12月17日
今日は何時にバイト終わりますか?飯でも行きませんか?
白石さんから来たそんなライン。
まぁちゃんは今日遅番のシフトでどうせ夜いないし、暇だから 行きます と返事をした。
・・・何着ていこうかな。
「あー、お疲れ、すまんなぁ、バイトで疲れとんのに・・・」
「いいえ、こちらこそ車で迎えに来ていただいてすいません」
「それはええねん、それよりも金曜日俺失態見せてもうて・・・」
「や!!私こそ、助けていただいて・・・!!」
「いや、あの時ちゃんと話せへんかったけど、なんともなかったんやろ?」
「なんともなかったです!」
「あいつな、常習犯らしいで、あの後警察に捕まったって聞いたわ」
「え!?そうなんですか!?」
「せやから安心してな」
「あ、はい、ありがとうございます」
「そんでな、俺なんや、優しい言葉もかけんと説教ばっかしてもうたろ?」
「いや!!それは全然そんなこと・・・!!」
と、言いながら
(そういえば、あの日)
(私)
(白石さんに軽く抱き留められたり)
(泣いて頭撫でられたり・・・)
(あれ、なんか)
(すごいことしてない!?)
今更思い出して カカカァ となった私に
そこのところは覚えてないのか、 バツが悪そうに彼は ほんまに申し訳ない とひたすら謝って来た。
「いえ、そんな・・・」
「家までついてきてくれて水用意したり色々してくれたやん、ほんま助かったで、おおきに」
「いえいえ、私は大したことしてません」
「あんな酒に飲まれることないんやけど、あの週仕事忙しくてほぼ金曜日まで寝てへんくて・・・」
「え、お仕事大変なんですね」
「あぁ、年末やしな・・・」
「今日、大丈夫だったんですか?また明日から仕事だし寝てた方がよかったんじゃ・・・」
「や!おかげさまでな、昨日ずっと寝とってん!ほんで金曜日のこと思い出して慌てて食事に誘ったんやけど」
さおりちゃんこそバイト終わりなのにすまんな、と彼は恥ずかしそうに笑った。
ん、かっこいい。
いや
これ今冷静になって考えたら
すごくね?
こんなイケメンとさ ふたりきりで
私今助手席にってるんだけどぉぉぉぉ!?
すごくない!?
こんなこと人生で初めて・・・
あぁ・・・どうしよう・・・急にドキドキしてきた・・・
「なんか食べたいものある?なんでもおごるわ!」
「え、でも私こないだもタクシー代いただいたし、その前に飲んだ時も払っていただいてるし・・・ケーキもいただいたりなんだかいつもお世話になりすぎですし・・・えっと・・・」
「ええねん、今日は介抱してもろたお礼やし!」
「いや!白石さんお礼すぐしてくれますけど気にしなくていいんですからね!?私大したことしてないですし!!当然のことしただけですよ!?」
そういうと、彼は一瞬驚いた顔をして
いや、当然の事って言えるさおりちゃんはすごいわ と言った。
なんだ?私なんか変なこと言ったか!?
「ほな、なかなか決まらへんし・・・イタリアンでもええかな?」
「え!あ、ハ、ハイ!」
「パスタとかすき?」
「大好きです・・・!あのでも自分の分は自分で払いますから・・・!」
だっておごってもらっちゃうとさ
ご飯おごってもらいたいからついてきたみたいじゃない?
おごってほしくてついてきたんじゃないんだよ私。
(・・・あれ)
(じゃあなんで一緒にご飯食べに来たんだろう)
そんなことを思っていたら車が停まって ほな中入ろうか と白石さんが笑ったので
私は黙って彼の後に続いた。
今更だけど、車運転してるところすごいかっこよかったし
お店もオシャレで、やっぱり社会人って違うなあと思いながら美味しいご飯に大満足するのだった(そしてご飯代はこっそり支払いしていてくれて、いつもお金払わせてくれないのである)
(申し訳なくて倒れそう)