CASE03 -亮-

俺の幼馴染の話だ。

あ、その前に言っとくぜ!

俺は氷帝学園中等部3年、宍戸亮。岳人んちとジローんちの裏に住んでる。兄貴がいるから次男だ。

日課は犬の散歩。すげー可愛いんだぜ!!

そんで今隣で格ゲーしてんのがクリーニング屋のジロー。

「ぐわ~また負けたぁぁぁ!!亮、代わって~」

「あー?やだよ、もうそのゲーム飽きた」

「うー!もう一回だ!!」

普段ずっと寝てるけど楽しいことがあると覚醒する手のかかるやつ。

よくおばちゃんも心配してジローのこと頼んでくるけど、幼馴染のよしみでしょうがねーから面倒見てやってるぜ!

で、元気な時の差が激しいんだけど、ほんとテンション高くて起きてるときは起きてるときで結構大変だ。

今日はゲーセン来てるから元気だぜ。

 

「ムーンサルトだっ!」

そんで奥のダンスゲームで夢中で踊ってんのが電気屋の岳人。

岳人はとにかくよく動く。ダンスも上手いしよく飛ぶしまぁなんでも突っ走る特攻部隊って感じな。

こいつらとはまぁ気が合うしノリもいいから割と楽しくつるんでる。テニスの試合は別だけどな!負けんの悔しいから!!

 

「ガックン、すごーーーい!!」

あ、岳人の隣で目を輝かせてるのが 同じく幼馴染のさおり。花屋の娘な。

さおりは性格はおとなしくてぼーっとしてるしなんかめっちゃ女っぽいところもあるけど、イナイレ好きだしポケモンも好きだし変な趣味は合う!

イケメンのこと話してるときはマジで引くけど(真顔) 普段は真面目で俺たちのまとめ役。

純粋すぎてたまに心配になるが・・・女はきっとそれくらいがいいんだよな、うん。

 

「クソクソクソクソ!!あと少しでランキング1位に入れたのに!!」

「惜しかったねぇ」

「よし、もっかいだ!次こそ!さおり、しっかり応援してみそ!」

「うん、がんばれー!」

 

・・・平和だ(^ω^)

 

「亮!!亮ちょっときて!!!」

 

バシバシバシ!!

 

「いてぇ!!ちょ、なんだよ!!」

「早く来て!!!」

「わかったから叩くなよ!」

 

この暴力女はさおりの双子のまなみだ。花屋なんて一番似合わない、すげー乱暴な奴。

口も悪いし、女らしくねぇ!!

顔はでもまぁ岳人とジローはよくブスだとかなんだって言うけど俺的に双子は  可愛い、と、思う。

だからついつい俺もなんだかんだ動いちまうんだよな、あーあ、本当にブスならよかったのに!(でもブスならきっといくら幼馴染といえどこんな仲良くねぇと思う)

「これ!!この!!!フィギュアほしいの!!!もう2千円使ったのに!!取れない!取って!」

「はぁ?俺だって取れねーよ」

「取って!もう亮だけが頼みなんだよ!!」

「わかったわかった、やってみるけど俺今月金欠だから金は払えよ」

「っち!わかったよ!」

「なんで不満そうなんだよ!」

 

ったく、しょーがねぇな

 

とか文句言いつつやってやる俺は本当に優しいと思う。結局こいつらに甘いんだよなぁ。激ダサだぜ!

全員俺より馬鹿だから仕方なく面倒見てやってるって感じかな。うん。

 

ウィーン

 

1回目

「ぎゃあ!取れない!」

「待てよ、まだ1回目だろ」

「1回で取れよ!あたしの百円!」

ブツブツ文句言いながらまなみはんまた百円を入れた。

 

2回目

「うわ!」

「あーっ!!亮の馬鹿!全然取れないじゃん!!」

「仕方ねぇだろ!!よし、もっかいだ!!」

 

3回目

「・・・・・・」

「・・・ちょっと、亮・・・マジでふざけんなよ」

「・・・いや俺だって取れねぇつったじゃん!!」

「こんな下手くそだと思わなかったわ!!」

「下手くそ言うな!!お前が勝手に頼んできたんだろ!!」

「もういい!!むかつく!帰る!!」

「あー帰れ帰れ!!」

 

