べます!」

「スイーツ好きやろ?」

「うーんスイーツはそんなに・・・」

「え!そうなん!?女の子ってみんな甘いもの好きやと思うてたわ!ケーキ屋で働いてるし!!」

「甘いもの好きなのはまぁちゃんで・・・まぁちゃんのために働いてるようなものです」

「そうだったん!?え、ほな食べ物何が好きなん!?」

「食べ物は・・・肉かな・・・」

「肉!?」

「肉ですね・・・」

「そうなんや!!ほな次は焼肉食べに連れてったるわ!」

「あ、焼肉食べたいです」

「おっけー!任しとき!あ、実家からはいつ帰るん?」

「えっと・・・1月13日に帰ってきます」

「え!長いな!!」

「長い・・・ですよね」

「そうかー淋しいけどその間にいい店探しとくからゆっくりしてきてな」

「ありがとうございます!」

「明日何時の飛行機なん?」

「まぁちゃんが明日一つだけ午後にどうしても出ないといけない講義あるみたいで、夜の便なんですよね」

「あ、夜なんや。何時?」

「8時の便です」

「あ、そうなんや!ほな俺送るわ!」

「え、いいですよ、悪いし・・・!」

「ええねん、送りたいねん!あかん?」

「や、まぁちゃんに聞いてみます・・・」

「まなみちゃん俺のことまだ既婚者って思うてるからな・・・ウンとは言わなそうやな・・・」

「食べ物で釣ったら来ると思うんですけど・・・」

「ほな謙也も仕事終わり呼んで空港で美味しいものでも食べるってどうやろ」

「お土産も買わないといけないしあまり時間はないかと・・・」

「高速乗ればすぐやで!」

「高速・・・・・高速ってお金かかるんじゃ・・・」

「そういうのはさおりちゃんは気にしたらあかん」

「き、気になりますよ・・・!今日だって私ちゃんと払いますからね・・・!」

「それはどんなこと言われようが譲れんとこやわ」

「え、そんなぁ」

「あ!ほな、俺な、行ってみたい場所一個あってな」

「なんですか?」

「原宿に行ってみたいねん」

「原宿?」

「ごっつおもろいところらしいやん?色々見たいんやけど若者の街やしなかなか一人やと行けへんから・・・」

「え、私ももう若くないですよ・・・原宿もまぁちゃんの付き添いでじゃにーずしょっぷに行ったことあるくらいだし・・・」

「充分若いわ!!な、原宿クレープ美味しいらしいやん。一緒に行ってくれへん?」

「それは構いませんけど・・・」

「ほな決定な!!さおりちゃん帰ってきたら行こうや。楽しみやわ!」

「わかりました^^」

「その前にあれやな」

「ん?」

「まずはその敬語、なんとかしてもらわんと」

「え!!」

「えって!付き合うてるのに敬語っておかしいやろ?」

「や、あ、そ、そう、ですよね・・・」

「さおりちゃん真面目やから年上の俺に敬語使うのわかるけど、彼氏なんやからもっと気楽に接してほしいねん」

 

今日も会った瞬間から緊張してたやろ、というと彼女は すいません・・・ と謝った。

いや謝ってほしいわけやなくて。素直過ぎるわほんまにカワ(以下略)

 

「あの・・・あの、その、じ、実は私・・・男の人とお付き合いするの初めてで・・・」

「え!?!?」

「だ、だから、あの、慣れてなくて、き、緊張して、すいません・・・あの、少しづつ慣れていくので」

 

もう少し、待っててもらえませんか・・・?

 

と、涙目で言うさおりちゃん。

 

 

・・・・

 

 

ああああああああもおおおおおおおお

あかーーーーーん!!!!!!!

これあかんやつやわ!!!!!誰か助けてください!!!!

可愛過ぎてもうあかん!!!!!!!

今すぐ抱きしめたいけど場所も場所やしそんなんしたら嫌われ兼ねないしなんも出来る気がせぇへん!!!!