まなみはカバンを握りしめて、 さおちゃん帰るよ!! と怒ってゲーセンを後にした。

さおりは不思議そうにそんなまなみの後を追う。

ま、いつものことだ。あいつ馬鹿だし飯食って寝たらもう忘れて機嫌治ってるから大丈夫。

んじゃ、俺らはもうちょい遊ぶか なんて岳人とジローとしばらくゲーセンで遊んだ。

 

「あーあ、結局1位になれなかったぜ」

「岳人飛びすぎなんだよ、タイミング少し遅れるだろ」

「ばーか、あそこでがっつり飛ばなきゃかっこよくねーじゃん!!」

「そんなもんかー?つーか重いからジロー起きろよ!!」

「ん~家まで~」

「歩けっつーの!!」

 

日も暮れて、寝ちまったジローの馬鹿背負って、家の前まで来たんだけど。

 

「あれ?今日さおりんち閉まるの早くね?」

「ほんとだ、この時間に花屋が閉まるって珍しいよな」

 

そう言いながらシャッターの閉まった花屋を見上げた。

「あ、あいつ、いるじゃん」

 

窓に、さおりの姿を見つけて

でもその姿がさっきのにこやかなあいつじゃないとわかって

俺らの空気が変わった。

岳人が小石を窓にぶつけて、それに気づいたさおりに 降りてこいって小声で伝えたら あいつは素直に裏口から外に出てきた。

 

「・・・亮、がっくん、ジロちゃん」

(やっぱり)

その目は真っ赤に腫れて、さおりはひっくひっくと泣いていた。

 

「さおりどうした?」

「なんで店閉まってる?」

「なんかあった?」

 

今まで寝てたジローもすくっと立ち上がってさおりの顔を覗き込む

 

「ま、まぁちゃんが、」

「まなみがどうした?」

「さっき帰り道で変な高校生に絡まれて、わ、私を守ろうとして、まぁちゃん殴られて」

 

ザワッ

 

それを聞いた瞬間 明らかに今までとは目の色が変わる慈郎と岳人。

 

「殴られた?まなみは?大丈夫なのか?」

「とりあえず血が出てたからお母さんが慌ててお店閉めたんだけど、まぁちゃんは大したことないって、口の中切れただけだって、でも顔が少し腫れちゃって」

私のせいなの、私が怖くてハッキリ断れなくて、すごいこわくて、どうしよう、まぁちゃん本当に大丈夫なのかな、どうしよう

泣きじゃくるさおりを ぽんぽん とあやして

 

「・・・まなみは、意識ハッキリしてんだろ?」

「うん・・・」

「大丈夫って言ってたか?」

「うん、大丈夫だから心配しないでって笑ってたんだけど、」

「笑ってんなら大丈夫だろ、あいつゴリラだし簡単にやられねーよ」

「そうそう、まなみ強いC~!すぐよくなるって!」

「お前ももう泣くな、まなみの傍で気晴らし一緒にしてやれ」

「う、うん、わかった・・・」

「あ、でもしばらく勝手に一人で帰るの禁止なー」

「委員会終わったら俺らの部活終わるの待ってろよ」

「そうそう、また変な奴に絡まれたら大変だC」

「え、でも、」

「まなみにも言っとけよ?あいつすげー勝手だからさ」

「またこんなことあったら困るんだよね~」

「わ、わかった」

「じゃ、また 明日な」

「うん、また明日」

「あ、その前に、さおりさ」

「うん」

「まなみ殴ったやつ、どんな顔してたか教えてくんない?(にこ)」

 

(おいおい)

(岳人もジローも目が笑ってねーじゃん)

(ま、俺もだけど)

 

「みーつけた♪」

「はいはい、どうもうちのゴリラがせわになったみたいで」

「女の顔殴るとか、マジクズだな!激ダサだぜ!」

「さおりも泣いてたC~・・・俺さおりの涙には昔から弱いんだよねぇ」

「ブスが余計ブスになって嫁に行けなくなったらどーしてくれんの」

「マジで俺らが嫁にもらうとか無理だから、オニーサン責任とってよね♪」

「んじゃ、覚悟はいいか?」

 

「「「歯ァくいしばれ」」」

 

俺の話はこれでおしまいだ。

ただ俺には心強くて頼もしい幼馴染がいて

守るべき大切な幼馴染もいるっつー なんのことはない、つまんねー話だけどよ

 

・・・どうだ!最高にうらやましいだろ!

 

(次の日ボコボコの顔見たまなみに余計なことすんなってすげーキレられたけど)

(ありがとう、のさおりの言葉に 俺らは満足げに笑った)

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