あああああ俺はどうすれば・・・・!!!!!!

 

頭の中で必死に理性が 落ち着け落ち着けと 欲望を説得してる中

固まる俺を見て また彼女は泣きそうになりながら

 

「す、すいません・・・重いですよね・・・あの・・・でも、少しだけでいいんで、待ってください、お願いします・・・!」

 

と懇願してきた。

 

はい、もうお手上げ。

それもうあかん、かわいさえげつないわ・・・。なんやこの絶対俺が守らなあかんって思う使命感・・・。俺自身さえからも守ろうと思うてまうわ。あかんわこれ。

 

(・・・そりゃ、待ちますよ)

(何日でも、何か月でも、何年でも)

(きみが安心して俺の傍におってくれるようになるまで)

 

長い人生、ずっと一緒におるためならば

 

(たったの数年・・・!)

(色々と葛藤はあるけど、も・・・!)

 

きみの一番の安らげる場所を 俺は作って待っときますよ。

 

(せやから、ゆっくり一緒に進んで行こな)

 

「いや、重さで言うたら俺の方やろ?俺さおりちゃん好きすぎて死にそうやし」

「え!!(・_・)チーン(どう反応していいかわからずに固まる)」

「そういうところも全部めっちゃかわええし」

「(・_・)チーン」

「初めて付き合うてもろた男が俺やなんて、光栄すぎてにやけてまうわ」

「(・_・)チーン」

「・・・せやから、むっちゃ大事にします」

「!!」

「ほんで・・・初めて付き合うたのが俺でよかったって言われたいし」

「(//_//)カァァ(よく恥ずかしげもなくそんなこと言うな・・・)(男の人ってネオロマみたいなセリフ本当に言うんだ!)」

「最後の男になりたい」

「!!(//□//)」

 

さおりちゃんが照れまくってそれ以上話さなくなってもうたけど

全てが可愛くてたまらない俺は 愛しい彼女をただただ 見つめるのやった。

 

 

HAPPY END!

 


 

 

12月25日

昨日の今日やし嫌がられるかなぁ、と思いつつ

彼女のバイト先へとふらりと入った。

いや、ストーカーではないねんで!?

仕事帰りにほんまにフラっと入っただけで決してドアからチラッと見えた彼女がサンタ帽かぶってて可愛かったとかそんな理由ではないねん。可愛いけど。

俺を見た彼女は ロコツに嫌な顔をした。

 

ウッ・・・

 

なんやそのストーカーを見るような眼は・・・!ちゃうで!ストーカーとちゃうで!!いや俺もちょっと危ないと思い始めとるけど俺はそういうタイプの男やないで!

ついうっかり、彼女を見かけたら声かけたなんねん!しゃーないわ!!

 

俺は棚で服を畳んでる彼女にそっと近寄って

「・・・この後飯でもどうですか」

と、ダメ元で聞いてみた。

 

あぁけどあかんやろな。最近バイトで疲れとるみたいやし。

明日学校のあと札幌帰るて言うてたし。今日早く帰って寝たいやろな。寝るの好きって言うてたしな。

 

そんなことを考えとったもんやから

 

「・・・あと20分で終わるからお店の外で待ってて」

 

小さい声で呟いた彼女のその意外な言葉に 俺はめっちゃ驚いた後

寒空の下大人しく20分、一人で浮かれるのやった。

 

 

「んっまーーーーー!!!!!!」

 

ほんで今浮かれとるのは彼女のほう。

ほんっまに食べるの好きなんやな!?!?

めっちゃ幸せそうやん!!!客として店に行ってるときの俺にしか見せない表情やん!!!

 

「・・・美味いやろ」

「最高」

「ここのモツほんまたまらんねん!」

「もつ鍋最高」

「いや~絶対断られると思うてたけど思い切って誘ってよかったわ!」

 

ありがとうな!

 

そう言うと、 さおちゃん今日白石とご飯食べて帰るって言ってたから・・・ と少し寂しそうにまなみちゃんは言うた。

そうか・・・さみしいのか・・・

俺も明日から会えへんの寂しいけど、まだ友達やからそれは言われへんし黙っとった。

 

「・・・札幌長くおるんやろ?」

「うん」

「札幌ええな~俺も行きたいわ~。めっちゃ飯美味いよなぁ」

「そう、ジンギスカンとかラーメンとか寿司とかタチの天ぷらとか最高」

「せやんな!!わかるわ、全然ちゃうもんな」

「はー・・・早くジンギスカン食べたい・・・」

「もつ鍋食いながらジンギスカンの話題かい(笑)」

「もつ鍋うまい。ここ好き」

「そうか、気に入ってくれてよかったわ!」

「うん」

 

彼女は嬉しそうに頷いた。

あー・・・ほんま食べてるときは素直でめっちゃ可愛いねん・・・

これが食べ終わると不愛想になんねんけど・・・

 

そう、思うてたんやけど。

 

「お土産なにがいい!?」

 

帰り道の彼女も なぜだかとってもご機嫌やった。

 

(あれ?)

 

「え、お土産?いらんでそんなん」

「買ってくるよ。北海道のお土産って見てるだけで楽しいし、すっごい美味しいよね!」

「せやな、確かにめっちゃうまい」

「六花亭は?あ、じゃがぽっくるのがいいかな?何がいい?あ、美味しいキャラメル(ジンギスカン味)買ってくるね(ニヤリ)」

「え、ちょ、待って?なんや、めっちゃご機嫌やな今日!どないしたん?」

「は?なにご機嫌って」

「や・・・え・・・?せやって今まで虫を見るような目で俺のこと見とったやんか」

「なんだそれ!!失礼だな!」

「え・・・けどな・・・」

「だって、友達になったんでしょ?」

「なった。昨日なった」

「友達なら普通にしゃべるでしょ?」

「せやな・・・」

「え、タメ語でいいんでしょ?」

「え!ええけども!!え!もしかして今まであんま話してくれへんかったのって敬語使わなあかんと思うてたから!?」

「それもあるし・・・単なる人見知りもあるし・・・」

「え(笑)嘘やろ(笑)ショップ店員なのに人見知りて!!!」

「仕事だと思うと話せるからいいの!!」

「そうなんや!!・・・ほな今こうして話してくれてるって、少しは俺に慣れてくれたってこと?」

「・・・」

「そこは黙秘か(笑)」

「・・・」

「ええわ、自分の都合のええようにとらえるわ!!」

「ポジティブwww」

「せやないとあんなハッキリやめてって言われたのにまた告白する気にならんやろ(笑)」

「じゃあ何回か告れば落とせると思った?」

「や、そこは自信なかったけどなー。とりあえず好きってまだ言うてないのに終わるのはどーかと思うたし、あと、ほんまに・・・ほんまに、めっちゃ好きやから諦めたくなかってん」

 

 

 

そう言うと

 

 

 

彼女は歩くのをやめ、急に立ち止った。

あれ、どないしたんやろ  と

俺も立ち止まって 少し後ろの位置で止まった彼女を覗き込んだ。

 

 

そして俺は

見てしもうたんや。

 

 

 

彼女の耳が赤くて

恥ずかしそうに俯いて

 

 

 

あぁ照れてくれたんや、とそう思うた瞬間

俺まで連られて真っ赤になった。

 

 

 

カァァァァ

 

 

 

寒空の下 赤く染まる二人の頬。

 

 

 

まだ片想いやけども。

まだお友達やけども。

 

 

 

近い将来、それは“両想い”の“恋人同士”になれるんちゃうかって淡い期待を抱きながら

 

 

 

「きゅ、急に変な事言わないでよー!」

 

 

 

と、真っ赤になりながら怒る彼女と

楽しい時間を過ごした。

 

HAPPY  END☆

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